第19回 地域バス交通活性化セミナー(札幌)に参加して来ました

交通系セミナー・勉強会・イベント

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去る2018(平成)年10月18日に、札幌市内のホテルにて国土交通省北海道運輸局、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団主催の交通系セミナー「第19回 地域バス交通活性化セミナー」が開催されました。

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バス交通の活用と地域の活性化を考える場として、2013(平成25)年2月から全国各地で開催され、今回が19回目となります。
この「地域バス交通活性化セミナー」には、第1回の東京開催と第3回の大分開催、そして第17回の札幌開催の計3回参加しましたが、今回のテーマは前回・前々回の「運転手確保」から一転変わって、

「「ひと」と「まち」を結ぶ持続可能な公共交通の実現を目指して~地域の足づくり~ 」

がテーマでした。

まあ、原点回帰といったところでしょうか。(あくまで個人的印象です。)

基調講演は名大加藤教授が担当

主催の国土交通省北海道運輸局の方及び公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の理事長による挨拶の後、名古屋大学大学院環境学研究科加藤教授による基調講演が始まります。

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今回の基調講演のテーマは、

「バス交通の見直しで地域活性化と低炭素化を呼び込む」

でした。

簡単にいってしまうと、読んで字の如く、バス交通の立て直しで地域活性化と低炭素化を呼び込むために、自治体や事業者はどういったことを考え、実行すればよいのか・・・というお話です。

約1時間、

  • みんなで「一所懸命」つくり育てる→事業者・自治体・住民・利用者・沿線企業が対等な関係で話し合い、お金を出し合い、バスの運行を支えていく→これこそが「コミュニティバス」の本来の姿なのではないのか!
  • 震災後のバスの活躍
  • ぶっちゃけ、不採算で担い手のない公共交通を無理して走らせる必要はあるのか?
    →地域公共交通は「目的」ではなく「手段」として考えなければならない。
    →ありがたい公共交通をどうつくるかが大事。
  • 「乗って楽しい」「降りても楽しい」公共交通を整備する・・・病院ではない「降りても楽しい場所」を整備することとセットで考えることが大事
  • 公共交通よりクルマの方が使いやすいから使っているのが現状。
    →クルマが運転できなくなった公共交通が利用出来るはずがない。=自由に外出できなくなる時。
    →運転出来なくなっても生活できる社会の仕組みづくりが大事。そのための公共交通でなければならない。
  • コンパクトシティ&ネットワークのお話
    →国交省が「今までのように「好きな場所」に「好き勝手」に住めなくなりますよ。」ということをいっているのを理解すべき。
    →つまり、公共交通の改善は、街づくりとセットで考えないと、持続可能な街にはならない。
    →魅力ある、使いやすい、そして多くの方に乗っていただける公共交通を作っていくことが大事。
と、インパクトある内容を、いくつかの事例を挙げながら説明していました。

中でも今回私が印象に残った(というかショックを受けた)のは、岐阜県白川町・東白川村の事例でした。
この地域は、約2時間に一本発着するJR白川口駅から濃飛バス(濃飛乗合自動車)の路線バスが4路線運行されていましたが、運行を担当する営業所が深刻な運転士不足に陥り、2016年に大減便と土日運休化、一部区間の廃止が実施されたそうです。
その結果、高校通学がままならなくなり、過疎化が一気に進みました。
その後、事業者・自治体・住民が約3年の年月をかけて検討を重ね、今年2018(平成30)年10月から路線バス事業者・タクシー事業者・自治体・住民がタッグを組んだ新しい地域公共交通システムがスタートしております。
話を聞いていて、「高校通学が出来ない地域は15歳で人口流出(しかも家族総出)が起きる」「一旦流出すると戻ってこない」という言葉に納得するとともに、これって北海道でも近々に多くの市町村で起こりうる(というか既に起きている)事象なのではと思いました。
新しい地域公共交通システムがスタートした同地区には、機会を見て訪れてみたいですね。

あとは、全但バス神鍋高原線の「バス会社の成功体験が、バス会社の心に火を点けた」という話は、「こういう成功体験って物事を進める上で大事だよなぁ」と改めて気付かされました。

で、最後は例のこれ↓で締めました。
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尚、基調講演で使用されたPPについては、後日加藤先生の公式サイト(加藤博和・ホームページ)にて公開される他、エコモ財団の公式サイトにもアップされる予定です。
興味がある方は一度読まれてみてはいかがでしょうか。

パネルディスカッションは「紋別」がテーマ

休憩を挟み、後半はパネルディスカッション。
紋別市の取り組みについてが主なテーマでした。

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コーディネーターは、北見工業大学工学部の高橋教授。
趣旨説明の後に、紋別市の棚橋副市長による「紋別市の公共交通及び紋別市地域公共交通網形成計画概要、紋別市としての取り組み」の説明があった後に、北紋バス神社長による「紋別市地域公共交通網形成計画に関する取り組みについて」のプレゼンがあり、それを受けて加藤先生によるアドバイスと質問、高橋による質問及び補足説明という形で進められました。

加藤先生からの鋭い(?)アドバイスは、当事者にとっては耳が痛かったでしょうが、コンサルに依頼せずに自前で作成した点はすごいなあと思いますし、真摯に取り組んでいるという点ではコンサルに丸投げしている自治体よりは全然マシだと個人的には思いました。
また、アドバイスの中で網形成計画で記載すべきポイントも随所で語られていて、実際に現場に携わっている事業者や自治体担当者には参考になったのではないかと感じました。

最後に

こうして、約3時間弱のセミナーは無事に終了。
他の参加者がどう感じたのかは分かりませんが、個人的には新たな実例の話を聞けたことや、「網形成計画ってこの様なことが書かれているんだぁ」「こういったことも書かなければいけないのか」という話が聞けたという点で、とても参考になりました。
たまにはこの様なセミナーに参加して知見を深めないといけませんね。

それにしても、この状況はどうにかしないとまずいのでは・・・と常日頃思う次第です。
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