西日本鉄道「はかた号」プレミアムシート 乗車記(2014年6月乗車分)
元祖「キング・オブ・夜行バス」福岡~東京新宿線「はかた号」。(番組では「キング・オブ・深夜バス」という名称で紹介されていました。)
1990年10月12日に京王帝都電鉄(現:京王電鉄バス 本社:府中市)と西日本鉄道(本社:福岡市)が共同で運行を開始し、経路変更や運行会社の変更(西鉄の単独運行)を経て、今日まで運行を続けています。
実はこの「はかた号」、ここ数年で大きく変わっています。
変わった点は2つ。
一つは運行される車両です。
「はかた号」といえば、白い車体に「太陽の塔」を連想させる故岡本太郎氏のデザインを思い浮かべる方も多いかと思いますが、2009年冬に導入された2階建てバス「三菱エアロキング」、全国で初めて導入された「3クラス制の座席」、そして新たに採用されたゴールドと花をあしらった公募デザインは、それまでの西鉄夜行高速バスのイメージを大きく覆すものとなりました。
そしてもう一つは、長年の懸案であった北九州地区への乗り入れです。
元々「はかた号」に関しては、北九州地区への乗り入れの要望が少なからずがあったそうですが、運行距離・所要時間の関係から見送られてきた経緯がありました。
しかし、新名神高速道路開通により、中央自動車道経由から東名高速道路へ経路変更することで、所要時間を延長することなく北九州へ立ち寄ることが可能になったことから、2012年12月20日に実施されたダイヤ改正で北九州経由に変更されました。
同時に座席コンセントの全席提供並びにWi-fiサービスの本格実施もこの日から開始されています。
更に2013年4月1日には変動制運賃を導入、閑散期対策にも本格的に取り組んでいます。
私自身、かつては頻繁に「はかた号」を利用して九州へ行ったものですが、現行の2階建てバス「はかた号」にはこれまで一度も乗車したことがありませんでした。
しかしながらとある日に九州へ行く所用があり、「それならば折角なので2階てバスの「はかた号」に乗車してみるか!」ということで、念願の2階てバスの「はかた号」に乗車してきました。
今回選んだのは、3つのグレードの中で最上級の「プレミアムシート」。数々の媒体で高評価を得ている「はかた号」プレミアムシートの乗り心地を一度味わってみたかったというのもありますが、「疲れているのでしっかり寝て移動したい。」というのが本音だったり(笑)。
果たして目的は達成出来るのでしょうか・・・。
ここから「はかた号」は出発します。
乗車当日は週末ということもあって、九州島内各方面へ向かう高速バスを待つ乗客で混雑していました。
「はかた号」は発車10分前の18時50分頃に入線します。
早速乗務員による改札が行われますが、2階建てバスの構造上、トランクルーム開口が通常のバスよりも高い位置あり、かつ容量が狭いために、荷物の預け入れにひと苦労する乗務員が気の毒に思えたりします。
乗務員による改札と荷物の預け入れを済ませ、車内に入ります。
車内はこの様になっておりまして、「3クラス制」を採用しています。
詳しく見ていきましょう。
まずは今回私がお世話になる最上グレード「プレミアムシート」から。
「プレミアムシート」は2階最前部に4席設置されています。
2階最前列ならではの眺望の良さと、ほぼ水平に近い状態で眠ることが出来る幅70cm、最大リクライニング角度156度、シートピッチ135cmを誇る超幅広ゆったりシートが特徴で、各座席には大型の足置き台、地デジ対応の7インチ液晶モニターが設置されている他、アメニティグッズ(耳栓、オリジナルフェイスタオル、使い捨て式アイマスク)の提供、軽食サービス、マッサージシートの貸し出しが行われます。
勿論、西鉄夜行高速バス伝統の「プライベートカーテン」も健在。まさに「眺望と眠りを楽しむためのシート」といえましょう。
続いては中間グレードの「ビジネスシート」。
こちらは従来の3列独立シートに該当し、2階中央部及び後方部に21席設置されています。
シート幅は51cm、最大リクライニングは角度146度、シートピッチは92.5cm~96cmを誇ります。
勿論、「ビジネスシート」にもプライベートカーテンは装備されている他、軽食サービスも行われます。
「それなりに安く、回りを気にせずに移動したい。」という方にはお勧めのシートです。
そして最後は、最安グレードの「エコノミーシート」。 こちらは1階部分に2人がけの座席(4列シート)が10席分設置されています。
