十勝バス 創立90周年記念復刻塗装車(日野新型ブルーリボン)
昨年2016年は、十勝バスの前身である十勝自動車合資会社の創立から90周年にあたります。
十勝バスといえば、家庭訪問式の営業活動や現場の創意工夫などが功を奏し、利用者をV字回復させたことで一躍有名になりましたが(この辺の話については、今回の話題とは関係ありませんので詳細は割愛しますが)、私にとって十勝バスは思い出深いバス会社の一つでもあるのです。
というのも、実は私、5歳から11歳の間の約6年間、父親の仕事の関係で帯広に住んでおりました。
当時、両親は自動車免許を所有しておらず、街へ買い物に出掛ける時や、学校が終わって習い事へ出掛ける際は、必ず十勝バスを利用していました。
小学生時代にこのカラーリングを見て育った私。
約30年の時を経て、再びこのカラーリングを見られるとは思いもしなかっただけに、復刻塗装車の運行開始は、私のみならずかつての「ブルーリボンカラー」を見て過ごした者にとっては感慨深いものがあるのではないでしょうか。
本来であれば、すぐにでも現地(帯広)へ行って実見するべきなのでしょうが、昨年秋は私自身多忙で伺うことが出来ませんでした。
それが、今年の1月と3月にようやく時間が出来たことから、現地へ向かい実見しました。
というわけで、今回は時間が少し経過してしまいましたが、十勝バスの創立90周年復刻塗装車を改めてご紹介します。
最新型車両にもよく似合う「ブルーリボンカラー」
ここ数年来の十勝バスは、旧来車両の置き換え目的で、大型路線車の新型車両を導入しています。昨年2016年も大型路線車の新型車両が計3台導入されました。
j-busが新型路線車(日野ブルーリボン、いすゞエルガ)をフルモデルチェンジしたこともあり、同社においても日野新型ブルーリボンの導入が期待(?)されましたが、導入された車両は大方の予想通り日野新型ブルーリボンとなりました。
2016年に導入された新型車両3台は、いずれも旧鉄道線代替系統に投入されており、1601号車は「広尾線」(帯広駅~広尾営業所)をメインに、1602号車は「ぬかびら線・上士幌線」(十勝バス本社~帯広駅~上士幌・ぬかびら温泉郷)をメインに、1603号車は陸別線(十勝バス本社南口~帯広駅~池田~足寄~陸別)をメインに運行しています。
このうち、「広尾線」で活躍する1601号車が『十勝バス創立90周年復刻塗装車』としてデビューしたのです。
今回、実見場所として選んだのは、帯広から南へ約80kmの広尾町。
広尾から帯広駅へ向かう便(広尾営業所10時59分発)に実際に乗車してみました。
広尾といえば、かつての旧国鉄広尾線の終着駅があった場所。
旧駅舎は当時のままの状態を保ちつつ、十勝バスの案内所と資料館に生まれ変わっています。
向かったのは、広尾案内所(=旧駅舎)から徒歩20分位のところにある十勝バス広尾営業所。
十勝バス「広尾線」はこちらを始発としています。
広尾営業所のバス停は、営業所敷地内にあります。
敷地内のバス停へ向かうと・・・お目当ての復刻塗装車が停車しているではありませんか。
早速車両を見ていくことにしましょう。
まずは外観から。
先述の通り、ベース車は日野新型ブルーリボン(QPG-KV290Q1)で、長尺ノンステップ仕様になっています。
往年の「ブルーリボンカラー」が意外にも(といっては失礼ですが)よく似合っているのには正直驚きました。
ここで注目したいのは、正面の日野のエンブレム。
現在の日野のエンブレムは、Hinoの頭文字「H」をイメージしたものになっていますが、昔は車両には写真のエンブレムが装着されていました。
このエンブレムですが、十勝バスの公式Facebookページによると、同社の倉庫に保管されていたものを当時の新入社員が綺麗に磨いたものを装着しているとか。
ある種のこだわりを感じさせます。
車内はこの様になっております。 先代の日野ブルーリボンⅡノンステップと同様、ハイバックシートを搭載した着席重視型郊外路線仕様になっています。
シートピッチが若干狭いのが難点といえば難点ですが、朝夕を中心に利用が多いことを考慮すると、致し方がないのかなぁという気もします。
