JR九州「かわせみ やませみ4号」を見てみる(簡単な乗車記)
車内で軽食やスイーツのコース料理が振舞われる「或る列車」を含めて、2015年8月時点で10種類の「D&S列車」を運行してきましたが、その「D&S列車」にまた一つ仲間が増えました。
その列車とは・・・2017年3月に運行を開始した熊本~八代~人吉間特急列車「かわせみ やませみ」であります。
球磨川及び肥薩線沿線を自由に旅したであろう野鳥の「翡翠(かわせみ)」と「山翡翠(やませみ)」から名付けられたこの列車、果たしてどの様な車両なのでしょうか・・・。
ということで、気になった私は、運行を開始して2週間ほど経過した2017年3月の連休に現地へ向かいました。
実体は「九州横断特急」の代替?
ここで、JR九州の熊本~八代~人吉間特急列車「かわせみ やませみ」について、簡単におさらいしておきましょう。特急「かわせみ やませみ」は、JR九州が2017年3月4日に運行を開始した11番目のD&S列車(デザイン&ストーリー列車)です。
2017年3月4日のJRダイヤ改正で、熊本~八代~人吉間の特急列車は、「いさぶろう・しんぺい」を含めて4往復体制となりましたが、そのうち3往復が「かわせみ やませみ」で運行されます。
以前は185系気動車による特急「くまがわ」「九州横断特急」が同区間で運行されていましたが、2016年3月のダイヤ改正で特急「くまがわ」は運転取りやめに、特急「九州横断特急」は熊本~阿蘇~大分間に運行区間が短縮されました。(熊本地震の影響で、現在は熊本~阿蘇間が運休中。) 運転取りやめ分の特急列車については、快速列車への代替及び「いさぶろう・しんぺい」1往復の熊本への延伸で対応していましたが、今回の特急「かわせみ やませみ」の運行開始は、事実上の肥薩線熊本~八代~人吉間特急列車の復活=「九州横断特急」熊本~八代~人吉間の代替といえるでしょう。
運行ダイヤは、前身である肥薩線快速のダイヤをおおむね踏襲していますが、折り返しの準備、清掃作業や途中駅での停車時間(観光停車)のために、一部列車で運行時刻が最大で約30分変更となっています。
車両は、キハ47形の2両編成となっており、車両デザインはお馴染み水戸岡鋭治氏が担当しています。
1両ごとカラーリングが異なっているのが特徴です。
人吉側車両の1号車(キハ47 8087)には、「かわせみ」の愛称が付けられています。
車体色や座席モケットの色は青を基調としており、車内にはリクライニングシート(24席)、カウンター席(10席)+子ども椅子(3席)、ボックス席(4席)、ソファ席(2席)が設置。
連結面寄りの部分には、従来のトイレを改造した多目的トイレのほか、カウンターテーブルも設置しています。
一方の熊本側2号車(キハ47 9051)には、「やませみ」の愛称が付けられています。
車体色や座席モケットの色は緑を基調としており、車内にはソファ席(4席)、リクライニングシート(16席)、カウンター席(4席)、「やませみベンチシート」(2席)、ボックス席(8席)、ショーケース、ビュッフェ(サービスコーナー)が設けられています。「やませみベンチシート」は幅の広いソファ形の座席で、2号車が指定席の列車の場合、「やませみベンチシート」を利用する際は通常の指定席特急料金に210円を加えた料金が必要となります。
車内の随所には、人吉・球磨産の杉(床材等)やヒノキ(内装材の一部)、八代産のイグサを使用。
地元特産のものをふんだんに取り入れるあたり、「D&S列車」らしさを感じます。
尚、客室乗務員によるサービス(車内販売など)については、平日と休日で乗務列車が異なっており、平日は3号~6号、土休日は2号~6号で実施されます。
いずれの日も1号には客室乗務員が乗務しないため、客室乗務員によるサービスは行われませんので、注意が必要です。
生憎の空模様の中を球磨川沿いをぬって熊本へ
今回私が乗車したのは、人吉発の特急特急「かわせみ やませみ4号」。何故にこの列車を選んだかといいますと、途中の一勝地駅と坂本駅で観光停車(5分程度)が設けられており、下車撮影ができるからであります。
