西鉄観光バス「西鉄バスファンツアー第13弾 九州のちからを感じよう」に参加しました

一般路線バス

前回の記事『鹿児島交通加世田バスターミナルを見てみる』の続きになります。


鹿児島交通 加世田バスターミナル その1

鹿児島交通 準急 鹿児島加世田線 1827 その2

鹿児島交通加世田バスターミナルの実見を終え、加世田→鹿児島→福岡と移動した私。
撮影と身支度を済ませた私は、今回の九州訪問の最大の目的である西鉄バスファン有志による貸切乗車会「西鉄バスファンツアー第13弾 九州のちからを感じよう」に参加すべく、集合場所へと向かうのでありました。

実は以前から、貸切乗車会の主催チームから貸切乗車会の参加のお誘いを受けていはいたのですが、当方の日程上の都合や乗車会参加の抽選漏れにより、これまで参加出来ずにいました。
今般、5月中旬にこの乗車会のお誘いを受けまして、日程調整が出来たことから参加を決意。
この日を楽しみにしていました。
今回の貸切乗車会の目的地は、「とある場所にある工場」と「熊本地震からの復興で頑張っている南阿蘇」
何でも、普段は見学出来ない工場を特別に見せてくれるとか。
どの様な光景が待ち受けているのか・・・高ぶる気持ちを抑えながら集合場所へと向かいます。

出発前のサプライズ

今回の貸切乗車会の集合場所は、JR博多駅筑紫口の貸切バス駐車場。
博多地区の貸切バス集合場所としてお馴染みの場所でもあります。
集合札を確認し、受付を済ませバスの乗車準備を待ちます。

と、貸切バス駐車場に注目して見ていると・・・
JR九州バス「ななつ星専用バス」 ・・・7

JR九州バス「ななつ星専用バス」 ・・・7
なんと、JR九州のクルーズ寝台列車「ななつ星」専用バスが停車しているではありませんか。
このバスですが、JR九州バス所有・運行しており、同社の貸切バス車両を約3,000万円かけて改造、投入しました。
カラーリングを「ななつ星」と同様のものに変更した他、フロントマスクを西工02MCタイプに交換。
車内もワイドトイレを新設し他、シートモケット、床、内壁の全面張替えを実施しています。
普段中々お目にかかれないバスだけに、私を含めた参加者は驚くとともに一斉にカメラを構えて撮影。
嬉しい出発前のサプライズとなりました。

西鉄観光バスのフラッグシップ車「スーパーハイデッカー」で一路目的地へ

バスの出発準備が整ったところで、終日お世話になるバスに乗車します。
今回乗車したバスはこちら↓。
西鉄観光バス 9631

西鉄観光バス 9631 リア

西鉄観光バス 9631 前面

西鉄観光バス 9631 側面
西鉄観光バス福岡支社所属9631号車(日産PKG-RA274RBN)です。
同社が所有するスーパーハイデッカー車で、にしてつグループの貸切バスの中でもフラッグシップのうちの一台でもあります。
シャーシは日産ディーゼル製となっており、ドイツZF製電子制御トルコン式6速ATを搭載しています。
同タイプの車両は、西鉄観光バスでも数台のみの在籍となっており、ある意味貴重な車両であるともいえましょう。
車内は、一般的な4列シート配列となっていますが、後部座席はサロン配列に変更することが出来ます。
天井部の宇宙空間をイメージした照明が特徴といえましょうか。
尚、ボディは西工製「02MC SD-1」タイプを架装しています。

8時40分、参加者が揃ったところでバスはJR博多駅筑紫口を発車します。
15分程で福岡空港国際線ターミナルに到着。
ここで参加者1名をピックアップしますが、早着したからか、ここでちょっとした撮影タイムとなりました。
西鉄観光バス 9631 福岡空港国際線ターミナルにて

福岡空港国際線ターミナルを発車したバスは、太宰府インターから九州自動車道へ。
10分強でバスは最初の休憩場所である基山パーキングエリア(下り線)に到着します。
九州自動車道のパーキングエリアの中では最も規模が大きく、サービスエリア並かそれ以上と規模を誇ります。
そして、敷地内には九州内の高速バスの大半が停車する「高速基山」バス停も併設されています。
こちらでも撮影タイムとなりました。
西鉄観光バス 9631 基山PA下り休憩中 その1