雪が残る十勝平野を北上
広尾営業所を発車したバスは、複雑な経路の広尾町内を走行した後、広尾案内所へ。更に広尾案内所からは、国道336号~236号を帯広へ向けてひた走ります。
沿線には残雪が、遠くには日高山脈が一望できます。
民間の宇宙開発で有名になりつつある大樹(たいき)を通過し、バスは更に北上します。
広尾営業所から1時間程でバスは忠類に到着します。 かつては「忠類村」というひとつの村でしたが、2006年2月に隣接する幕別町に編入合併され、現在は幕別町の一部になっています。
忠類ではトイレ休憩が設定されていますが、乗務員から案内がなされることもなく、希望者は乗務員に一声かけて下車するシステムの様です。
配布時刻表にもトイレ休憩停車の記載もあることですし、利用者の立場としては乗務員から一声案内があるとありがたいのですが・・・・。
忠類を発車したバスは、引き続き帯広へ向けて北上します。
更別、中札内と通過したバスは、やがて「愛の国から幸福へ」でお馴染みの幸福に停車。
右手には建て替えられた駅舎とホーム、鉄道車両(キハ22)が見えます。
因みに、幸福からは帯広市になります。
帯広市って意外と南側に広いのです。
大正、愛国、川西を過ぎると、帯広市街地へと入っていきます。
かつては国道236号を直進するルートでしたが、郊外への宅地開発、ロードサイド店の進出、病院・学校の移転・新設などにより、十勝バス「広尾線」もルートが変更されました。
現在は川西4号を過ぎた交差点を左折し、工業高校、北高・北斗病院、移転したイトーヨーカ堂を経由してから、西5条通を通り帯広市中心部へと入るルートになっています。
帯広市内線の性格も兼ねているからか、川西辺りからは買い物客や部活動帰りの高校生などで次第に混み始めます。
そして、広尾営業所を発車すること約2時間40分で、バスは終点の帯広駅バスターミナルに到着。
乗客を降ろしたバスは、LED表示を「ご乗車出来ません」に変更し回送されていきました。
この後、ひと休みしてから帯広市内の路線に運用されるのでしょうか。
最後に
というわけで、十勝バス「創立90周年記念復刻塗装車」を乗車記風でご紹介しました。今回、久しぶりに十勝バス「広尾線」を通しで乗車しましたが、車両が最新型とはいえ、古き良き時代の面影を色濃く残した復刻塗装車であると感じました。
と同時に、幼少の頃に母親と一緒に「広尾線」を通しで利用した時のことも思い出しました。
当時は同じ広尾線でも複数の系統があり、更別経由と上札内経由(現在は中札内村がコミュニティバスを運行)の2系統が運行されていました。
更に、旧国鉄広尾線廃止直後は、これらに加えてTV付車両による「快速便」も運行されており、平成元年あたりまでが帯広~広尾間のバスの最盛期だったのかもしれません。
そう考えると、現在の運行ダイヤはかなりスリム化されていますが、それでも1時間~2時間ヘッドのダイヤを維持しているのは、利用者にとってはありがたいのかもしれません。
もっとも、旧国鉄ローカル線代替路線であるということは考慮しなければなりませんが。
最後に、今回ご紹介した十勝バス「創立90周年記念復刻塗装車」ですが、先述の通り「広尾線」(帯広駅~広尾営業所間)をメインに、間合運用で「大空団地線」や「音更線」などにも入るそうです。
実際に乗車出来るか否かは運次第ということになりますが、帯広訪問の際は是非一度見て乗車されてみてはいかがでしょうか。
私も次回訪問時は、是非このバスで幸福駅を訪れてみたいですね。
【おことわり】
車両運用等の都合上、変更になる場合があります。
くれぐれも運行会社へのお問い合わせはなさらぬ様に願います。
【乗車データ】
- 乗車日:2017/03/26
- 乗車区間:
広尾営業所→帯広駅バスターミナル - 運行会社:十勝バス
- 車両:日野/ブルーリボン(QPG-KV290Q1)
- 年式:2016年式
- 所属:本社(帯広営業所)
- 社番:1601
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