当日は朝福岡に居たため、福岡から西鉄高速バス「桜島号」ノンストップ便で鹿児島空港南で下車後、タクシーで鹿児島空港へ移動→鹿児島交通「妙見路線バス」で嘉例川駅へ移動→肥薩線普通列車で吉松へ→「しんぺい2号」という変則ルートで人吉へ移動しました。(写真はイメージです。)
人吉駅に到着すると、既に「かわせみ やませみ」は入線しておりました。
「しんぺい2号」と並ぶ姿も。
週末ということもありますが、記念撮影をされる方が目立ちます。
今回アサインされたのは、1号車「かわせみ」車両の2-D席。
キャンセル待ちで取った指定券なので、贅沢はいえません。
車内はこの様になっております。
「D&S列車」の車内を見る度に「既存車両をここまで改造してしまうのか・・・」と思ってしまうのですが、それでもわくわく感と「和」を感じさせる車内造りはさすがといわざるを得ません。
特急「かわせみ やませみ4号」は、人吉駅を13時20分に発車します。
人吉から八代にかけては、最上川・富士川と並ぶ日本三大急流の一つでもある「球磨川」を眺めながら進んでいきます。
8分で渡に到着し、その14分後に一勝地駅に到着します。
こちらでは7分の停車時間が設けられており、多くの方が列車を降りて記念撮影をしていました。
とはいえ、外はかなりの量の雨。
撮影するにも一苦労です。
一勝地を発車した「かわせみ やませみ4号」は、引き続き球磨川に沿ってひた走ります。 晴れていればいうことのない車窓なのですが、雨の球磨川もこれはこれで悪くないのかもしれません。
一勝地を発車して約30分後の14時13分、列車は坂本に到着します。
こちらでは5分の停車時間が設けられています。
駅撮りをするのであれば、こちら坂本駅の方が構図的には良いのかもしれません。
坂本を発車後は、八代市街の手前まで球磨川沿いを引き続き走行します。
14時30分、「かわせみ やませみ4号」八代に到着します。
こちらで肥薩線とはお別れ。
ここからは鹿児島本線を熊本まで進みます。
九州新幹線との接続駅である新八代に停車し、八代から約30分後の15時01分に列車は終点の熊本に到着しました。 在来線高架化工事真っ只中の熊本駅構内は、一時期と比較すると落ち着いたようにも見受けられましたが、それでも新駅ビル建設工事までを含めると、工事は2021年まで続くとか。
もう暫くは慌ただしい状況が続きそうです。
というわけで、JR九州「かわせみ やませみ4号」の簡単な乗車記をお届けしました。
熊本~人吉間特急列車の乗車は久しぶりでしたが、今回雨であったとはいえ、八代~人吉間の車窓はいつ乗っても良いですね。
一方で、熊本~人吉間の特急列車を「D&S列車」に変えた点については、色々と勘ぐってしまうのも事実でありまして・・・。
中古車両であるとはいえ、「かわせみ やませみ4号」の種車両であるキハ47系よりも新しいキハ185系「九州横断特急」をあえて短縮して「D&S列車」を投入するあたり、JR九州側の管内ローカル線に対するメッセージを感じてしまうのは私だけでしょうか。(良い意味でも悪い意味でも。)
既存車両を大胆に改造して魅力ある車両に変えてしまう『企画力』と『実行力』には目を見張るものがありますが、一方で「D&S」の流れから取り残されたJR九州管内の他のローカル線は今後どうなってしまうのか・・・株式上場したJR九州にとって、管内ローカル線については今後厳しい判断が下されるのではないか(というより避けられないのではないか)・・・「かわせみ やませみ4号」の車内でふと考えてしまいました。
JR九州の成功事例として各方面で紹介されることの多い「D&S列車」。
今回登場した第11弾「かわせみ やませみ」が、沿線や観光客にどう評価され親しまれていくのか、私としても注目したいですね。
機会があれば、今度は是非天候の良い日に乗車してみたいものです。
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