太平洋フェリー「きそ」苫小牧→名古屋 乗船記【15年ぶりのご無沙汰】

フェリー

北海道苫小牧と東北仙台・愛知名古屋の間を結ぶ「太平洋フェリー」
充実した船室・設備等で利用客から高い評価を受けており、「フェリー・オブ・ザ・イヤー」を25年以上もの間連続受賞するなど、船旅を扱う雑誌などでトップクラスの評価を得ています。

太平洋フェリー「いしかり」 苫小牧西港にて
苫小牧~仙台~名古屋航路で活躍する「いしかり」(苫小牧西港にて)

太平洋フェリー「きそ」 太平洋上にて
苫小牧~仙台~名古屋航路で活躍する「きそ」(太平洋上にて)

太平洋フェリー「きたかみ」 仙台港にて
主に苫小牧~仙台航路で活躍する「きたかみ」(仙台港にて)

このブログでは、太平洋フェリーの乗船記を何度か紹介していますが、実は先日、取材を兼ねた旅の足として、太平洋フェリー「きそ」を利用しました。
しかも、今回はなんと、

苫小牧~仙台~名古屋間を通しで利用しました!

苫小牧~名古屋間の通し乗船は、2014年5月乗船の「いしかり」以来、約6年ぶり!
(この時の模様はブログにて紹介しています。)



そして、「きそ」の乗船は、なんと2005年夏に乗船して以来、約15年ぶりとなったのです!
(この時の模様も、簡単ではありますがブログにて紹介しています。)


約15年ぶりの「きそ」の乗船、そして苫小牧~名古屋間の通し乗船としては初の「きそ」の乗船。
いったい、どの様な船旅になったのでしょうか・・・ご紹介しましょう。

尚、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、船内サービスは「新型コロナ対策仕様」になっておりました。
そのことについてもご紹介します。

太平洋フェリー「きそ」とは?

ここで、おさらいの意味も含めて、太平洋フェリーについて改めてご紹介しましょう。

太平洋フェリーは、名古屋に本社を置く名鉄グループのフェリー会社。
苫小牧~仙台~名古屋間で定期航路を運航しています。
設立は1970年(昭和45年)、太平洋沿海フェリー株式会社として設立され、当初は現在の苫小牧~仙台~名古屋間の運航ではなく、名古屋~大分間での運航でしたが、1973年(昭和48年)に苫小牧~仙台~名古屋間航路が開設されます。
名古屋~大分航路は1981年(昭和56年)に廃止されますが、その後の現会社への移管、度重なる新型船の投入等を経て、現在に至ります。

太平洋フェリーが注目されるようになったのは、先代「いしかり」が「フェリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞してから。
以来、同社のフェリーは「フェリー・オブ・ザ・イヤー」を25年以上もの間連続受賞しています。
次第にTVドラマや旅番組・雑誌等の各媒体にも取上げられる様になり、今や「クルーズフェリー」の代名詞として各方面からの注目を集めています。

話を元に戻しましょう。
太平洋フェリーには「いしかり」「きそ」「きたかみ」の3隻が在籍していますが、今回乗船したのは、同社のフラッグシップ的存在の「いしかり」の僚船である「きそ」
現在のところ、太平洋フェリーに在籍する船としては一番古い船になります。(とはいっても2005年就航ですが・・・。)

太平洋フェリー「きそ」 太平洋上にて

私のフェリー乗船記ではお馴染み?ですが、今回も時系列を追う形で船旅を振り返ります。

太平洋フェリー「きそ」の旅【1日目】

17時10分 苫小牧フェリーターミナルに到着

通常、苫小牧フェリーターミナルへは、札幌駅前ターミナルを15時00分発に発車する北海道中央バス「高速とまこまい号」の利用が一番便利なのですが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う運休の影響で、残念ながら利用することが出来ません。(2020年7月1日現在)
後発便の札幌駅前ターミナル16時00分発でも間に合うのですが、道路渋滞などの影響で高速バスが遅延すると乗船出来なくなる可能性があるため、今回は自宅最寄り駅からJRを乗り継いで苫小牧駅まで移動し、苫小牧駅からは道南バス「24系統 フェリー線」で苫小牧フェリーターミナルにやって来ました。

