「富山ライトレール富山港線」を見てみる

鉄道

日数が開いてしまいましたが、前回の記事の続きになります。


富山地方鉄道の高速バス「富山東京線」で富山駅に到着した私。
富山地方鉄道「富山東京線」 ・705 富山駅前到着 その2

富山駅 新駅舎

次なる移動場所まで少し時間があったことから、「折角富山に来たのだから、乗っておこうか・・・。」ということで、こちらの電車に乗車しました。
富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 TLR0606 側面
2006年4月に運行を開始し、以来各方面から注目を集めている、「富山ライトレール富山港線」(通称:ポートラム)です。
富山市といえば、「コンパクトシティ」への取り組みが各方面から評価されている、北陸地方有数の街であります。
富山市が目指しているのは、「団子」と「串」の関係
2005年の市町村合併で集まった7つの街を「団子」にたとえ、それぞれの特徴を生かしながら、公共交通という「串」でつないで持続可能なまちづくりを進めるというのが基本コンセプトだそうですが、「コンパクトシティ」への取り組みのターニングポイントとなったのが、実はこの「富山ライトレール富山港線」ともいわれています。

「富山ライトレール富山港線」とは??

「富山ライトレール富山港線」の前身は、JR西日本の「富山港線」(富山~岩瀬浜間)という本数も少なく利便性が良くないローカル線でした。
JR側からは採算性の悪い富山港線の廃線が告げられ、富山市側も受け入れることとなります。
背景には、2015年3月の北陸新幹線の開業がありましたが、富山市としては何とかして鉄路を残したい・・・通常の鉄道として残す場合、駅の高架化が必要になりますが、一方で高架化には高額の費用がかかり、物理的なスペースの問題もあったそうです。
そこで、「鉄道ではなくLRT(ライトレールトランジット)にしよう!」という話が出てきます。
様々な検討を行った結果、富山港線を低コストで敷設・運行できる日本初の本格的LRTとして生まれ変わらせることにしました。
主に道路上の専用軌道を1両ないし数両編成で走行する低床車両は、高齢者や障害者にも利用しやすく、二酸化炭素(CO2)排出量や騒音も少ないため環境面でもメリットが大きいとされています。
富山ライトレール富山港線の運行に際しては、大幅増便や終電時間の延長、更にはバリアフリーの電停(電車停留所)の増設など、利便性向上に努めました。
その結果、富山ライトレールは、平均利用者数(2013年3月末時点)が開業前と比較して、平日で約2.1倍、休日で約3.5倍に増加しました。
とりわけ、50代以上の利用の増加が目立っており、このことは自宅に閉じこもりがちだった高齢者のライフスタイルの変化を促したともいわれています。
今後の予定としては、JR西日本・あいの風とやま鉄道の富山駅高架化後に、既存の富山地方鉄道富山市内軌道線と相互に乗り入れる構想があるそうです。
富山地方鉄道富山市内軌道線との相互乗り入れが実現されると、これまで以上に利便性が向上することになるでしょうね。

富山駅北~城川原間を乗車してみる

今回乗車したのは、富山駅北から富山ライトレールの本社がある城川原の間。
本来であれば終点の岩瀬浜まで乗車したかったのですが、さすがに終点まで行ってしまうと、この後の行程に無理が生じるため、今回は途中の城川原まで乗車することにしました。
富山駅北駅舎(電停)は、富山駅北口の前に位置します。
富山駅南口からですと、地下道を潜って移動する必要があり、地元にとっては富山地方鉄道富山市内軌道線との相互乗り入れの早期実施が望まれるところではないでしょうか。

富山ライトレール富山港線で使用される車両は、新潟トランシス製の「TLR0600形」。
往路で乗車したのは、こちらの青いカラー「TLR0606形」でした。
富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 TLR0606

富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 TLR0606 車内 その2

富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 TLR0606 車内路線図
全部で7編成在籍しており、1編成毎にカラーが違うそうです。
車体を含めて電停・サイン類などのデザインは、全体を総合的に管理する「トータルデザイン」という手法を採用しており、株式会社GK設計と、地元の島津環境グラフィックス有限会社によるデザインチームが結成され、一連の作業が進められたそうです。
車両や電停・サイン類を見てみましたが、GK色が濃いデザインになっている印象を受けました。

富山駅北から城川原までは、約13分で到着します。
富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 城川原駅 時刻表&路線図
時刻表・路線図・周辺地図・案内表記が機能的に配置されています。

こちらは富山ライトレール本社兼待合室です。
エアコンが聞いた室内で、テレビを見ながら快適に電車を待つことが出来ます。
富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 城川原駅 本社待合室

待合室には、「鉄道むすめ」のスタンプも・・・。
富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 城川原駅 本社待合室 鉄道むすめ スタンプ

一通り見たところで、復路の電車で富山駅北へ戻ります。
復路で乗車した車両は、こちらの赤いカラー「TLR0601形」でした。
富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 TLR0601

富山ライトレール 富山港線「ポートラム」 TLR0601 車内
車内の造りは往路の「TLR0606形」と全く同じで、外観のカラーと車内のカラーを合わせているというわけではなさそうです。
車内はかなりの乗客で賑わっておりまして、富山駅北に到着した頃には立客も出ておりました。

「ポートラム」の乗車時間はあっという間に過ぎ、20時30分過ぎに電車は終点の富山駅北に到着しました。
今回、初めて「富山ライトレール富山港線」に乗車してみましたが、乗車したのが夜だったのと、時間的制約が厳しかったいうこともあり、しっかりと見ることが出来なかったのが心残りでした。
一方で、20時過ぎにもかかわらず、かなりの乗客が乗り降りしていたのには正直驚きました。
開業から来年で10周年を迎える同路線の利用が、かなり定着しているのかなぁという印象を受けました。
本音を言えば、昼間の利用実態を見たかったのですが、これに関しては次回以降の宿題としておきましょう。
賛否両論はあるかと思いますが、スタイリッシュな外観、インフォメーションの見易さ、そして本数の大幅増便や終電時間の延長といった利用者視点のサービスの導入など、「富山ライトレール富山港線」が各方面へ与えたインパクトは大きく、利用の定着という点で考えても、富山港線の低床電車化は正解だったのかもしれません。
先程も述べましたが、富山地方鉄道富山市内軌道線と相互乗り入れが実現すると、「富山ライトレール富山港線」の利便性はさらに向上することでしょう。
同路線が今後どのように発展し変化していくのか、そして「コンパクトシティ」を目指す富山市の街づくりにどのような影響をもたらすのか、是非とも注目したいですね。
今度訪問の際は、昼間に半日~1日かけてじっくり現地を見て来ようと思います。


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