JR東日本のBRTを見てみる【その2】大船渡線BRT 気仙沼~陸前高田間
(前回の記事『JR東日本のBRTを見てみる【その1】気仙沼線BRT 前谷地~気仙沼間』はこちらからどうぞ。)
仙台からJR東北本線・気仙沼線と気仙沼線BRTを乗り継いで気仙沼にやって来た私。
ここから更に北へ進みます。
気仙沼から先の大船渡市盛までは「JR大船渡線」となりますが、前回ご紹介した気仙沼線と同様、東日本大震災による甚大な被害を受け、2013年3月2日から気仙沼~盛間を「大船渡線BRT」として運行しています。
基本的な仕組みは、前回ご紹介した気仙沼線BRTと同様ですが、気仙沼線BRTと比較すると、専用道区間が若干長いのが特徴といえましょうか。
本来であれば、終点の盛まで乗車したいところですが、残念ながら今回は途中の陸前高田まで行ってみることにしました。
海岸を一望できる観光型BRT「三陸の「海」号」
気仙沼駅の大船渡線BRTは、駅構内の2番線より発車します。一ノ関方面からの列車から平面乗り換えが出来る様になっていて便利です。
ここ気仙沼からは、こちらのバス↓で陸前高田へ向かいます。
大船渡線BRTの観光型車両として活躍している、「三陸の「海」号」です。
この車両、首都圏の事業者で活躍後、三陸の地へやって来ました。
暫くはBRTの専用車両として活躍していましたが、後に車両改装を行い、2014年3月に運行を開始しました。
三陸の青い海と波、そして岩と鳥をイメージした、三陸らしさが感じられるカラーリングとなっています。
残念ながら、車内混雑のため車内を撮影することが出来なかったため、車内の画像はありませんが、車内は外観と同様の三陸の海をイメージした内装となっており、ワンステップ部分(前扉~中扉間)の座席は、海が見える様にということで海側(気仙沼→盛方面)に向けて配置されています。
今回乗車したのは、気仙沼11時58分発の便。
大船渡線終点の盛まで行く便です。
前回もご紹介しましたが、JR東日本のBRTは車両こそJR東日本の所有ですが、実際の運行は地元バス事業者へ管理委託しており、大船渡線BRTについては岩手県交通(大船渡営業所、高田支所)へ管理委託しています。
気仙沼を発車後、鹿折唐桑まではバス専用道を走行します。
その間約6分間、制限速度を維持しつつバスは快調に専用道を走り続けます。
鹿折唐桑からは、一般道を走り続けます。
陸前高田に近づくにつれ、三陸らしい車窓が一面に展開されます。
陸前高田市内に入ると、嵩上げ用大型ベルトコンベアが見えて来ます。
そのスケールに思わず目が点になりました・・・。
気仙沼を発車して約30分程で、バスは陸前高田に到着しました。
陸前高田のBRTのりば兼待合所です。 円筒を横にした形状が特徴のJR東日本BRTの待合所ですが、実際に入ってみると、日差しが入りやすい反面、夏季は熱が篭って暑苦しく感じるのではないかと感じました。
この陸前高田のBRTのりばは、高台に移転した陸前高田市役所仮庁舎のすぐ傍に位置しています。
近くには岩手県交通のバス停も設置されており、同社が運行する東京~一関・陸前高田・釜石間夜行高速バス「けせんライナー」も経由することから、バスからバスへの乗り継ぎには便利な場所かもしれません。
また、裏手にはコンビニ(セブンイレブン)もあることから、供食に関しても特に問題はないかと思われます。
帰りは、盛から来た陸前高田13時27分の便で気仙沼へ。
「気仙沼BRT」でも乗車した日野ブルーリボンシティハイブリッドに揺られること30分程で気仙沼に戻って来ました。
往路で乗車したた便と比較すると、乗客数は少な目でしたが、それでも各停留所で入れ替わり立ち変わり地元の方が利用されており、BRTが地元住民の乗り物として定着していることを改めて実感しました。
BRTというよりは高機能の鉄道代替バス?