西鉄観光バス 9631 基山PA下り休憩中 その2

西鉄観光バス 9631 基山PA下り休憩中 その3
この日の天候は快晴そのもの。
私を含めた参加者は、思い思いに青空と被写体をカメラに収めていましたが、晴天に映える西工製スーパーハイデッカーは、何処となく誇らしげにも見えます。

基山パーキングエリアでの休憩の後は、九州自動車道を鳥栖インターで流出し、JR新鳥栖駅へ。
最後の参加者1名をピックアップしますが、時間に余裕があるとのことで、こちらでも10分間の休憩停車となりました。
当然、休憩場所での撮影も欠かせません。
西鉄観光バス 9631 新鳥栖駅休憩中

参加者が全員揃ったところで、バスは新鳥栖駅を発車。
そして、今回の貸切乗車会の第一目的地へと向かいます。
その目的地とは・・・

国内有数のバス車体リペア工場を特別見学

鳥栖市内を20分程走行して向かった先はこちら。
西鉄車体技術 その1
西鉄バスファンであれば、知らない人はいない「西鉄車体技術」本社工場です。
今回の貸切乗車会実施にあたり、特別に見学することになりました。
普段は一般見学を受け入れていないとのことで、今回の見学を私自身も楽しみにしておりました。

ここで、西鉄車体技術について簡単に紹介しておきましょう。
会社のルーツは、戦前の1943年に設立された九州飛行機(のちの渡辺自動車工業)、戦後1946年に設立された西日本車体工業(以下:西工)、そして1956年に設立された新日本機動工業(のちの共栄車体工業)に始まります。
西工は主にバス車体の新造を、渡辺自動車工業と共栄車体工業は親会社である西日本鉄道をはじめとする各社のバス車両の修理・更新を手がけていました。
ところが、バス業界を取り巻く環境変化などの理由で、渡辺自動車工業は1994年9月に佐賀県三養基郡基山町に本社を移転。
2001年には会社を解散した上で、共栄車体工業が事業を引き継ぎました。
更に、大口顧客からの受注終了という経営環境の激変に見舞われていた西工は、経営規模の大幅な縮小による会社の存続の道を探っていましたが、大口顧客に代わる受注も見込めないことから、事業の継続は困難と判断。
西日本車体工業を2010年8月31日付で解散し、アフターサービスを共栄車体工業が引き継ぎました。
その後、共栄車体工業は2011年4月に本社を旧西工本社から現在の場所(佐賀県三養基郡基山町)に移転。
そして、2016年1年に西鉄車体技術に商号を変更し、現在に至ります。
現在は、親会社である西日本鉄道をはじめとする全国各社のバス車両の修理・更新を手がける他、バスの改造、特殊車両の製造、中古車両の販売、ハーネス(配線関係のパーツ)の製作、バス関連部品の販売なども行っています。

到着した私達は、本社2階の会議室へ。
案内役の社員の方から会社の概要や沿革、事業内容などの説明を30分程受けた後、工場見学となりました。
西鉄車体技術 その2

今回は土曜日の見学ということで工場自体は休日であったため、全施設の見学とはなりませんでしたが、主に艤装工場と塗装工場を見学させていただきました。
西鉄車体技術 その3

西鉄車体技術 その4

西鉄車体技術 その5

西鉄車体技術 その6
残念ながら、秘匿事項があまりにも多いため、これ以上は画像で紹介することが出来ませんが、「あれっ、この事業者のあのバスが工場入りしている!」「このバスはあの会社へ移籍するんだぁ!」と参加者一同は興味津々。
同時に、工場内の徹底した整理整頓は、さながら5年前に見学した某バス製造工場をも彷彿させます。
この点について社員の方にお聞きしたところ、「一般的な修理工場は煩雑にしているところも多いが、うちは西工の流れを汲んでいるということもあって、車両新造と同じ心構えで仕事をしている。また、トヨタ系の社員の方も見学に来ることがあり、整理整頓に関しては徹底して指導している。整理整頓が出来ている職場は、必然的に仕事の質も上がるし、良い仕事が出来ますから。」とのこと。
工場見学の際によく聞く話ではありますが、仕事に向き合う姿勢という点で改めて感心しました。

工場見学が終わったところで、社屋の会議室に戻って質疑応答となりました。
その中で社員構成についての説明があり、現在は社員の約4割が西工出身者とか。
西工解散時にj-busなど他社への転職でバラバラになったのが、「やはり九州で西工での様な仕事に戻りたい。」ということで、出戻りされる方が結構いらっしゃるとのことでした。
それだけ、今までしてきた仕事、会社に愛着を持っているということなのでしょうね。
この他にも、西鉄で活躍しているボルグレン・スカニア連接バスに関する話や、あの会社がコケた実の理由、西鉄車体技術の今後に関することなど、ここでは書けないお話を伺うことが出来、とても参考になりました。

