東京渋谷・横浜を拠点に、千葉、成田空港、羽田空港、山梨、群馬、静岡、愛媛の各地へ高速バスやリムジンバスを運行している東急バスグループ(東急バス、東急トランセ)。
東急の高速バスといえば、バブル期に夜行高速バス「ミルキーウェイ」を運行していましたが、1998(平成10)年までに全て撤退。
以降、暫くの間は高速乗合バスを運行していませんでしたが、2014年3月1日に東急トランセと富士急湘南バスが「センター北・たまプラーザ~河口湖線」を開設し、その後、渋谷や東急沿線、横浜から首都圏近郊の観光地などを結ぶ路線を中心に路線を拡充していきます。
一方で、2016年には東京~新居浜・今治間夜行高速バス「パイレーツ号」の運行に参入。
東急バスグループが夜行高速路線に参入したのは、1998年まで運行していた「ミルキーウェイ」の撤退以来、実に18年ぶりのこととなりました。
実は先日、久しぶりに東急バスグループの高速バスに乗車する機会がありました。
その路線とは、東京渋谷と静岡県の藤枝市・牧之原市を結ぶ高速バス「渋谷~藤枝相良線」です。
しずてつジャストライン(本社:静岡市)と共同で運行するこの高速バスは、鉄道では乗り換えが必要な東京渋谷と藤枝市・牧之原市の間240kmを約4時間30分で結びます。
運賃は、東京渋谷~藤枝間で大人片道3,160円、東京渋谷~相良間で大人片道3,560円となっており、東名御殿場⇔藤枝・相良間の利用も可能になっています。
残念ながら、感染症拡大の影響のにより、現在は週末中心の特定日運行になっています。
早く通常運行に戻ることを期待したいものですが・・・。
マニアックともいうべき区間設定の高速バス「渋谷~藤枝相良線」。
いったいどんな路線なのでしょうか。
その現状を見てきました。
ハイグレードな車内設備が売りの東急トランセ「渋谷~藤枝相良線」
新静岡バスターミナルからしずてつジャストラインの路線バス「中部国道線」に乗車すること約1時間、藤枝駅前に到着しました。
南北自由通路を通り、向かったのは藤枝駅南口。
藤枝駅南口バスロータリーの3番のりばに、東京渋谷行きしずてつジャストラインのバス停があります。
バス停の時刻表にも、特定日運行であることが表示されています。
09時18分頃、定刻よりも若干早く、相良方面から1台のバスがやって来ました。
高速バス「渋谷~藤枝相良線」です。
今回はこちらのバスに乗車しました。
東急トランセ下馬営業所所属SI3602号車(日野セレガHD QRG-RU1ESBA)です。
「渋谷~藤枝相良線」「渋谷~軽井沢・草津線」用に導入され、夏季には「さわやか信州号」(渋谷~新島々・上高地)にも使用される長距離昼行路線対応車両になっています。
バス到着後、乗車改札が開始。
乗務員にモバイル乗車券を提示し、トランクルームに荷物を預けて車内に入ります。
車内は4列シート38人乗りの昼行高速仕様。
トイレは車内最後部に設置されています。
シートは、幅広タイプの可動式枕付きシートを採用。
腰掛けた際のホールド感も程良く、このシートであれば長距離の移動でも快適に過ごせられるのではと思います。
可動式枕のカバーには、東急トランセの社名ロゴが。
シート背面にはテーブルを設置しています。
また、このシートには昼行路線用のシートとしては珍しくレッグレストと足置き台(フットレスト)を搭載。
もちろん、コンセントとWi-fiも完備しています。
と、簡単に車内をご紹介しましたが、車内全体を見て真っ先に思い浮かんだ言葉は「快適」「ハイグレード」でした。
この”ハイグレードな車内”が東急ハイウェイバスの売りのひとつなのではと感じました。
途中休憩は2回 昼間の新東名~東名~首都高を快走
09時30分 藤枝駅南口発車
時間調整の上、定刻3分遅れの09時30分に藤枝駅南口を発車したバスは、週末で若干混雑気味の藤枝市内を新東名高速道路藤枝岡部インターへ向けて走ります。
その間、自動案内放送が流れ、案内放送終了後に乗務員の補足説明が行われますが、過不足無い丁寧な案内が東急トランセ高速バスの特徴の様です。
09時55分、藤枝岡部インター手前の仮宿バス停にて乗車扱いのために停車。
こちらでの乗車はなく、10名弱の乗客を乗せたバスは、10時00分、藤枝岡部インターより新東名高速道路に入ります。
10時06分~10時15分 静岡サービスエリアにて開放休憩
新東名高速道路に入って10分も経過しないうちに、バスは1回目の開放休憩場所である静岡サービスエリアに到着します。
こちらでは、10時15分までの9分間停車しました。
静岡サービスエリアといえば、ご存知西日本鉄道の東京新宿~福岡間夜行高速バス「はかた号」の開放休憩場所としても有名ですが、真っ昼間に来たのは恐らく今回が初。
藤枝市内からこんなに近いところにあったとは・・・正直知りませんでした。
バスもしばしのひと休みです。