シート幅は44cm、最大リクライニング角度は136度、シートピッチは85.5cmとなります。
1階部分に設置されているということもあり、かなりの圧迫感はありますが、「とにかく安く移動したい」という方にはお勧めしたいですね。
尚、「エコノミーシート」には軽食及びプライベートカーテンのサービスがありませんのでくれぐれもご注意を。
その他、共用設備として欠かせないのがトイレ。 こちらは1階中央出入口正面にあります。
決して広くないスペースで、あくまで緊急用といったところでしょうか。
落ち着いたところで、「プレミアムシート」に着席し、座り心地を確認してみます。
この「プレミアムシート」、見た目は結構頑丈かつ硬そうな座り心地に見えますが、実際に座って見ると硬くもなく、かといって柔らかくもない丁度良いクッション具合で、シートのホールド感も抜群。更にシートをフルに倒してみると、あまりのシートの倒れ具合と座り心地の良さにすぐに眠ってしまいそうな感覚でした。
「ソファに身を委ねるような座り心地」とはこのことか・・・と思いました。
流石、特別料金(3,100円)を払って乗る価値がある最上グレードだけのことはありますね。
15分程走った博多バスターミナル(JR博多駅前)で乗車扱いを行った後、バスは呉服町ランプから福岡都市高速道路に入ります。
このバスの乗務は西日本鉄道博多自動車営業所の乗務員2名が交代で担当。
福岡都市高速道路に入ったところで、交代乗務員から自己紹介と車内設備の案内がマイクにより行われ、最後に乗務員が車内を一巡し、分からない点が無いかどうかを確認します。
そつなく丁寧な案内は流石にしてつグループといったところでしょうか。
案内が終わる頃、バスは福岡インターから九州自動車道へ。いよいよ東京新宿へ向けての長いハイウェイの旅が始まります。
20時00分頃、バスは八幡インターから北九州都市高速道路に入ります。
ここまでは至って順調で、この先もこのペースで進めば、翌朝の定時到着が見込めそうです。
20時10分、黒崎インター引野口に到着。
ここで乗車扱いの為に停車後、再度北九州都市高速道路を小倉へと向けて走ります。
左手には八幡市街の夜景が。工業都市ならではの夜景ですが、2階建てバスの最前部から眺める夜景もまた格別ですね。
20時31分、砂津(チャチャタウン前)に停車後、20時35分、小倉駅前高速バス乗り場に到着します。
ここでは7名が乗車し、本日乗車予定の乗客がこれで揃ったことになります。
この日は「プレミアムシート」と「エコノミーシート」が満席であるのに対し、「ビジネスシート」は僅か6名。
都市~都市間路線で3列シートが売れにくいという現象は、この「はかた号」にも当てはまるようです。
小倉駅前を出発したところで、再度乗務員から自己紹介と車内設備の案内がマイクにて行われます。
その間、バスは富野ランプから北九州都市高速道路に入り、門司インターからは九州自動車道、更に関門橋~中国自動車道~山陽自動車道を東京へ向けてひた走ります。
21時00分頃、関門橋を通過。
消灯後に通過することが多い関門橋からの夜景は久しぶりですが、門司市街と下関市街の街の灯りが幻想的な雰囲気を醸し出していて、更に2階最前列からの眺望となると、これはもう普段とは違った景色に見えますね。
関門橋を通過して約1時間後の22時05分、バスは消灯前の休憩場所である山陽自動車道佐波川サービスエリアに到着します。
ここでは15分間の開放休憩時間が設定されており、大半の乗客がバスを降りてトイレや買い物・一服を済ませていきます。
22時20分、乗客が全員揃ったところで、乗務員がプライベートカーテンをセットし、車内灯が消され、消灯となります。
この先は数回乗務員交代と車両点検・給油のために停車しますが、乗客は翌朝の開放休憩まで下車することが出来ません。
その間、バスは山陽自動車道~中国自動車道~名神高速道路~新名神高速道路~東名阪自動車道~伊勢湾岸自動車道~東名高速道路を東京へ向けてひた走ります。
バスが走り出して23時頃まで起きていたのですが、流石に眠気には勝てず、暫くしてシートを倒して眼を瞑ります。
2階建てバス特有の「激しい上下の揺れ」に多少難儀するものの、水平に近いシートの倒れ具合とソファに引けをとらない座り心地に魅了され、いつしか夢の中へ。翌朝の乗務員によるモーニングコールまで目を覚ますことはありませんでした。
