奈良交通「八木新宮線」八木駅→本宮大社前 乗車記【その1】

一般路線バス

奈良県橿原市と和歌山県新宮市の間を結ぶ奈良交通の一般路線バス「八木新宮線」

奈良交通「八木新宮線」 ・960 八木新宮駅にて その2

運行距離166.9km、停留所数167、所要時間約6時間半は、現在運行されている高速道路を走らない一般路線バスとしては、距離・停留所数・所要時間の全てで日本一となります。

奈良と新宮を結ぶ路線バスの歴史は古く、その歴史は1963年に運行を開始した奈良大仏前~新宮駅線まで遡ります。
運行開始当初は、新宮行きは「はやたま」、奈良行きは「やまとじ」という愛称が付けられており、1979年8月の時刻表を調べてみると、奈良から新宮への直通便は3往復あり、うち2往復は奈良大仏前発着便を奈良交通が担当、残りの1往復は橋本駅発着便で熊野交通が担当していました。
その後、奈良県側に起終点を大和八木駅に変更し、現在に至ります。
一時期、川上村(杉の湯)経由の路線もありましたが、現在、大和八木~新宮直通便は1日3往復体制となっています。

「八木新宮線」は、一般路線バスではありますが、系統区分上は「特急」となっています。
何故に「特急」なのか・・・。
それは、大久保口~十津川温泉間において、一部の停留所を通過するからであります。
かつては一部の停留所を通過する特急運転を全線で行っていましたが、2002年10月1日改正で「特急」区間が五條バスセンター~新宮駅間に縮小。
その後も更に縮小され、現在は大久保口~十津川温泉間で数ヶ所のバス停を通過するのみとなっています。
但し、請川~新宮駅間では、並行する熊野交通の一般路線よりも停車するバス停がかなり少ないことから、実質的には「特急」運行状態になっています。
因みに、以前は「特急」と「各停」(全停留所停車)の間の種別として「急行」が設定されていた時代もあったそうですよ。

私自身、この路線には以前から乗車してみたいと思っており、幾度となく乗車の機会を伺っていましたが、本数が少ないことや新宮側の交通の便が良くないことから、これまで乗車を躊躇していました。
しかし、2016年11月下旬に運良く乗車する機会を得ることが出来、「この機会を逃したら、もしかしたら乗車出来なくなるかもしれない。」と考え、週末の大和八木へと向かいました。
今回は行程の関係で、途中の本宮大社前までの約5時間程の乗車となりますが、果たしてどのような風景に出会えるのでしょうか。

積み残し想定の増車体制を敷く「八木新宮線」

やって来たのは、近鉄大阪線の大和八木駅。
近鉄大和八木駅
大阪から近鉄特急で約30分程で到着します。
奈良交通「八木新宮線」はこちらから発車します。

私が大和八木駅に到着したのは、朝の8時半過ぎ。
今回乗車する八木発1便の発車時刻は9時15分なのですが、既に乗り場には「八木新宮線」の到着を待つ乗客が数人並んでいます。
9時を過ぎると、その列は更に伸びていきます。
並んでいる方(女性)に、「この路線っていつもこんなに混んでいるのですか?」と尋ねたところ、その方は「うーん、週末ということもあるのでしょうけど、十津川温泉で宿泊者対象のバス運賃キャッシュバックを行っていて、その影響もあるのでは。恐らく、バスを並んでいる方の大半は十津川温泉まで行くと思いますよ。」とのこと。
後で調べたのですが、実は十津川温泉の組合が主体で、十津川温泉の宿泊者を対象に往復のバス運賃をキャッシュバックするというキャンペーンを行っているそうです。(現在は終了)
正直複雑な気持ちにはなりましたが、このキャンペーンをきっかけに日本最長路線バスのことをひとりでも多くの方に知っていただけると良いですね。

9時05分、大和八木駅バスのりばに奈良交通「八木新宮線」八木発第1便が入線します。
今回はこちらのバス↓に乗車しました。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 八木駅にて その1

奈良交通「八木新宮線」 ・960 八木駅にて その3

奈良交通「八木新宮線」 ・960 八木駅にて その6
2015年に国土交通省、奈良県、和歌山県の補助で導入した日野新型ブルーリボン(QDG-KV290N1)です。
車体には沿線市町村のキャラクターや観光地を紹介したラッピングが施されています。
旧型車両に施されていたラッピングとはまたちがった、鮮やかな色使いのものになっています。

バスが乗り場に横付けされるな否や、多くの方がバスに乗車していきます。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 八木駅にて その4

奈良交通「八木新宮線」 ・960 八木駅にて その5
座席はほぼ全て埋まり、やがて立客も目立つ様になります。
と、ここで、乗務員が乗客に対し、降車停留所の確認を挙手方式で行っていきます。
後でお伺いしたところ、積み残し及び地元客対策のために、営業所側で続行便を出すか否か判断する目安のために、混雑時には必ず確認しているとか。
因みに、この日の乗客の多くは、先程の女性が仰っていた通り、7割方が十津川温泉まで乗車するそうです・・・。

9時17分、定刻よりも2分程遅れてバスは発車します。
橿原市中心部、橿原市役所を通過したバスは、国道24号~国道166号線~国道165号線を高田市駅(近鉄南大阪線)方面へと向かいます。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 車窓 その1

高田市駅からは、国道166号~国道24号を南下。
五條方面へとひた走ります。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 車窓 その2
途中停留所での乗降も多く、やがて車内も立客が目立ち始めます。

近鉄忍海駅傍の忍海バスセンターに到着したところで、乗務員から「五條までお越しの客様は、隣に停車していますバスにお乗り換え下さい。」とのアナウンスが。
五條バスセンターまでの続行便が仕立てられた様です。
しかも、その続行便に充てられた車両が、2017年2月をもって引退予定の旧型車(日野ブルーリボン U-HU3KLAA)でした。
古き良き「八木新宮線」の時代を知っている方は、旧型車に乗り換えかったのではないでしょうか。

忍海からは近鉄御所線、JR和歌山線に並行するかたちで五條へと向かいます。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 車窓 その3

近鉄八木駅から約1時間20分程で、バスは五條バスセンターに到着。
こちらでは1回目の開放休憩を兼ねており、約10分間の休憩時間が設定されています。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 五條バスセンターにて その1
多くの方がトイレを済ませる中、一部の乗客は隣接するイオンへ買い出しに行きました。
10分間という短い休憩時間で、何を買い込むのでしょうか・・・。
私もトイレや飲み物の購入を済ませた後、WEB用写真の撮影を済ませ、バスに戻ります。

10分の休憩時間が過ぎ、乗客が全員戻ったところで、バスはJR五条駅へ。
ここでインバウンド客らしき乗客を5名乗せ、市内を流れる吉野川の橋を渡ったバスは、いよいよ国道168号の山越えに差し掛かるのですが・・・
奈良交通「八木新宮線」 ・960 吉野川の橋を通過

この続きは、また次回といたします。


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