西鉄高速バス「フェニックス号」各停便乗車記(2015年4月乗車分)

昼行高速バス,高速バス乗車記

前回、JR九州バスの東九州道高速バス「パシフィックライナー」(大分~宮崎線)をご紹介しましたが、今回はその続きとなります。


宮崎からは、福岡~宮崎間高速バス「フェニックス号」で福岡へ戻ります。
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 えびのPAにて その3

高速バス「フェニックス号」(福岡~宮崎線)については、このブログで何度も登場していますので、今更説明するまでもないかと思いますが、改めて簡単におさらいしておきましょう。
「フェニックス号」は、1988年4月29日に西日本鉄道(以下:西鉄)、九州産業交通(現:九州産交バス)、宮崎交通の3社が一日3往復体制で運行を開始します。
この頃は、八代~えびの間を一般道経由で運行していたために、所要時間も5時間半程かかっておりました。
しかしながら、当時は福岡~宮崎間の直通交通機関がJR特急「にちりん」と飛行機のみの状態で、運賃も高かったことから、片道6,000円と安い「フェニックス号」は瞬く間に人気路線へと成長していきます。
翌年の1989年にはJR九州(現:JR九州バス)が新たに参入、一日4往復体制になります。
その後、高速道路の延伸や夜行便の新設(現在は廃止)、数度のダイヤ改正による増便、更には運行会社の変更を経て、現在は西鉄・西鉄高速バス・宮崎交通・九州産交バス・JR九州バスの5社が1日28往復運行しています。
西日本鉄道「フェニックス号」夜行便 4966
(かつては北九州にも乗り入れていた西鉄「フェニックス号」夜行便)

この路線の特長は、何といっても「選べるグレード」と「運賃の安さ」です。
現在の「フェニックス号」は、西鉄・西鉄高速バス・宮崎交通(一部の便を除く)運行便に「セレクトシート車」という車両が運行されており、3列シートと4列シートが選択出来る様になっています。
選択出来るということは、当然適用される運賃も違う訳でして・・・
通常の3列シートの場合、福岡~宮崎間の片道運賃は4,630円ですが、ネット決済時に適用される「WEB割」(90円引き)が適用される他、乗車日の5日前にネット決済すると適用される座席数限定の「WEB早割5」の場合、福岡~宮崎間の片道運賃は3,600円となります。
一方の4列シートの場合、座席数限定の「席割」を利用すると福岡~宮崎間の片道運賃は2,500円となりますが、大型連休期間を除く月~木に適用される「スーパー席割」(こちらも座席数限定)を利用すると、福岡~宮崎間の片道運賃はなんと1,980円とかなりお得に移動することが出来ます。

移行組高速バス(旧高速ツアーバス)との競争やJR九州バスの一時離脱などの紆余曲折を得ながらも、福岡~宮崎間の主要交通機関として活躍している「フェニックス号」。
福岡~宮崎間を全区間通しで乗るのは約3年ぶりとなりますが、果たして「フェニックス号」の現状は如何に・・・。

休憩場所変更で運行に余裕が・・・

今回乗車したのは、宮崎駅17時00分発の各停便。
西鉄高速バスが運行を担当します。
乗車したのはこちらの車両↓でした。(写真はイメージです。)
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910

西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 宮崎駅にて
同社福岡支社所属の9910号車(日産PKG-RA274RBN 西工02MC C-Ⅰ)です。
「桜島号」(福岡~鹿児島線)や「フェニックス号」で活躍後、「セレクトシート」改造工事を受け、現在は「フェニックス号」専用車として活躍しています。

車内はこの様になっております。(写真はイメージです。)
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 車内

西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 シート
前方13席が2+1配列の3列シート、後方22席が4列シートの「セレクトシート」仕様車になっており、前方3列シートにはフットレスト・レッグレスト・DVD&ラジオ音声聴取用のマルチステレオが装備されています。
そして、最後部にはトイレも完備。
長時間のバスの旅も安心ですね。

宮崎駅から乗車したのは、私を含めて5名。
平日の夕方発の便ということもあってか、乗客は少な目です。
その後、宮交シティバスセンターで7名が乗車。
定刻よりも若干遅れてバスは宮交シティバスセンターを発車し、福岡へと向かいます。
モニターと自動音声による案内放送が行われた後、宮崎インターから宮崎自動車道に流入したところで、乗務員からの自己紹介と補足説明が行われます。
かつては肉声による案内のみでしたが、2014年春頃からモニターと自動音声による案内も行われる様になりました。
乗務員の負担軽減が目的だそうですが、自動音声に頼らず肉声による補足説明もしっかり行うあたりは、流石にしてつグループといったところでしょうか。

17時50分、都城北で7名が乗車します。
「フェニックス号」の特徴として、この都城北から乗車が多いことが挙げられます。
同路線が都城地区の福岡への足として立派に機能しており、繁忙期には宮崎交通の係員が日中時間帯に常駐して乗客の誘導に当たることもあるとか。
確かに、都城地区から福岡へ乗り換え無しで移動出来る交通機関は、この「フェニックス号」のみですので、ある意味納得は出来ますね。
その後、小林インターで乗車扱いを行いますが、乗車客はおらずに通過。
18時23分、えびのジャンクションを通過。
ここからは九州自動車道をひた走ります。
その2分後の18時25分、えびのインターで乗車扱いを行いますが、こちらも乗車客はおらずに通過。
そして、宮崎駅を出発して1時間半弱の18時27分、バスは最初の休憩場所であるえびのパーキングエリアに到着します。
約15分間の開放休憩時間が設定されており、殆どの乗客がバスを降りてトイレや買い物などを済ませていきます。
写真では分かりにくいですが、後方にはえびののループ橋が見えますね。
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 えびのPAにて その1