まもなくして交代乗務員がプライベートカーテンを片付け、その後提供品である軽食一式が配られますが、「プレミアムシート」利用者と「ビジネスシート」利用者とでは内容が若干異なり、「プレミアムシート」利用者にはポカリスエット500mlヴァージョンとSOY JOY2本、「カロリーメイトハーフ」(2本入り)1個が配られます。
その頃バスは、東名高速道路の日本坂パーキングエリアから静岡インターに差し掛かる区間を走行。
時計を見る限りではほぼ定時にて運行している模様です。
7時05分、バスは朝の開放休憩場所である東名高速道路日本平パーキングエリアに到着します。
ここでは15分間の開放休憩時間が設定されており、乗務員もここで最後の交代を行います。
こちらのパーキングエリアでも大半の乗客が下車し、トイレや買い物を済ませていきますが、私もトイレと買い物を済ませた後、Web用の写真撮影を手早く済ませます。
間近で見る「はかた号」エアロキングを改めてじっくり見てみますが、車高が高い分、通常のバスと比較しても迫力が一際違いますね。
7時20分、乗客が全員揃ったところでバスは出発します。
東京新宿まであと2時間程。「もうここまで来たか・・・」という想いと同時に「もっと乗っていたい」という名残惜しい想いがこみ上げてきます。
「プレミアムシート」の快適さから来るものなのか、それとも日本を代表する長距離夜行高速バスに乗車しているというステータスから来るものなのか・・・恐らく両方でしょうね。(笑)
バスは東名高速道路を東京へ向けてひた走ります。
左手に足柄サービスエリアを望むと、いよいよ最後の難所「足柄峠」に差し掛かります。
流石にこの辺はカーブとアップダウンがきつく、車内移動の際には何かに掴まっていないと危ない状態になります。
足柄峠を越えると、工場や住宅地が見えてきます。
ここまで来ると、終点の東京新宿はあと少しです。
9時06分、用賀の東京インターを通過。
ここからは首都高速道路3号線~中央環状線を初台南ランプまで走行し、終点の東京新宿へと向かいます。
平日の朝ということもあって、若干渋滞気味ですが、それでも主だった渋滞に巻き込まれることはなく、9時20分に初台南ランプを通過します。
その後、甲州街道を経由し、定刻よりも5分遅い9時30分、バスは終点の新宿高速バスターミナルに到着しました。 14時間30分の長い様で短かったバス旅を惜しみながらバスを降り、乗務員から荷物を受け取りますが、降りていく他の乗客達の一応ホッとした表情が印象的でした。
そして、一仕事を終えて回送されていく「はかた号」の後姿を見届けながら、私はバスのりばを後にしました。
「3クラス制」を採用してからの「はかた号」に乗車したのは今回が初めてだったのですが、最上グレード「プレミアムシート」の座り心地を体験できたこと、「3クラス制」を採用した現行車両の現状と課題、そして現「キング・オブ・夜行バス」こと「Lions Express」(福岡~横浜・東京池袋・さいたま大宮線)との関係性についてに考えることが出来たのが大きな収穫でした。
詳細については次作の乗車記本「夜行バス紀行Vol.02」にて書く予定ですが、ともあれ元祖「キング・オブ・夜行バス」の独特な風格と充実したサービスが、時が経った現在でも決して色褪ていないことが今回の乗車で改めて確認出来ました。
閑散期の利用促進や現行車両の老朽化など、同路線が抱える課題は決して少なくありませんが、今後も福岡と東京都を結ぶ「夢の架け橋」として末永く運行を続けて欲しいと切に願うばかりです。
【乗車データ】
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バブル期の「第一次高速バスブーム」の象徴でもあり、北海道のローカルバラエティ番組「水曜どうでしょう」をきっかけにバスファンのみならず日本全国にその名が知られる様になった、
1990年10月12日に京王帝都電鉄(現:京王電鉄バス 本社:府中市)と西日本鉄道(本社:福岡市)が共同で運行を開始し、経路変更や運行会社の変更(西鉄の単独運行)を経て、今日まで運行を続けています。
実はこの「はかた号」、ここ数年で大きく変わっています。
変わった点は2つ。
一つは運行される車両です。
「はかた号」といえば、白い車体に「太陽の塔」を連想させる故岡本太郎氏のデザインを思い浮かべる方も多いかと思いますが、2009年冬に導入された2階建てバス「三菱エアロキング」、全国で初めて導入された「3クラス制の座席」、そして新たに採用されたゴールドと花をあしらった公募デザインは、それまでの西鉄夜行高速バスのイメージを大きく覆すものとなりました。
