ジェイ・アール北海道バス「日勝線」(様似~広尾間)乗車記
地元住民の足として、そして襟裳岬への観光客の足として現在も運行を続ける、由緒ある路線でもあります。
そしてこの「日勝線」は、分割民営化後に日高本線の運行組織として日高線運輸営業所が開設されるな否や、様似自動車営業所を日高線運輸営業所の直轄組織とすることで、鉄道とバスの一貫輸送を強化する方策を採っていました。
その後、バス部門分社化により直轄ではなくなりましたが、分社化後は利用状況に見合ったダイヤへの変更や、広尾・えりも地区から札幌へ直通する高速バスの運行も開始するなどの方策を採っています。
実は私、この路線には小学生時代に広尾~えりも岬間で1度だけ利用したことがあるのですが、何せ30年以上前の話であり、しかも様似~広尾間を乗り通した・・・となると、これまで一度もありませんでした。
今般、仕事の休みを利用して現地を訪問する機会があり、「それならば様似~広尾間を乗り通してみようか・・・」ということで、土曜日の午前中に札幌を出発し、様似駅へと向かいました。
目次
都市間バスとタクシーで様似へ
様似までの移動手段ですが・・・こちらのバス↓を利用しました。道南バスの札幌~静内・浦河間高速バス「高速ペガサス号」です。
4列シート42名定員の三菱エアロバス(KL-MS86MP)ですが、シートクッションが思いのほか固く、このバスで道中3時間半の移動は結構身体に堪えました。
ネオプラン製バスが走っていた頃が懐かしいです。
浦河から様似までは、運悪くJRへの乗り継ぎに失敗したために、約15kmの区間をタクシーで移動します。
タクシー代約4,500円は正直痛かったですww。
札幌を出発すること約3時間50分で、日高本線の終着駅である様似駅に到着です。
今回のジェイ・アール北海道バス「日勝線」の旅は、ここから始まります。
駅舎に入り、早速乗車券を購入しようとしますが・・・ 窓口の女性の職員から「バスカードを利用した方が安く移動出来ますよ。」とのありがたいお言葉を頂き、2,000円(利用額:2,200円)のバスカードを購入します。
因みに、ここ様似駅は簡易委託駅(営業時間8時00分 – 16時30分)になっていて、ジェイ・アール北海道バスに窓口業務を委託しています。
残念ながらマルスはありませんが、JR全線の乗車券、指定席券を常備券、補充券対応にて取り扱っている他、当駅発のJRバスの乗車券も同様に取り扱っています。
強風でえりも岬に立ち寄れず
出発時間まで駅舎内でバスを待ちますが、改めて窓口の掲示物などを見てみると、この様な掲示が。 強風(というか暴風)の影響で、どうやらえりも岬まで行けないようです。従って、これから乗車する広尾行きのバスは、えりもから山道経由で運行することになります。
後で乗務員から伺ったところ、この日勝線では営業所独自の規制値を設けているらしく、えりも岬の風速が25m以上になると、現地への乗り入れを停止するそうです。
そうこうしているうちに出発時間になり、バスは様似駅のバス停に到着。
1時間50分のバスの旅が始まります。
改めて、今回乗車したバスをご紹介します。
こちらのバス↓になります。
JRバス東北から来たいすゞキュービックLV(KC-LV280N)です。
青森県内で走っていた車両でしょうか・・・。
かつて在籍していた元淡路交通のいすゞキュービックLVを置き換える目的で、今から3~4年前に様似営業所に配属されたそうですが、まさか旧国鉄カラーを纏っていたこの車両が北の大地で見られるとは思いませんでした。
現在のところ4台在籍していて、様似~えりも岬~広尾間や様似~浦河間等で活躍しています。
因みに、JRバス東北在籍時は、以下の写真の様なカラーリングを纏っていました。(写真はイメージです。)
14時00分、私を含めて6名の乗客を乗せたバスは、定刻に様似駅を発車。
アポイ山荘を経由しながら、海沿いの国道336号線(通称:黄金道路)をえりも市街へと進んでいきます。 途中停留所で学生数名が下車し、えりも市街に入る頃には私と観光客と思われる2名の計3名のみと車内は寂しくなっていきます。
えりも駅停留所で時間調整のために停車しますが、観光客の1名が何としてもえりも岬へ行きたいのか、「どうにかえりも岬へ行く方法はないのか?」と乗務員に詰め寄ります。
