JR九州バス「パシフィックライナー」(大分~延岡・宮崎線)乗車記

昼行高速バス,高速バス乗車記

前回、2015年春に相次いで開業した東九州自動車道を走破する高速バスの1路線として、西鉄バス北九州の「高速バス 北九州~別府・大分線」をご紹介しましたが、今回はその続きとなります。


今回ご紹介するのは、大分バス・大分交通・亀の井バス・宮崎交通・JR九州バスが運行する「パシフィックライナー」(別府・大分~延岡・宮崎線)です。
JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 ドア上行先表示

高速バス「パシフィックライナー」(別府・大分~延岡・宮崎線)は、2015年4月1日に運行を開始。
大分バス・大分交通・亀の井バス・宮崎交通・JR九州バスの5社が一日6往復運行します。
6往復のうち4往復が大分発着となっており、残りの2往復は別府発着の大分経由となっています。
大分県と宮崎県を結ぶ都市間バスは、大昔に大分バスと宮崎交通が南宮崎~延岡~大分~別府線「ゆけむり号」「はまゆう号」という一般道経由の特急バスを運行していた他、1999年からは延岡と大分との間で「特急わかあゆ号」という特急バスを10年程運行していました。(大分バスは2004年3月末をもって運行から撤退、2010年3月末をもって路線自体が休止となっています。)
それだけに、今回の別府・大分~宮崎間高速バスの運行開始は、実に5年ぶりの復活となります。
所要時間は大分~宮崎間が約3時間40分、別府~宮崎間が約4時間となっており、並行するJR「ソニック」と比較しますと、大分~宮崎間が約3時間、別府~宮崎間が約3時間30分(大分駅での乗り換え時間を含む)ですので、30分近くの開きがあるとはいえ、ほぼ互角といえましょう。。
この路線の特長は、前回ご紹介した「高速バス 北九州~別府・大分線」と同様、何といっても運賃の安さであります。
「パシフィックライナー」も曜日別運賃を採用しており、乗車日にもよりますが片道2,800円~3,500円(別府・大分~宮崎間)で利用することが出来ます。
更に、WEB予約&クレジット決済を行うことで10%の割引が適用され、この場合、別府・大分~宮崎間を片道2,520円~3,150円で利用することが出来ます。
JR「にちりん」の小倉~大分間片道指定席が5,140円(2枚きっぷ指定席用利用の場合)ですので、JRよりも若干時間がかかるとはいえ、実質3割引~半額近くの金額で移動出来るのは大きなアピールポイントです。
とはいえ、別府・大分~宮崎間においては、これまでJRがほぼ独占していた区間。
果たして、高速バスに勝算はあるのでしょうか。

観光目的で乗っても楽しい「パシフィックライナー」

今回乗車したのは、大分新川13時05分発の便。
JR九州バスが運行を担当します。
本当はワイドトイレ&座席コンセント搭載の宮崎交通担当便に乗車する予定でしたが、行程の関係で早めに宮崎へ向かう必要が生じたため、1本早いJR九州バス担当便に変更しました。
乗車したのはこちらの車両↓。
JR九州バス「パシフィックライナー」 8656

JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 大分新川改札中
同社博多支店で貸切車(兼高速予備)として活躍していた8656号車(日産PKG-RA274RBN 西工02MC SD-Ⅰ)です。
新車を導入せずに他支店からの転用で対応していますが、もっとも「パシフィックライナー」で新車を投入しているのが宮崎交通のみということもあり、より快適に移動したいのであれば、宮崎交通便を狙うか、3列シート車を投入している大分バス・大分交通便を狙ったほうが良いでしょう。

車内はこの様になっておりまして、
JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 車内
4列シート40人乗りの昼行高速仕様になっています。
開放休憩が設定されていることを考慮すると、この程度の車内設備でも十分かもしれませんが、利用者からすると「せめて運行会社間で足並みを揃えてくれ」という声が出て来るかもしれません。

ところで、このJR九州バスの8656号車、私のブログの読者であれば見覚えがある車両かもしれません。
実はこの車両、かつて福岡~広島線「広福ライナー」夜行便の専用車として活躍していました。
JR九州バス「広福ライナー」夜行便 8656
元々この車両は、福岡~宮崎線「フェニックス号」の専用車として宮崎支店に配属され活躍していましたが、「フェニックス号」撤退と「たいよう号」(博多駅~宮崎線)の運行開始に伴い、「たいよう」の専用車として活躍します。
しかし、「たいよう号」が僅か1年で運行休止となり、その後は博多支店へ転属、福岡~広島線「広福ライナー」夜行便の専用車として活躍します。
その際に2+1配列の3列シートから4列シートに改造。
数年間「広福ライナー」で活躍後、貸切車(兼高速予備)で活躍し、「パシフィックライナー」運行開始に伴って宮崎支店へ転属、現在に至ります。
年式が10年満たない車両でこうも用途が変更されている車両も珍しいですね。

大分新川から乗車したのは、私を含めて2名。
その後、大分トキハ前で5名乗車し、総勢7名で延岡・宮崎へと向かいます。
流動数があるとはいえない区間ではありますが、とはいえ乗客数7名・・・「北九州~別府・大分線」と同様に「この路線、大丈夫なのかなぁ」という思いがします。
大分市内での渋滞に巻き込まれ、若干遅れてパークプレイス大分にて乗車扱いの為に停車しますが、乗車客は0。
その後バイパスを経由し、13時45分、大分宮河内インターから東九州道へ流入します。