11時21分~11時35分 足柄サービスエリアにて開放休憩
静岡サービスエリアを発車したバスは、晴天の新東名高速道路を東ヘ進みます。
青空の下で映える緑と海沿いの街並み、そしてどこまでも続くハイウェイ・・・。
これら素晴らしい景色を、ゆったりとしたシートに身を委ねながら楽しむ・・・これぞ昼行高速バスならではの醍醐味ではないでしょうか。
11時15分頃、御殿場ジャンクションを通過。
こちらで新東名高速道路と東名高速道路が合流し、ここから先は東名高速道路を東京都内へ向けて走行します。
11時21分、バスは2回目の休憩場所である東名高速道路足柄サービスエリアに到着。
こちらでは、11時35分までの14分間停車しました。
足柄サービスエリアは、東名高速道路のサービスエリア・パーキングエリアの中でも最大級の広さを誇るサービスエリア。
施設も充実しており、駐車する乗用車、トラック、バスの台数も多いことで知られています。
お昼時に近いということもあり、こちらでは殆どの乗客がバスを降りてトイレや買い物などを済ませていました。
バスも、終着東京渋谷へのラストスパートに向けて、しばしのひと休みです。
12時50分 渋谷マークシティ到着
足柄サービスエリアを発車したバスは、東名高速道路の山越え区間に差し掛かります。
週末ともなると渋滞していることが多いのですが、この日は渋滞がなく車の流れも至ってスムーズ。
予定より早く東京渋谷に到着出来そうです。
12時28分、東京料金所を通過。
その5分後の12時33分には首都高速道路用賀料金所を通過します。
首都高速道路も流れがスムーズで、12時39分には池尻ランプを通過します。
そして、首都高速道路を降りて国道246号を走行すること10分程で、バスは終点の渋谷マークシティ5階高速バスのりばに到着しました。
乗客を降ろしたバスは、降車バースにてしばし待機後、車庫へ回送。
もう少し長く乗っていたかった3時間20分程の快適なバスの旅でございました。
最後に
というわけで、東急トランセの高速バス「渋谷~藤枝・相良線」に乗車した時の模様をご紹介しました。
同社の高速バスに乗車したのは本当に久しぶりでしたが、東急バスグループが高速バス事業に再参入して約8年が経過し、「東急沿線と首都圏から比較的近い中核都市・観光地とを結ぶ路線の展開」「メリハリを付けた車両グレード」という独自の運営スタイルを確立しつつあるのかなぁと今回乗車してみて思いました。
先述の通り、現在の東急ハイウェイバスの路線網を見てみると、東京渋谷および横浜を拠点に、千葉(木更津・安房鴨川)、成田空港、羽田空港、山梨、群馬、静岡(藤枝・相良)、愛媛(新居浜・今治)方面へ路線を展開しています。
開設された経緯はそれぞれ異なりますが、バブル期の「ミルキーウェイ」運行時と比較しますと、(時代背景は異なりますが)東急グループの利点を生かしつつも、堅実な路線展開をしているのではと感じます。
また、「メリハリを付けた車両グレード」という点においては、近距離路線に投入する車両が定員重視であるのに対し、草津や静岡方面、愛媛方面の路線には惜しみなくハイグレードな車両を投入しており、運行する路線によって車両を上手く使い分けている印象を受けます。
一般的に、昼行高速路線については車両仕様を統一した方が運用面で効率化出来るという考え方がありますが、こと東急バスグループにおいては必ずしもこれに当てはまるとは限らない車両運用を行っている様に見えます。
当初の予定では、人気の「草津温泉」を発着する路線か季節運行の「さわやか信州号」に乗車する予定でしたが、行程の関係もあって、今回はマイナーかつ乗り応えのある「渋谷~藤枝・相良線」を選びました。
マイナーな路線ではありますが、訪問した記憶もない(?)、見たこともない土地・場所を見ることが出来たのは、個人的にかなりの収穫になりました。
残念ながら、感染症拡大の影響を引きずっている(=週末中心の特定日運行になっている)ということもあり、見る限りにおいては利用状況がかなり厳しい様に見えましたが、東京~藤枝・相良間を乗り換えなしで移動出来る利便性の良さが再評価され、利用者数が回復することを願ってやみません。
色々と書きましたが、「乗り換えなしで便利」「ハイグレード」な高速バス「渋谷~藤枝・相良線」、機会がありましたら是非一度利用してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2022/10/15
- 乗車区間:
藤枝駅南口→渋谷マークシティ - 運行会社:東急トランセ
- 車両:日野/セレガHD(QRG-RU1ESBA)
- 年式:2016年式
- 所属:下馬営業所
- 社番:SI3602
【おまけ】動画にしてみました
現在、Youtubeにて公開しています。
宜しければご覧いただけると幸いです。