そしてもう一つは、長年の懸案であった北九州地区への乗り入れです。
元々「はかた号」に関しては、北九州地区への乗り入れの要望が少なからずがあったそうですが、運行距離・所要時間の関係から見送られてきた経緯がありました。
しかし、新名神高速道路開通により、中央自動車道経由から東名高速道路へ経路変更することで、所要時間を延長することなく北九州へ立ち寄ることが可能になったことから、2012年12月20日に実施されたダイヤ改正で北九州経由に変更されました。
同時に座席コンセントの全席提供並びにWi-fiサービスの本格実施もこの日から開始されています。
更に2013年4月1日には変動制運賃を導入、閑散期対策にも本格的に取り組んでいます。
私自身、かつては頻繁に「はかた号」を利用して九州へ行ったものですが、現行の2階建てバス「はかた号」にはこれまで一度も乗車したことがありませんでした。
しかしながらとある日に九州へ行く所用があり、「それならば折角なので2階てバスの「はかた号」に乗車してみるか!」ということで、念願の2階てバスの「はかた号」に乗車してきました。
今回選んだのは、3つのグレードの中で最上級の「プレミアムシート」。数々の媒体で高評価を得ている「はかた号」プレミアムシートの乗り心地を一度味わってみたかったというのもありますが、「疲れているのでしっかり寝て移動したい。」というのが本音だったり(笑)。
果たして目的は達成出来るのでしょうか・・・。
車内は「プレミアム」「ビジネス」「エコノミー」の3クラス制
やって来たのは、福岡市中心部の天神に位置する西鉄天神バスセンターの5番乗り場。ここから「はかた号」は出発します。
乗車当日は週末ということもあって、九州島内各方面へ向かう高速バスを待つ乗客で混雑していました。
「はかた号」は発車10分前の18時50分頃に入線します。
早速乗務員による改札が行われますが、2階建てバスの構造上、トランクルーム開口が通常のバスよりも高い位置あり、かつ容量が狭いために、荷物の預け入れにひと苦労する乗務員が気の毒に思えたりします。
乗務員による改札と荷物の預け入れを済ませ、車内に入ります。
車内はこの様になっておりまして、「3クラス制」を採用しています。
詳しく見ていきましょう。
まずは今回私がお世話になる最上グレード「プレミアムシート」から。
「プレミアムシート」は2階最前部に4席設置されています。
2階最前列ならではの眺望の良さと、ほぼ水平に近い状態で眠ることが出来る幅70cm、最大リクライニング角度156度、シートピッチ135cmを誇る超幅広ゆったりシートが特徴で、各座席には大型の足置き台、地デジ対応の7インチ液晶モニターが設置されている他、アメニティグッズ(耳栓、オリジナルフェイスタオル、使い捨て式アイマスク)の提供、軽食サービス、マッサージシートの貸し出しが行われます。
勿論、西鉄夜行高速バス伝統の「プライベートカーテン」も健在。まさに「眺望と眠りを楽しむためのシート」といえましょう。
続いては中間グレードの「ビジネスシート」。
こちらは従来の3列独立シートに該当し、2階中央部及び後方部に21席設置されています。
シート幅は51cm、最大リクライニングは角度146度、シートピッチは92.5cm~96cmを誇ります。
勿論、「ビジネスシート」にもプライベートカーテンは装備されている他、軽食サービスも行われます。
「それなりに安く、回りを気にせずに移動したい。」という方にはお勧めのシートです。
そして最後は、最安グレードの「エコノミーシート」。 こちらは1階部分に2人がけの座席(4列シート)が10席分設置されています。
シート幅は44cm、最大リクライニング角度は136度、シートピッチは85.5cmとなります。
1階部分に設置されているということもあり、かなりの圧迫感はありますが、「とにかく安く移動したい」という方にはお勧めしたいですね。
尚、「エコノミーシート」には軽食及びプライベートカーテンのサービスがありませんのでくれぐれもご注意を。
その他、共用設備として欠かせないのがトイレ。 こちらは1階中央出入口正面にあります。
決して広くないスペースで、あくまで緊急用といったところでしょうか。
ソファに身を委ねるような座り心地?