というわけで、前回と今回2回に分けてJR東日本のBRTをご紹介しましたが、「BRTというよりは高機能の鉄道代替バス」なのかなぁ・・・というのが率直な感想でした。BRT本来の定義(バスシステムの品質向上及び遅延防止のための特殊なデザイン、サービス、設備を備えたバス高速輸送システム)及び海外のBRTの事例を鑑みると、JR東日本のBRTは本来のBRTとは少し性格が違うのかなぁと思いますが、「鉄道代替バスとして考えるのであれば十分ありの運行形態」だと私は考えます。
現在、JR東日本や沿線自治体などとの間で、気仙沼線・大船渡線の今後の復旧のあり方について協議が行われていますが、恐らく鉄路ではなくバス専用道区間を延長する方式で復旧を進めるということになるでしょう。
現状を見た限り、少なくともハード面でJR東日本はそれなりの投資を行っています。
一部の方は反対されるでしょうが、震災前の輸送実績及び震災後のバスの利用状況、これまで行ってきたJR東日本のBRTに対する投資状況などを考慮すると、私はバス専用道区間を延長する方式で復旧を進めた方が良いのではと思うのですが・・・皆さんはどう思いますか?
それと、実はもう一つ、今回の訪問で「なるほど・・・」と思ったことがありまして・・・
それがこちら。 JR東日本が発行しているBRTのPRパンフレットです。
主要待合所やBRT車内にて無料配布されているパンフレットですが、この中に興味深い(というか参考になる)アンケート結果が掲載されています。
そのアンケート結果がこちらになります。
※以下の内容は、パンフレットに掲載されていたアンケート結果をそのまま転記したものです。
※画像をクリックすると、アンケート結果の円グラフが拡大されます。
1.通勤・通学のお客さまに聞きました ※アンケート実施期間:2015/01/27~2015/01/30
※実施方法:BRT車内及び駅でのヒアリング
※回答数:全432名(うち、利用動機が通勤・通学154名の回答内訳をグラフへ記載)
2.生活使いのお客さまに聞きました ※アンケート実施期間:2015/01/27~2015/01/30
※実施方法:BRT車内及び駅でのヒアリング
※回答数:全432名(うち、シニア世代で利用動機が観光・ビジネス以外の139名の回答内訳をグラフへ記載)
3.旅行・出張で来られたお客さまに聞きました ※アンケート実施期間:2015/01/27~2015/01/30
※実施方法:BRT車内及び駅でのヒアリング
※回答数:全432名(うち、利用動機が観光・ビジネスの139名の回答内訳をグラフへ記載)
このアンケート結果をどの様に読み解くかは、それぞれの立場によって異なってくるかと思いますので、ここで深く述べることはあえてしませんが、少なくても今回のアンケートで得られた結果を今後のBRT事業の運営改善に役立てていくと同時に、BRT事業をしっかり育てていこうとするJR東日本側の意図は伺い知ることが出来た気がします。
色々と書きましたが、「気仙沼線」「大船渡線」の復旧方法がようやく纏まりつつある昨今、先程も述べた通り、今後はバス専用道区間を延長する方式で復旧作業が進むことになるでしょう。
これまでブツ切り状態だったバス専用同区間も広がり、今以上に利便性が増すことにもなるでしょう。
震災からの復興、そして沿線人口の減少など、地域が抱える課題が山積していますが、JR東日本の「気仙沼線BRT」「大船渡線BRT」が、単なる鉄道代替バスではなく、地域住民にとって欠かすことが出来ない基幹交通として成長していくことを切に願いたいものです。
今度訪問の機会があれば、今回乗車出来なかった陸前高田~盛間にも乗車してみたいと思っています。
【乗車データ】
- 乗車日:2015/07/26
- 乗車区間:
気仙沼駅→陸前高田駅 - 運行会社:JR東日本(運行委託:岩手県交通)
- 車両:日野/ブルーリボンワンステップ(KC-HU2MLCA)
- 年式:1999年式
- 社番:1778(三陸の「海」号)
- 乗車日:2015/07/26
- 乗車区間:
陸前高田駅→気仙沼駅 - 運行会社:JR東日本(運行委託:岩手県交通)
- 車両:日野/ブルーリボンシティハイブリッド(LNG-HU8JMGP)
- 年式:2012年式
- 社番:1763
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