富山地方鉄道「富山東京線」昼行便 乗車記
西武バス(本社:所沢市)と富山地方鉄道(本社:富山市)が共同で運行しており、名古屋~金沢線「北陸道高速バス」(名鉄バス・北陸鉄道・JR東海バス・西日本JRバス)と同様に、北陸の都市間高速バスの草分け的存在でもあります。
2007年12月に開業20周年を迎え、現在は昼行便3往復と夜行便1往復の計4往復が運行されています。
実は、2015年7月下旬に某交通系の会議があり上京していましたが、その会議の後に北陸へ向かう足として、今回高速バス「東京池袋~富山線」を選んでみました。
この路線、運行会社によって路線の呼び方が微妙に異なっており、西武バスは「富山線」、富山地方鉄道は「富山東京線」と呼んでいますが、今回乗車したのは、東京池袋発の富山地方鉄道担当便(「富山東京線」)。
この路線の乗車自体初めてなだけに、真夏の炎天下の中、わくわくしながら私は池袋駅東口へと向かいました。
老舗高速路線にも新幹線開業の影響が・・・
やって来たのは、池袋駅東口の西武高速バスのりば。新潟、長野、北陸方面へ向かう高速バスのりばとしても有名で、昼夜問わずバスを待つ多くの利用客で賑わっています。
かつては、あの日本最長距離夜行高速バス「Lions Express」(西武観光バス・西鉄高速バス)も発着していました。
「Lions Express」が発着していた頃が、今となっては懐かしいですね。(写真はイメージです。)
今回乗車したのは、池袋駅東口13時20分発の富山地方鉄道担当便。
こちらのバス↓の乗車しました。
同社が運行する「富山大阪線」「富山仙台線」と共通運用の、日野セレガHD(PKG-RU1ESAA)です。
白地にオレンジ、ブラウン、ゴールドのストライプを施したカラーリングが特徴です。
車内はこの様になっておりまして、
3列独立シート29人乗りの夜行高速仕様となっています。
トイレ、足置き台、レッグレストこそ完備はされていますが、一方でこの車両には座席コンセント、通路カーテン、スリッパ、毛布が装備されていません。
7時間弱の長時間のバスの旅となるだけに、特にスマホを利用される方は、事前にモバイルバッテリーを用意されることをオススメします。
13時10分過ぎ、西武高原バスの軽井沢行きが発車した後、富山地方鉄道の富山行きが入線。
早速乗車改札が行われます。 この便は全区間ワンマンで運行されるため、ハンドルを握る乗務員が改札を行います。
1泊2日の行程且つ3回の休憩停車を挟むとはいえ、回送時間を含め片道約8時間近くの運転は正直大変なのでは?と思います。
池袋駅東口では、私を含め約10名が乗車。
夏休み最初の週末にしては、乗客が少ない印象を受けます。 東京~北陸間といえば、今年3月に北陸新幹線が開業しましたが、目新しい分、北陸新幹線に乗客が流れているのでしょうか・・・。
13時20分、乗客が揃ったところで、バスは池袋駅東口を発車。
発車後、モニターを使用しての自動音声による案内放送が流された後、乗務員から自己紹介と運行経路、車内設備の補足説明が行われます。
過不足無く分かりやすい説明が同社の特徴といったところでしょうか・・・。
下落合駅、練馬駅(練馬区役所前)で乗車扱いを行ったバスは、14時頃に練馬インターから関越道へと入ります。
14時17分、川越的場バス停に停車。
ここで最後の乗客1名を乗せ、定員の半分弱を乗せたバスは、一路富山へと向かいます。
この日の午前中の関越自動車道は大渋滞だったそうですが、午後になって渋滞は解消され、車の流れは至ってスムーズです。
左手に上越新幹線の高架の眺めながら、バスは関越自動車道を北上します。
「富山東京線」昼行便は、計3回の開放休憩が設定されています。
1回目の休憩場所は、関越自動車道の上里サービスエリア。
池袋駅東口から1時間40分程で到着します。
バスを降りると、日差しとアスファルトの照り返しでとにかく暑い!