一通り車内を見たところで、バスは出発時刻になり、19時00分、定刻にバスは西鉄天神バスセンターを出発します。落ち着いたところで、「プレミアムシート」に着席し、座り心地を確認してみます。
この「プレミアムシート」、見た目は結構頑丈かつ硬そうな座り心地に見えますが、実際に座って見ると硬くもなく、かといって柔らかくもない丁度良いクッション具合で、シートのホールド感も抜群。更にシートをフルに倒してみると、あまりのシートの倒れ具合と座り心地の良さにすぐに眠ってしまいそうな感覚でした。
「ソファに身を委ねるような座り心地」とはこのことか・・・と思いました。
流石、特別料金(3,100円)を払って乗る価値がある最上グレードだけのことはありますね。
15分程走った博多バスターミナル(JR博多駅前)で乗車扱いを行った後、バスは呉服町ランプから福岡都市高速道路に入ります。
このバスの乗務は西日本鉄道博多自動車営業所の乗務員2名が交代で担当。
福岡都市高速道路に入ったところで、交代乗務員から自己紹介と車内設備の案内がマイクにより行われ、最後に乗務員が車内を一巡し、分からない点が無いかどうかを確認します。
そつなく丁寧な案内は流石にしてつグループといったところでしょうか。
案内が終わる頃、バスは福岡インターから九州自動車道へ。いよいよ東京新宿へ向けての長いハイウェイの旅が始まります。
20時00分頃、バスは八幡インターから北九州都市高速道路に入ります。
ここまでは至って順調で、この先もこのペースで進めば、翌朝の定時到着が見込めそうです。
20時10分、黒崎インター引野口に到着。
ここで乗車扱いの為に停車後、再度北九州都市高速道路を小倉へと向けて走ります。
左手には八幡市街の夜景が。工業都市ならではの夜景ですが、2階建てバスの最前部から眺める夜景もまた格別ですね。
20時31分、砂津(チャチャタウン前)に停車後、20時35分、小倉駅前高速バス乗り場に到着します。
ここでは7名が乗車し、本日乗車予定の乗客がこれで揃ったことになります。
この日は「プレミアムシート」と「エコノミーシート」が満席であるのに対し、「ビジネスシート」は僅か6名。
都市~都市間路線で3列シートが売れにくいという現象は、この「はかた号」にも当てはまるようです。
小倉駅前を出発したところで、再度乗務員から自己紹介と車内設備の案内がマイクにて行われます。
その間、バスは富野ランプから北九州都市高速道路に入り、門司インターからは九州自動車道、更に関門橋~中国自動車道~山陽自動車道を東京へ向けてひた走ります。
21時00分頃、関門橋を通過。
消灯後に通過することが多い関門橋からの夜景は久しぶりですが、門司市街と下関市街の街の灯りが幻想的な雰囲気を醸し出していて、更に2階最前列からの眺望となると、これはもう普段とは違った景色に見えますね。
関門橋を通過して約1時間後の22時05分、バスは消灯前の休憩場所である山陽自動車道佐波川サービスエリアに到着します。
ここでは15分間の開放休憩時間が設定されており、大半の乗客がバスを降りてトイレや買い物・一服を済ませていきます。
22時20分、乗客が全員揃ったところで、乗務員がプライベートカーテンをセットし、車内灯が消され、消灯となります。
この先は数回乗務員交代と車両点検・給油のために停車しますが、乗客は翌朝の開放休憩まで下車することが出来ません。
その間、バスは山陽自動車道~中国自動車道~名神高速道路~新名神高速道路~東名阪自動車道~伊勢湾岸自動車道~東名高速道路を東京へ向けてひた走ります。
バスが走り出して23時頃まで起きていたのですが、流石に眠気には勝てず、暫くしてシートを倒して眼を瞑ります。
2階建てバス特有の「激しい上下の揺れ」に多少難儀するものの、水平に近いシートの倒れ具合とソファに引けをとらない座り心地に魅了され、いつしか夢の中へ。翌朝の乗務員によるモーニングコールまで目を覚ますことはありませんでした。
朝の東名路を東京新宿へ・・・