道南バス 24系統「フェリー線」 ・997_01

苫小牧西港フェリーターミナル_01

入口には消毒液が、
しっかりと消毒して建物内に入ります。

苫小牧西港フェリーターミナル_02

早速乗船手続きを行いますが、乗船手続き前に検温と健康確認シートの記入を行う必要があります。
検温で37.5℃以上ある方や体調不良の方、法務省が発表している上陸拒否の地域に過去14日以内に渡航歴のある方およびその接触者の方は乗船出来ません。(この場合、キャンセル料は不要となり、全額払い戻しとなります。)

苫小牧西港フェリーターミナル_02

検温、健康確認シートの記入を終え、乗船手続きへ。
難なく手続きを終え、2階の待合室にて乗船開始を待ちます。

苫小牧西港フェリーターミナル_03

17時30分 乗船開始

売店で買い物を済ませ、いよいよ乗船。
名古屋まで約39時間の船旅の始まりです。

苫小牧西港フェリーターミナル_04

2階乗船口から乗船しますが、太平洋フェリーの乗船連絡橋はエスカレーター・エレベーター完備のバリアフリー対応になっていて、足が不自由な方でも楽に乗船することができます。
因みに、他のフェリー会社(商船三井フェリー・シルバーフェリー)の乗船連絡橋は、ここまで立派ではありません。
太平洋フェリー、優遇されていますなぁ。


17時40分 船内散策

早速、船内を散策します。

【エントランスホール】
エントランスは3層吹き抜け構造となっており。その中央にある光壁とムービングカラースポットライトからの照射による光の演出で、エキゾチックな雰囲気を醸し出しています。

太平洋フェリー「きそ」 5デッキ エントランス_01

太平洋フェリー「きそ」 5デッキ エントランス_02

【案内所(インフォメーション)】
案内所(インフォメーション)も5デッキ エントランス部にあります。
感染症対策のビニールシートも取り付けてありました。

太平洋フェリー「きそ」 5デッキ エントランス_03 案内所(インフォメーション)

【売店(ショップコーナー)】
売店(ショップコーナー)は5デッキに設置。
売店側通路には、著名人のサイン色紙などが飾られています。
時間を区切っての営業にはなりますが、土産類や軽い飲食物などを購入する際に便利です。
以前はカップラーメン類の取り扱いがありませんでしたが、新型コロナ対策に伴う施設一部閉鎖に伴い、カップラーメン類も少数ではありますが取り扱っていました。

太平洋フェリー「きそ」 5デッキ 売店_01

太平洋フェリー「きそ」 5デッキ 売店_02

【展望大浴場】
展望大浴場の入口は5デッキにあります。
疲れを癒すのに最高の施設ですね。

太平洋フェリー「きそ」 5デッキ 展望大浴場入口

【レストラン「タヒチ」】
船内レストラン「タヒチ」は、6デッキにあります。
船旅といえば「食事」。
3日の朝までお世話になる施設でもあります。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ レストラン「タヒチ」_01

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ レストラン「タヒチ」_02

【展望通路「プロムナード」】
6デッキには展望通路「プロムナード」が。
ふと外の景色を見たい時や、読書をしながらのんびりしたい時など、何かと便利な場所でもあります。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 展望通路「プロムナード」_01

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 展望通路「プロムナード」_02

ざっと共有部分の様子をご紹介しましたが、見ての通り、内装の色使いにメリハリを利かせているのが「きそ」の特徴といえましょう。
優雅な雰囲気を醸し出す白を基調とした「いしかり」の内装も好きなのですが、個人的には「きそ」の内装の方が好みだったりします。

【新型コロナ対策で閉鎖されている施設】
尚、ご存知の方も多いかと思いますが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、対策の一環として次の施設・イベントが閉鎖・中止されています。

<閉鎖・中止されている施設・イベント>(2020年7月1日現在、今後変更される可能性があります。)

  • スタンドコーナー「マーメイドクラブ」
  • カラオケボックス
  • ゲームコーナー
  • マッサージ機
  • 展望浴室内サウナ
  • ラウンジショー
  • 映画上映
  • ピアノ演奏
太平洋フェリー「きそ」 6デッキ ラウンジ「サザンクロス」
6デッキ ラウンジ「サザンクロス」