大分から暫くの間は山間の区間を走行します。
左手にはこの様な車窓が広がります。
JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 車窓 その1

JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 車窓 その2
「いかにも東九州!!」といった景色が一面に広がります。
この様な車窓が存分に楽しめるという点で、「パシフィックライナー」は観光目的で乗っても楽しい路線かもしれません。

東九州自動車道に入って約1時間経過した14時51分、バスは北川インターを一旦降り、道の駅北川はゆまに到着します。
JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 道の駅北川はゆまにて その1

ここでは10分間の開放休憩が設定されておりトイレや買い物を済ませることが出来ます。
そして周りの環境も緑ばかりで、気分転換には最適の場所でもあります。
私も休憩中にトイレと買い物を済ませ、すぐさまバスへと戻ります。

15時01分、乗客が全員揃ったところで、バスは道の駅北川はゆまを発車。
暫くして、バスは最初の降車停留所である延岡インターに到着します。
この延岡インターバス停は、「パシフィックライナー」の停留所で唯一の延岡市内の停留所なのですが、延岡市街からは少し離れた場所に位置しています。
徒歩6分程離れた「小峰」バス停から延岡駅方面へのバスが出てはいるものの、インターバス停にその様な掲示が無いのは惜しいところ。
マイカーでの送迎を想定しているのでしょうが、せめてインターバス停での最寄バス停までの道程と接続時刻表の掲示位はしても良いのでは?と感じました。
ここでは1名が下車していきました。
その後の門川バスストップ、日向インター、西都インターは降車客がおらずに通過します。
左手には「宮崎に来た!」と思わせるような景色が広がります。
JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 車窓 その3

JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 車窓 その4

JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 車窓 その5

JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 車窓 その6

16時22分、バスは国富バスストップに到着。
ここでは1名が下車し、その次のの宮崎バスストップは降車客がおらず通過します。
16時28分、バスは宮崎西インターを流出。
ここで東九州自動車道とはお別れになります。
この先は国道10号線や宮崎市内の道路を経由し、宮崎中心街へと向かいます。
16時39分、宮崎中心街に入り、カリーノ宮崎前に到着するも降車客がおらずに通過。
そして16時45分、定刻よりも5分遅れてバスは宮崎駅に到着しました。
JR九州バス「パシフィックライナー」 8656 宮崎駅到着
終点は宮交シティバスセンターですが、乗り継ぎの関係もあり私はこちらで下車。
宮交シティへ向かうバスを見送りながら、私は次なる場所へと向かうのでありました。

途中停留所から市街地へのアクセスをどう周知するのか・・・

というわけで、JR九州バスの高速バス「パシフィックライナー」(大分~宮崎線)の乗車記をお届けしました。
大分を出発して3時間40分あまり、長く感じるかと思いきや、途中の道の駅北川はゆまでの休憩が良いアクセントになっていたためか、思っていたよりも長く感じずに済みました。
と同時に、東九州道からの眺めが素晴らしく、車窓目当ての観光目的や大分・別府・宮崎への観光目的で利用するといった使い方も、この路線に関しては十分にアリなのではと感じました。
一方で、前回ご紹介した「高速バス 北九州~別府・大分線」と同様、週末の土曜日にも関わらず10名前後の乗客・・・果たして大丈夫なのかなぁとも思いました。
そして、この路線に関してはもう一つ。
「パシフィックライナー」は途中、数箇所の高速道路のインターやバスストップに停車しますが、そのインターやバスストップから市街地へのアクセス(逆も然り)の周知をしっかり行う必要があるのでは?と感じました。
とかく地方の高速道路上のインターバス停やバスストップは、P&R駐車場を整備するなどマイカー優先の施策が取られますが、一方で地元バス会社の最寄バス停が近所にあるのであれば、そのバス停から市街地までの路線バスを使って貰わない手はありません。
「パシフィックライナー」の場合、延岡インターバス停と日向インターバス停、西都インターバス停、そして宮崎バスストップがこれに該当するのですが、車内から見た限り、これらバス停から市街地へ向かう最寄バス停までの案内掲示がありませんでした。
高速道路上のインターバス停やバスストップに、市街地へ向かう最寄バス停の道程と接続時刻表があればどんなに便利だろう・・・と今回思いました。
と同時に、周辺住民へのPRも行っていくことで、更なる利用促進に繋がるのではないかと考えます。
宮崎交通の今後の取り組みに期待したいと思います。

色々と書きましたが、運賃がJRと比較してかなり安いこと、そして所要時間がJR「にちりん」と比較して大差ないことを考慮すると、PRをしっかり行うことでそれなりの利用は付く路線になるのでは?と私は考えます。
折角開設した路線なのですから、開設したからには利用者が付く路線に成長して欲しい・・・
そんなことを思った、今回の「パシフィックライナー」の乗車でございました。


【乗車データ】 
  • 乗車日:2015/04/18
  • 乗車区間:
    大分新川→宮崎駅
  • 運行会社:JR九州バス
  • 車両:日産/PKG-RA274RBN(西工02MC SD-Ⅰ)
  • 年式:2006年式
  • 所属:宮崎支店
  • 社番:748-06556


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