近畿日本鉄道の名阪間ノンストップ特急「ひのとり」【名阪間乗り物比較】

鉄道

今回と次回の2回に分けて、『名阪間乗り物比較』と題し、2つの乗りものを取り上げます。

1回目の今回は、こちらの乗りものをご紹介します。

近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304_02 松塚にて

近畿日本鉄道(本社:大阪府大阪市、以下:近鉄)の名阪間ノンストップ特急「ひのとり」(80000系電車)です。

近鉄の特急列車といえば、2013(平成25)年にデビュー・運行を開始した大阪・京都・名古屋~伊勢・賢島間の観光特急「しまかぜ」(50000系電車)が人気です。
近畿日本鉄道 50000系「しまかぜ」_202304_01 松塚にて

特別車両料金が必要にもかかわらず、現在も人気を集めていますが、その成果を踏まえ「名阪間の長距離都市間輸送として、ビジネスのお客様とともに観光のお客様にも快適にご利用いただける特別な特急」として、先代の名阪間ノンストップ特急(名阪甲特急)に投入されていた「アーバンライナー」(21000系・21020系)の後継車両として企画・製造されたのが、この「ひのとり」80000系電車であります。

営業運転を開始したのは、今から約3年前の2020年3月14日。
先進的かつスピード感ある車体と深い艶感のあるメタリックレッドといった外観デザインに加え、ゆったりとした空間や上質なサービスを提供する気品ある車両のイメージを、翼を大きく広げて飛翔する「ひのとり」に重ね合わせて命名されたそうです。

各方面からも注目され、2020年10月1日には、公益財団法人日本デザイン振興会「グッドデザイン賞」の2020年度ベスト100に選定された他、2021年5月26日には、鉄道友の会より「第64回ブルーリボン賞」を受賞しています。

デビューから3年以上経過した「ひのとり」ですが、恥ずかしながら実はこれまで一度も乗車したことがなく、折角だから・・・ということで2023年4月に初乗車と相成りました。

「ひのとり」の上位クラス「プレミアムシート」車の気になる車内の様子は?

乗車したのは、大阪難波11時00分発の「ひのとり」11列車
大阪難波を発車すると、大阪上本町、鶴橋、津のみに停車する速達タイプの列車になります。

近鉄大阪難波駅の10時台は、特に特急列車、急行列車、普通列車問わず列車が頻繁に発着する時間帯ということもあり、「ひのとり」11列車の入線は発車直前の10時55分過ぎとなります。

10時55分過ぎ、「ひのとり」11列車が入線です。
家族連れを中心に多くの方が撮影しており、「ひのとり」の人気ぶりを改めて実感します。
近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 大阪難波駅入線

車内は、先代「アーバンライナー」と同様の2クラス制となっており、両端の車両が「プレミアムシート」に、それ以外の車両が「レギュラーシート」になっています。

どちらの車両にするか迷いましたが、名古屋方面の「プレミアムシート」が空席1であったため、今回は条件反射的に(?)「プレミアムシート」を選択。
外観の撮影を済ませ、発車直前に車内に入ります。
近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 車外LED

「ひのとり」は、シートの種類を問わず全座席にバックシェルを採用。
後ろの乗客に気兼ねすることなくシートを倒すことが出来ます。
バックシェルを全座席に採用したのは、この「ひのとり」が日本初だそうです。

こちらが「プレミアムシート」車の車内。
ハイデッカー構造になっており、シート配列は2+1配列の3列シートになっています。
近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 車内_01

近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 車内_02

シートは電動式の本革リクライニングシートを採用。
可動式枕やレッグレストを完備するほか、読書灯、シートヒーター、大型テーブル、カップホルダー、コンセント、荷物フックを設置しています。
見た目には、JR東日本E5系新幹線電車の「グランクラス」にシート形状が似ている印象を受けます。
近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 プレミアムシート_01

近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 プレミアムシート_02

近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 プレミアムシート_03

近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 プレミアムシート_04

デッキ部分を見てみましょう。

まずはこちら、カフェスポットです。
従来のワゴンによる車内販売に代わるものとして、両先頭車のデッキ部に設置されました。
挽きたてのホットコーヒーや紅茶、ココア、栄養補助食品、「ひのとり」グッズ(ハンカチ、キーホルダー)などを自動販売機で購入することが出来ます。
「ひのとり」デザインの紙コップや給湯器、千円札専用の両替機を備えており、レギュラー車両の乗客も利用することが出来ます。
近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 カフェスポット

こちらは、ロッカースペースです。
インバウンド対応設備として設けられました。
1箇所当たりのロッカー数は6つで、うち4つは手持ちの交通系ICカードを鍵代わりに使用することが出来ます。
近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 ロッカースペース

トイレは、デッキの連結器側に設置しています。
近畿日本鉄道 80000系「ひのとり」  202304 1号車 トイレ

なお、今回は撮影出来ませんでしたが、「レギュラーシート」も高さ調整機能付きフットレストや背面テーブル、コンセント、カップホルダー、荷物フックを設置しており、約2時間の列車の旅を快適に過ごせられる様になっています。

(次ページに続きます。)