西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 えびのPAにて その2
以前はこの先の宮原サービスエリアで休憩を行っていましたが、2014年10月1日のダイヤ改正で、休憩場所が北熊本サービスエリアとえびのパーキングエリアの2箇所に変更されました。
乗務員及び乗客の休憩時間確保が目的ですが、同時に(厚生)労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)の「連続運転時間」(運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に運転を中断して30分以上の休憩等を確保)の遵守も目的としてあるのではと思います。
このダイヤ改正に伴い、所要時間が約20分延びていますが、安全運行と休憩時間確保であれば致し方が無いといったところでしょうか。

15分の休憩が終わり、乗客が全員揃ったところで、バスは出発。
えびのを出発する頃はまだ外が明るかったのですが、次第に日が落ち、人吉インターに近づく頃にはすっかり日が暮れてしまいました。

18時56分、人吉インターにて乗車扱いの為に停車します。
ここでは1名が乗車。
そして、人吉インターからはトンネルが連続する区間に入ります。
その数なんと23箇所!
この23箇所という数字は、九州道の全トンネル数の3分の2以上を占めるのだそうです。
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 車窓

約30分程走行し、左手に新八代駅が見えて来ると、八代インターはすぐそこです。
19時30分、八代インターに到着しますが、乗降客はおらず通過。
引き続き九州自動車道を福岡へ向けてひた走ります。

熊本インターを過ぎ、えびのから約1時間半ほど走行した20時03分、バスは2回目の休憩場所である北熊本サービスエリアに到着します。
ここでも15分間の開放休憩時間が設定。
トイレや買い物、更には気分転換の時間として有効に使いたいですね。
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 北熊本SAにて

15分の休憩時間が終わり、乗客が全員揃ったところで、バスは再び出発。
ここまで来ると、目的地福岡まではあと少しです。

20時43分、八女インターに到着するも降車客はおらずに通過。
その後の久留米インターでは1名が下車、更にその先の高速機山では2名が下車していきます。
大宰府インターを通過し、福岡都市高速道路を千代ランプまで走行すると、博多の街はもう目の前です。
21時29分、呉服町に到着。
ここでは2名が下車していきます。
21時36分、定刻5分遅れでバスは博多バスターミナル1階降車場に到着します。
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 まもなく博多バスターミナル
平時でも10分~20分以上遅れていたダイヤ改正前の状況と比較すると、定刻5分遅れは定時到着の範疇に入れても良いのかもしれませんね。
こちらでは5名が下車していきました。
そして、遅れをキープしたまま、21時50分にバスは終点西鉄天神高速バスターミナルに到着しました。
西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 西鉄天神高速バスターミナル到着 その1

西鉄高速バス「フェニックス号」 9910 西鉄天神高速バスターミナル到着 その2
本来であればこのまま福岡市内のホテルでチェックインして就寝・・・と言いたいところですが、この日はあいにく福岡市内のホテルがほぼ満席。
止む無く福岡から西鉄「なかたに号」で北九州小倉まで移動し、小倉駅近くの西鉄インにチェックインするのでありました。

心理的負担が和らいだ2回の開放休憩

というわけで、西鉄高速バス「フェニックス号」(福岡~宮崎線)各停便の乗車記をお届けしました。
今回、久しぶりに「フェニックス号」を福岡~宮崎間通しで乗車しましたが、一番感じたのは「2回の休憩による心理的負担の軽減」でしょうか。
ダイヤ改正前の「1回10分休憩」は、休憩時間が短いことから、時間を見計らって用事を済ませる必要があり、乗車時間の兼ね合いも考えると、乗客も乗務員もそれなりの心理的負担があったのではないでしょうか。
その点、ダイヤ改正後の「2回15分毎休憩」ですと、休憩時間も多少余裕がありますし、安全運行の観点から考えても、心理的負担は軽減されているのでは?と考えます。
「所要時間が長くなって不便になった」という声もある様ですが、感覚的にはダイヤ改正前と殆ど変わらない印象を持ちました。
むしろ、身体的及び精神的疲れが軽減されている様にも感じました。
長距離移動における休憩の重要性を改めて思い知った次第です。
一方で、今回は平日夕方の便ということで乗客は少な目でしたが、とはいっても20名近くの乗客が乗車しており、「フェニックス号」が福岡~宮崎間の主要交通機関として定着していることを改めて実感しました。
他の交通機関が今後どの様な対抗処置を打ってくるか分かりませんが、現状を見る限り暫くは安泰なのかなぁと思います。

1988年の運行開始以来、多くの方に利用されてきた高速バス「フェニックス号」。
今後も福岡~都城・宮崎間の主要交通機関として活躍し続けることでしょう。
私もそう遠くないうちに「フェニックス号」に乗車する時が来ると思います。
今度乗車する時は、宮崎近郊の観光を是非とも組み込んで、宮崎交通のバスも堪能したいなぁ・・・
そんなことを思った「フェニックス号」の乗車でございました。


【乗車データ】 
  • 乗車日:2015/04/18
  • 乗車区間:
    宮崎駅→西鉄天神高速バスターミナル
  • 運行会社:西鉄高速バス
  • 車両:日産/PKG-RA274RBN(西工02MC C-Ⅰ)
  • 年式:2008年式
  • 所属:福岡支社
  • 社番:9910


応援して頂けると嬉しいです。
↓  ↓  ↓  ↓

その他ランキング
にほんブログ村 その他趣味ブログ バス(車)へ
にほんブログ村