約1時間半の見学を終えた私たちは次なる目的地へ。
西鉄観光バス 9631 西鉄車体技術にて

西鉄車体技術出発後は、車内で自己紹介タイムとなりました。
今回九州地区を中心に、北は北海道(もちろん私です!)から関東、関西、南は鹿児島まで約30名が参加。
女性の参加者もおり、西鉄バスのファン層の広さを改めて実感しました。

西鉄車体技を発車して1時間程で、バスは玉名パーキングエリアに到着。
こちらでは約15分間の開放休憩となりました。
九州自動車道 玉名パーキングエリア

西鉄観光バス 9631 玉名PA下り休憩中 その1

西鉄観光バス 9631 玉名PA下り休憩中 その2

西鉄観光バス 9631 玉名PA下り休憩中 その3
多くの方がバスの撮影を行っている中、お昼時間を過ぎたということもあってか、売店で軽い食事を購入される方も中にはいらっしゃいました。

玉名パーキングエリアを発車したバスは、九州自動車道を益城熊本空港インターまで走行し、インターを降りてからは県道36号を東へと向かいます。
40分程でバスは阿蘇くまもと空港に到着。
こちらで昼食タイムとなりました。
西鉄観光バス 9631 熊本空港休憩中

阿蘇くまもと空港は、熊本市から北東へ約20kmの阿蘇山の山麓にあり、年間利用客数は、国内3,009,611人、国際45,826人(2013年度)と、福岡空港、鹿児島空港に次いで、九州3位の年間利用客数を誇ります。
国内線は東京(羽田・成田)、名古屋(中部・小牧)、大阪伊丹、天草、那覇へ、国際線は韓国(仁川)、台湾(高雄)の各方面へ就航しています。
2016年4月の熊本地震で、ターミナルビルの損傷や滑走路一部剥離、進入指示灯不点灯などの被害を受けましたが、現在は完全復旧し、熊本の空の玄関口として機能しています。
ターミナルビルの3階には、九州産交リテールが運営するフードコートがあり、カレーやステーキ、和食、ラーメンなどが堪能出来ます。
時間があまりなかったこともあって、私は熊本のあか牛を使用したカレーにカツをトッピング。
美味しうございました。
阿蘇くまもと空港 あか牛カレー+カツ

食事後、送迎デッキに出てみます。
JAL B767-300 one world塗装 熊本空港にて
JALのB767-300 one world塗装が駐機していました。
これから東京羽田への便として折り返すのでしょうか・・・。

熊本地震の復興で頑張っている街へ

阿蘇くまもと空港での昼食タイムを終えた一行は、主催チームの方からの熊本地震についての説明を受けながら、空港近くの被災者仮設住宅や瓦礫等二次置き場の横を通過します。
そして、実際に被災に合われた参加者の方から、インタビュー形式で地震当日の様子などについて聞くことになります。
地震発生時、熊本は震度7でしたが、その参加者の方曰く「タンスは予め固定されていたが、震度7には耐えきれず倒れてきた。」とのこと。
激震の恐ろしさを改めて知ることと同時に、いつどこで大地震が起きるか分からない日本列島、普段からの地震対策の必要性を改めて感じました。

バスは県道206号から県道28号を経由して、南阿蘇村の道の駅「あそ望の郷くぎの」へと向かいます。
この辺の道路も震災の影響で通行止めとなりましたが、国が直轄事業として災害復旧を進めた結果、俵山トンネルと旧道を迂回路とした東西方向の通行を確保するための工事が完了し、2016年12月24日に開通しました。
旧道はアップダウンとカーブがきつく、ハンドルを握る乗務員も慎重にバスを進めていきます。

やがて左手には、阿蘇の山々が見えて来ます。
西鉄観光バス 9631 車窓 その1

西鉄観光バス 9631 車窓 その2
天候が良いこともありますが、「素晴らしい!!!」の一言ですね。

15時35分頃、バスは道の駅「あそ望の郷くぎの」に到着。
こちらでは45分程のフリータイムとなりました。
といいつつも、実際は撮影会状態でした。
西鉄観光バス 9631 道の駅あそ望の郷くぎの休憩中 その1

