奈良交通「八木新宮線」八木駅→本宮大社前 乗車記【その3】

一般路線バス

ネットニュースや夕方の全国ニュースでも報道された通り、2017年1月18日に運行を開始する超豪華個室型夜行高速バス「DREAM SLEEPER 東京大阪号」(関東バス・両備ホールディングスの2社共同運行)のプレス発表会が、東京中野区の中野サンプラザで開催されました。

『業界初 全11席のありそうでなかった「完全個室」バス 実現できたワケとは』(乗り物ニュース)

完全個室型の豪華装備と破格の運賃設定が話題になっているようですが、何はともあれ来月(2017年2月)中旬あたりに乗車する機会を作りたいなぁと考えております。

話を変えます。
今回は、奈良交通の日本最長路線バス「八木新宮線」の続きです。

奈良交通「八木新宮線」 ・960 上野地にて

奈良県橿原市と和歌山県新宮市の間を結ぶ奈良交通の一般路線バス「八木新宮線」
前回は五條から十津川村上野地までの模様を紹介しました。


上野地での20分間の休憩時間、乗客は思い思いの時間を過ごしていきます。
そして、休憩が終わったバスは、十津川温泉、熊野本宮大社、新宮へと進んでいきます。

十津川温泉で大半の乗客が下車した車内は一変して静かに・・・。

上野地からは、ここまでの狭隘区間は少なくなり、山間の道路をひたすら走ります。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 上野地発車後 その1
しかしながら、所々で1車線道路が残るなど、道路環境は決して良くありません。
道路改良工事(バイパス建設工事)の現場に度々出くわしますが、一方通行になっているところも度々あり、山の中の道路の改善はまだまだこれからといったところでしょうか。
加えてこの地域は、2011年に発生した紀伊半島大水害の現場でもあります。
至るところで当時の爪痕を伺い知ることが出来ます。
そんな中、バスは十津川村を縦断する形で国道168号を進んでいきます。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 上野地~十津川温泉間 その1

奈良交通「八木新宮線」 ・960 上野地~十津川温泉間 その1

13時50分、定刻よりも10分程遅れてバスが十津川温泉の中心部にある十津川温泉バスセンターに到着します。
こちらでは3回目の開放休憩を兼ねており、約10分間の休憩時間が設定されています。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉バスセンターにて その1

奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉バスセンターにて その2

奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉バスセンターにて その3

奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉バスセンターにて その4
十津川温泉バスセンターは、十津川温泉の中心部に位置し、十津川村の交通の拠点にもなっています。
案内所の奥には奈良交通十津川営業所が位置していて、同社の路線バスの他、受託運行している十津川村営バスの車両が停車しています。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉バスセンターにて その4

14時過ぎ、休憩時間が終わったところでバスは十津川温泉バスセンターを発車します。
奈良交通の路線は、この十津川温泉までは五條バスセンター発の普通便が並行していますが、ここからは特急バス(八木新宮線)の単独区間になります。
尚、休憩はここで最後となり、ここから先は終点の新宮駅までひた走ります。

十津川温泉バスセンターを発車して、暫くは国道168号を走行しますが、やがて国道168号線から一旦外れて、十津川温泉の中でも有名なホテル「ホテル昴」に到着します。
ここで大半の乗客が下車。
結果的には、ほぼ全員が大和八木駅~十津川温泉間の往復バスが無料になるキャッシュバックバックキャンペーンを利用しての乗車でした。
この手のキャンペーンには賛否両論がありますが、路線の存在を知ってもらい、路線のリピーターや十津川温泉のリピーターになってもらうという点で効果があるのではと感じました。

「ホテル昴」で車内は一気に寂しくなりましたが、それでも私を含めて10人近くの乗客を乗せたバスは、カーブが続く道を終点新宮駅へ向けてひた走ります。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間 その1

奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間 その2

左手に新宮川が見えると、本宮大社前はすぐそこです。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間 その3

そして、14時30分、定刻よりも7分程遅れて、バスは本宮大社前に到着しました。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間到着 その1

奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間到着 その2

奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間到着 その3

熊野本宮大社は、熊野三山(本宮・速玉・那智各大社)の中心であり、全国に3000社以上ある熊野神社の総本宮にもなっています。
奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間到着 その4

奈良交通「八木新宮線」 ・960 十津川温泉~本宮大社前間到着 その5

本来であれば、終点の新宮駅まで乗り通したいところでしたが、行程の関係から、このバスとはこちらでお別れ。
新宮駅へ向けて発車するバスを見届け、私は次なる場所へと移動するのでありました。

というわけで、3回に分けて奈良交通の日本最長路線バス「八木新宮線」の乗車記をお届けしました。
私自身、この路線に乗車するのは今回が初めてだったのですが、急カーブに狭隘区間、秘境を感じさせる車窓などなど、我が地元北海道内を走るローカル長距離路線バスとは違った面白さを味わうことが出来たのは大きな収穫でした。
惜しむらくは、先述の通り全区間乗車出来なかったこと。
次回の乗車の際は、是非とも全区間乗車を果たしたいと思っています。
一方で、運行事業者側としては、運用面・採算面双方において「しんどい」路線なのでは?と感じました。
所要時間からして乗務員は現地(新宮または葛城)で1泊が必要ですし、採算面においても沿線自治体や県・国の補助がなければ、今後も維持していくことは難しいでしょう。
ですが、幸いにも、十津川温泉の組合や県が主導して実施しているキャッシュバックキャンペーンにも象徴されるように、沿線や県は「八木新宮線」を観光のツールとして活用しようとしているようです。
実際に、「キャンペーンをきっかけに、日本最長の路線バスが地元にて運行されていることを初めて知った」「日本最長路線バスで十津川温泉へ行ってみたかった」という声も車内から聞こえたことから、予算の関係はあるでしょうが、今後この様な企画を継続して実施していくことで、路線の存在が知られ、利用して下さる方々が増えるのではと思います。

ローカル路線バス共通の厳しい現状は今後も続くでしょうが、沿線地域と自治体の頑張りで、「八木新宮線」が今後も存続していくことを、一バスファンとして切に願いたいものです。


【乗車データ】 
  • 乗車日:2016/11/25
  • 乗車区間:
    近鉄大和八木駅→本宮大社前
  • 運行会社:奈良交通
  • 車両:日野/新型ブルーリボン(QDG-KV290N1)
  • 年式:2015年式
  • 所属:葛城営業所
  • 社番:960


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