北海道育ちの私にとって、この暑さは正直堪えます。
そんな中、なんとかWEB用の写真撮影や買い物などを済ませ、エアコンが効いたバス車内へと戻ります。
15時10分、乗客が全員揃ったところで、バスは上里サービスエリアを出発します。
2分程で上信越自動車道との分岐点である藤岡ジャンクションを通過し、ここからは上信越自動車道を長野、上越方面へ向けて走り続けます。
上信越自動車道の藤岡ジャンクション~小諸インター間は「山岳ハイウェイ」そのもの。
写真の様な車窓を楽しむことが出来ます。
軽井沢から佐久~小諸~上田~屋代を駆け抜けたバスは、16時34分に2回目の休憩場所である松代パーキングエリアに到着。
ここでも15分間の開放休憩が設定されています。
殆どの乗客がバスを降り、トイレや買い物を済ませて行きますが、私は売店に並べられていたお土産類をしばし眺めておりました。
野沢菜やおやきといった長野特有の土産類が数多く並べられており、どれを買おうか迷っているうちに時間切れとなってしまいました。(笑)
16時50分、乗客が全員揃ったところで、バスは松代パーキングエリアを出発。
ここからは長野~妙高高原~上越高田と上信越自動車道を北上し、上越ジャンクションからは北陸自動車道を西へとひた走ります。
信州らしい風景が車窓一面に展開されます。
長閑な風景を眺めながらゆったりシートのバスで移動する・・・ある意味贅沢な時間の使い方なのかもしれません。
17時48分、バスは上越ジャンクションから北陸自動車道へ。
終点富山駅前まであと約2時間・・・もう一息です。
18時15分、バスは最後の休憩場所である蓮台寺パーキングエリアに到着。
18時30分までの15分間、背伸びをしたりトイレや買い物を済ませたりと、乗客其々が思い思いの時間を過ごしていました。
休憩時間が終わり、乗客が全員揃ったところで、バスは終点の富山駅前へ向けてラストスパートです。
右手には夕焼けに照らされた日本海が・・・。 「美しい!!」の一言です。
18時58分、バスは最初の降車停留所である黒部(黒部インター)に停車しますが、降車客はおらず、すぐに発車します。
その後、左手には新幹線の黒部宇奈月温泉駅が見えてきます。
黒部インターから歩くには少々遠いですが、黒部宇奈月温泉駅の傍には富山地方鉄道の新黒部駅もあることから、タクシー移動であれば鉄道への乗り継ぎも可能なのでは?と思います。
19時04分に魚津(魚津インター)、19時11分に滑川(滑川インター)に停車しますが、こちらも降車客はおらずにすぐに発車します。
19時27分、外が真っ暗になったところでバスは富山インターを通過。
ここからは富山市内数箇所に停車していきます。
19時29分、西上袋で1名が下車。
その後の富山市民病院前では降車客がおらず、総曲輪では2名が下車していきました。
次の富山市役所前は降車客がおらずすぐに発車。
そして19時43分、東京池袋を出発すること約6時間半弱でバスは終点の富山駅前に到着しました。 乗務員から荷物を受け取った乗客は、三々五々それぞれの目的地へ。
一方の私はというと、以前から乗車してみたかったとある乗り物に乗車するべく、目的の場所へと急ぐのでありました。
というわけで、富山地方鉄道の高速バス「富山東京線」昼行便の乗車記をお届けしました。
今から10年前に、「富山東京線」よりも更に路線距離が長い「東京池袋~金沢線」(西武バス・西日本JRバス)に乗車した時も感じたことなのですが、「思っていたよりもあっという間についてしまった・・・」これが今回乗車してみての正直な感想でした。
「夜行便と同様の車内設備」と「飽きない車窓」が時の流れを短く感じさせるのでしょうか・・・。
ですが、実はこれこそが長距離昼行高速バスの良さでもあり、バス旅の良さを再発見出来るファクター(要因)でもあると私は考えます。
早くて便利な新幹線の移動も、それそれで便利ではありますが、時間がある時はゆったりバスで安く移動・・・というのも、様々な発見があって面白いものです。
もっと長距離昼行高速バスでの移動が見直されても良いのでは?と今回乗車してみて改めて感じた次第です。
一方で、この路線に関して一つ気になったことが。
それは、他競合路線や新幹線開業を見越して導入された「曜日別運賃」についてです。
曜日別運賃の導入自体は決して悪いことではないのですが、どうも西武バス関連路線の曜日別運賃は設定が細かすぎて分かり難いという印象を受けます。
恐らく、閑散期対策や他競合路線対策を考慮しての運賃設定なのでしょうが、いずれ利用客離れに至らないのかなぁと心配になりました。
もう少しシンプルな設定にしていただけると、利用者としてはありがたいなぁと感じました。
とはいえ、雄大な景色を眺めながら7時間近く移動出来る高速バス路線は、全国どこを探してもさほど多くはありません。
くり返しになりますが、高速バス「富山東京線」昼行便のセールスポイントは、何といっても「夜行便と同様の車内設備」と「飽きない車窓」でしょう。
確かに時間はかかりますが、新幹線では決して味わうことが出来ない「バス旅の良さ」が再発見出来ると思います。
機会があれば是非一度乗車してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2015/07/25
- 乗車区間:
池袋駅東口→富山駅前 - 運行会社:富山地方鉄道
- 車両:日野/セレガHD(PKG-RU1ESAA)
- 年式:2008年式
- 所属:富山自動車営業所
- 社番:705
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