風規制のためにえりも岬へ立ち寄ることが出来ないため、乗務員は「えりも岬へ向う分岐点付近のバス停で降りて歩くか、タクシーの営業所前のバス停で降りてタクシーを利用する方法のいずれかになる」旨を乗客に伝えます。
結局、その乗客はえりも岬へ向う分岐点付近で降りていきましたが、暴風の中、15km以上の距離を歩いて岬へと向ったのでしょうか?無事に到着できたのか心配ですww。
迂回路を経由して広尾町へ・・・
バスはえりも岬へ向う分岐点から山道への迂回路に入ります。 迂回路と言っていても、実はこの山道もれっきとした路線区間でして、朝の1便のみではありますがこの山道経由の便が設定されています。なので、途中に何箇所か停留所も設置されています。
暴風に煽られながら、バスは山道をひた走り、更に側道から再び海へ出ます。
海に出たところの「千平台」停留所で時間調整のために7分程停車。
この先は広尾の手前まで海沿いの道を進んでいきます。
庶野の集落を過ぎると、「黄金道路」と言われる所以の断崖絶壁を眺めながら、更に広尾へと向います。
そしてバスは、全長4,941mのえりも黄金トンネルに差し掛かります。
残念ながら写真はありませんが、通過するまでに5分以上かかる、道内最長の道路トンネルとしても有名です。
美島、咲梅、日勝目黒、音調津、日勝美幌と主要バス停を通過し、バスは広尾町内へと入ります。
市街地に入り、広尾6丁目バス停過ぎると、終点の広尾(旧国鉄広尾駅)はすぐそこです。
結局バスは、定刻ぴったりの15時50分に広尾(旧国鉄広尾駅)に到着しました。 様似~広尾間の通し運賃は・・・2,340円。
少々お高い気もしますが、バスカードを利用すると2,140円と200円得できますし、沿線の景色代と考えれば、まあ納得といったところでしょうか。
強風地帯ならではの苦労と厳しい沿線環境
というわけで、ジェイ・アール北海道バス「日勝線」(様似~広尾間)の乗車記をお届けしましたが、今回乗車してみて思ったのは、北海道屈指の強風地帯を走る路線バスの維持管理の大変さと沿線環境の厳しさでした。実は広尾到着後に乗務員氏と少しだけお話させていただいたのですが、先述の強風が吹き荒れる地域を走ることから、おいそれ中型車両での運行が難しいことや、突風が吹き付けたときのエピソード、更には沿線人口の減少による利用客の減少等、地元乗務員ならではの話をお聞きすることが出来ました。
実際に今回の乗車でも、利用客の多くは様似側の地元住民や観光客で、広尾地区での利用は皆無といった状況でしてた。
これから夏にかけて観光シーズンを迎えるにあたり、利用客も今よりも多少は増えるでしょうが、それでも現状の運行体系を今後も維持することが出来るのか・・・想像以上に現状は厳しい状態なのかもしれません。
もしかすると、今後は広尾地区のデマンド化やコミュニティバス化といったことも検討しなくては?ということになるのかもしれませんね。
一方で、黄金道路から眺める海岸線に、今回は訪問できなかったえりも岬と、便数が少ないとはいえ、観光路線としては乗り応えがある路線であることを、今回の乗車で改めて実感しました。
何とか沿線の風景や観光を生かした形でこの路線を盛り上げる方策はないのか・・・難しい課題ではありますけど、そんなことを思った今回の旅でした。
ともあれ、南十勝・えりも岬への観光の足として使うのであれば、便数の少なさを除けば乗ってみる価値がある路線です。
春~夏の北海道旅行を予定されている方、是非一度、ジェイ・アール北海道バス「日勝線」でえりも岬・南十勝へ訪れてみてはいかがでしょうか。
また違った北海道の素晴らしさを堪能できるかと思いますよ。
【おまけ】十勝バス「広尾線」と「ポテトライナー」で札幌へ・・・
広尾からは、とかく有名になったあの黄色いバス会社(十勝バス)の広尾線代替バスと、北都交通の札幌~帯広間都市間バス「ポテトライナー」で札幌に戻って来ました。(写真はイメージです。)
残念ながら、広尾線代替バスは黄色いノンステップバスが来ずに残念な思いをしましたが、「ポテトライナー」が当たり(?)の車両であったため、帯広~札幌間はゆったりと移動することが出来ました。
今度訪問する際は、もう少し時間をかけて回りたいものですね。
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