西鉄観光バス 9631 道の駅あそ望の郷くぎの休憩中 その2

青い空と背後の山々をバックに停車する西工SD-1・・・絵になりますなぁ。
西鉄観光バス 9631 道の駅あそ望の郷くぎの休憩中 その3

駐車場は満車に近い状態。
多くの観光客で賑わっておりました。

道の駅から眺める阿蘇の山々も絶景です。
西鉄観光バス 9631 車窓 その3

道の駅「あそ望の郷くぎの」は、飲食施設や売店も充実しています。
北海道へ持って帰る土産物を購入した後、3時のおやつということでラムレーズンのジェラートをいただきます。
さっぱりしていて、美味しうございました。
道の駅あそ望の郷くぎの ジェラート

楽しいバス旅もいよいよ終わりへ・・・

楽しいフリータイムも終わり、あとは福岡へ戻るのみとなってしまいました。
往路と同じ道を益城熊本空港インターまで走行し、九州自動車道を北へ向けて走ります。
1時間弱でバスは北熊本サービスエリアに到着。
予定よりも早く到着したことから、こちらでは時間調整を兼ねて30分間の停車となりました。
西鉄観光バス 9631 北熊本SA休憩中

北熊本サービスエリアでは、この様なものが。
北熊本SA 馬ロースステーキ
馬肉のロースステーキです。
熊本といえば「馬刺し」が有名ですが、馬肉のロースステーキをサービスエリアで販売しているとは・・・。
この量で500円は人それぞれ判断が異なるでしょうが、小腹を満たすには十分な量といえましょう。
食べ易くてあっという間に平らげてしまいました。

北熊本サービスエアからは再度九州自動車道を北上し福岡へと向かいます。
鳥栖ジャンクションを過ぎ、基山パーキングエリアで最後の休憩停車となりました。
最後の休憩停車ということもあって、夕暮れの中の撮影大会となりました。(笑)
西鉄観光バス 9631 基山PA上り休憩中 その1

西鉄観光バス 9631 基山PA上り休憩中 その3

西鉄観光バス 9631 基山PA上り休憩中 その4

西鉄観光バス 9631 基山PA上り休憩中 その5

西鉄観光バス 9631 基山PA上り休憩中 コックピット

基山パーキングエリアを発車したバスは、九州自動車道を太宰府インターまで走行し、太宰府インターからは国道3号バイパスを福岡市内へ向けて走ります。
そして19時30分過ぎ、バスは福岡空港国際線ターミナル3階に到着しました。
西鉄観光バス 9631 福岡空港国際線ターミナル到着
終着は博多駅筑紫口ですが、この後の飛行機への乗り継ぎの関係もあり、私はこちらでお別れとなりました。
私他1名を降ろしたバスは、日が沈みかけた福岡の街をラストスパート。
白く輝くボディの後姿を見届け、国内線ターミナルへと向かうのでありました。

というわけで、西鉄バスファン有志による貸切乗車会「西鉄バスファンツアー第13弾 九州のちからを感じよう」の模様をお届けしました。
初めての参加でしたが、西鉄車体技術の特別見学に南阿蘇地区の訪問と、あっという間に時間が過ぎていく内容の濃い1日でした。
個人的には、普段見られないバスリペア工場の見学と裏阿蘇の素晴らしい風景が大変印象に残りました。
特に熊本~南阿蘇地区かけての区間は、「大地震から頑張って立ち上がろう」という心意気を感じたと同時に、意外にも(といっては失礼ですが)街・ひと共に生き生きとしている姿を見て、少し安堵もしたというのが実感です。
まずは、今回の貸切乗車会にお誘いいただいた主催チームの方々に、この場を借りて感謝を申し上げます。
そして、この貸切乗車会に参加された皆様、大変お世話になりました。
また呼んでいただけると幸いです。

それにしても、仲間内でバスを貸し切って旅行するというのもいいものですね。
おいそれ何度も・・・というわけにはいきませんが、これはハマりそうですね。

西鉄観光バス 9631 玉名PA下り休憩中 その4


【乗車データ】 
  • 乗車日:2017/05/27
  • 乗車区間:
    博多駅筑紫口→西鉄車体技術→道の駅あそ望の郷くぎの→福岡空港国際線ターミナル
  • 運行会社:西鉄観光バス
  • 車両:日産/PKG-RA274RBN(西工02MC SD-1)
  • 年式:2007年式
  • 所属:福岡支社
  • 社番:9631

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