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ スタンド「マーメイドクラブ」
6デッキ スタンド「マーメイドクラブ」

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 施設閉鎖・イベント中止の案内
施設閉鎖・イベント中止の案内

また、船長服の貸出やおもちゃ類の貸出(キッズルーム)といったサービスも中止となっております。
ご乗船予定の方は、くれぐれもご注意願います。


17時55分~18時10分 部屋に入室、荷物整理など

今回の航路でお世話になった1等洋室(インサイド)です。
S寝台でも良かったのですが、空調をこまめに管理出来、1人でのんびりしたかったということもあり、今回はこちらの部屋を選びました。
荷物の整理などをしながら、夕食の時間まで過ごします。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 1等インサイド_01

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 1等インサイド_02

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 1等インサイド_03

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 1等インサイド_04

トイレ、洗面台、シャワー、クローゼットなども完備しており、この設備で苫小牧~名古屋間17,600円(ネット割の場合)はかなりお得なのではないでしょうか。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 1等インサイド_05

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 1等インサイド_06

18時10分 夕食

お腹が空いてきたところで、レストラン「タヒチ」にて夕食をとります。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ レストラン「タヒチ」_01

太平洋フェリーの船内レストランといえば、バイキングスタイルの食事が有名ですが、新型コロナウイルス感染症対策でバイキングスタイルでの食事提供は中止。
代わって、「限定メニュー」での提供に変更されています。

「限定メニュー」は、朝夕夜いずれも「和」と「洋」の2種類から選べるようになっており、全食ご飯とみそ汁(またはパン)、ソフトドリンクのフリードリンクが付きます。
価格は、朝食が500円、昼食が800円、夕食が1,000円となっています。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ レストラン「タヒチ」_02

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ レストラン「タヒチ」_03

初日1日目の夕食は、洋食を選択。
量が多い少ないは個人差がありますが、味もしっかりしており、美味しくいただきました。
ただ、これが2日続けて・・・となると、正直飽きるかもしれません。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ レストラン「タヒチ」_1日目夕食

19時00分 苫小牧西港出港

夕食を済ませたところで、甲板に出て出港の様子を見ることにします。

太平洋フェリー「きそ」 甲板 苫小牧出港_01

太平洋フェリー「きそ」 甲板 苫小牧出港_02

19時00分、出港の合図の銅鑼が流れ、苫小牧西港を出港します。
名古屋港到着は、翌々日の10時30分。
約40時間の船旅の開始です。

太平洋フェリー「きそ」 甲板 苫小牧出港_03

太平洋フェリー「きそ」 甲板 苫小牧出港_04

19時30分~22時00分 部屋でのんびり

スタンド「マーメイドクラブ」で生ビールと枝豆を・・・といいたいところですが、閉鎖されているので、売店で缶のハイボールとコーラと氷を買い込んで、手製のコークハイを作って呑みながら、部屋でのんびりとします。

20:00にラウンジ「サザンクロス」でショーを・・・といいたいところですが、こちらも閉鎖されているので、どうしようもありません。
船内アナウンスが終了する22:00頃まで、TVを見ながら呑んでのんびりと過ごします。


22時00分 入浴

この時刻をもって、船内アナウンスは終了。
翌朝7時まで消灯時間となります。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響は、このフェリーにも。
普段であれば、この時間でもそれなりに人がいる展望通路ですが、この日は指で数える程の人しかおらず、実に閑散としておりました。
私自身、太平洋フェリーには何度も乗船していますが、これ程までに閑散とした船内を見たのは、今回が初めて。
新型コロナウイルス感染拡大の影響というものを改めて実感しました。

落ち着いたところで、展望大浴場でひとっ風呂を浴びますが、こちらも貸切状態。
ゆっくりと風呂に浸かることが出来たのは良いですが、ひとりだけの大浴場は、少し寂しいですね。

太平洋フェリー「きそ」 5デッキ 展望大浴場入口

24時00分 就寝

風呂でゆっくりしたところで、就寝です。
ベットに横たわり、布団をかけると、いつしか夢の中へ。
翌朝までぐっすりと寝たのでありました。

太平洋フェリー「きそ」 6デッキ 1等インサイド ベッド

(2日目に続きます。)