6時30分頃、乗務員のモーニングコールと共に車内灯が灯けられ起床となります。まもなくして交代乗務員がプライベートカーテンを片付け、その後提供品である軽食一式が配られますが、「プレミアムシート」利用者と「ビジネスシート」利用者とでは内容が若干異なり、「プレミアムシート」利用者にはポカリスエット500mlヴァージョンとSOY JOY2本、「カロリーメイトハーフ」(2本入り)1個が配られます。
その頃バスは、東名高速道路の日本坂パーキングエリアから静岡インターに差し掛かる区間を走行。
時計を見る限りではほぼ定時にて運行している模様です。
7時05分、バスは朝の開放休憩場所である東名高速道路日本平パーキングエリアに到着します。
ここでは15分間の開放休憩時間が設定されており、乗務員もここで最後の交代を行います。
こちらのパーキングエリアでも大半の乗客が下車し、トイレや買い物を済ませていきますが、私もトイレと買い物を済ませた後、Web用の写真撮影を手早く済ませます。
間近で見る「はかた号」エアロキングを改めてじっくり見てみますが、車高が高い分、通常のバスと比較しても迫力が一際違いますね。
7時20分、乗客が全員揃ったところでバスは出発します。
東京新宿まであと2時間程。「もうここまで来たか・・・」という想いと同時に「もっと乗っていたい」という名残惜しい想いがこみ上げてきます。
「プレミアムシート」の快適さから来るものなのか、それとも日本を代表する長距離夜行高速バスに乗車しているというステータスから来るものなのか・・・恐らく両方でしょうね。(笑)
バスは東名高速道路を東京へ向けてひた走ります。
左手に足柄サービスエリアを望むと、いよいよ最後の難所「足柄峠」に差し掛かります。
流石にこの辺はカーブとアップダウンがきつく、車内移動の際には何かに掴まっていないと危ない状態になります。
足柄峠を越えると、工場や住宅地が見えてきます。
ここまで来ると、終点の東京新宿はあと少しです。
9時06分、用賀の東京インターを通過。
ここからは首都高速道路3号線~中央環状線を初台南ランプまで走行し、終点の東京新宿へと向かいます。
平日の朝ということもあって、若干渋滞気味ですが、それでも主だった渋滞に巻き込まれることはなく、9時20分に初台南ランプを通過します。
その後、甲州街道を経由し、定刻よりも5分遅い9時30分、バスは終点の新宿高速バスターミナルに到着しました。 14時間30分の長い様で短かったバス旅を惜しみながらバスを降り、乗務員から荷物を受け取りますが、降りていく他の乗客達の一応ホッとした表情が印象的でした。
そして、一仕事を終えて回送されていく「はかた号」の後姿を見届けながら、私はバスのりばを後にしました。
色褪せていない風格とサービス
というわけで、西日本鉄道「はかた号」プレミアムシートの乗車記をお届けしました。「3クラス制」を採用してからの「はかた号」に乗車したのは今回が初めてだったのですが、最上グレード「プレミアムシート」の座り心地を体験できたこと、「3クラス制」を採用した現行車両の現状と課題、そして現「キング・オブ・夜行バス」こと「Lions Express」(福岡~横浜・東京池袋・さいたま大宮線)との関係性についてに考えることが出来たのが大きな収穫でした。
詳細については次作の乗車記本「夜行バス紀行Vol.02」にて書く予定ですが、ともあれ元祖「キング・オブ・夜行バス」の独特な風格と充実したサービスが、時が経った現在でも決して色褪ていないことが今回の乗車で改めて確認出来ました。
閑散期の利用促進や現行車両の老朽化など、同路線が抱える課題は決して少なくありませんが、今後も福岡と東京都を結ぶ「夢の架け橋」として末永く運行を続けて欲しいと切に願うばかりです。
【乗車データ】
- 乗車日:2014/06/23
- 乗車区間:
西鉄天神バスセンター→新宿高速バスターミナル - 運行会社:西日本鉄道
- 車両:三菱/エアロキング(BKG-MU66JS)
- 年式:2009年式
- 所属:博多自動車営業所
- 社番:0002
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