近鉄バス「阪奈生駒線」(梅田~稲田車庫間)を見てみる
長年の間、大阪のキタの中心地「梅田」と奈良県生駒市・奈良市を結んで来た近鉄バスの「阪奈生駒線」。
(写真は住道~生駒登山口系統。) その「阪奈生駒線」が今。『風前の灯』状態になっています。
今年2016年8月11日に実施されたダイヤ改正で、梅田~浜南口~稲田車庫間が30分ヘッドの運行から60分~120分おきの運行に大減便された他、毎週土曜日に1便だけ運行されていた梅田~JR住道駅間に至っては、なんと年1回(8月11日)の運行に変更されました。
更に、梅田~浜南口~稲田車庫については、今年2016年12月実施のダイヤ改正で土曜日1便のみの運行に変更される予定になっており、これにより梅田発着の「阪奈生駒線」は事実上免許維持路線状態になります。
近鉄バス「阪奈生駒線」は、路線名の通り、かつては梅田と生駒・奈良を結んでいた幹線路線の一つであります。
時代と共に区間が徐々に短縮され、路線が大阪市内で完結していた時期もありましたが、それでも今から10年位までは、梅田~浜南口間においては概ね10分おきの運行頻度を確保していました。
それが、ここ10年位の間に20分おき→30分おきと縮小され、2016年8月11日のダイヤ改正で60分~120分おきの運行にまで縮小されてしまいました。
一部マニアの間で「廃止されるのも時間の問題では?」とささやかれる程のこの縮小加減。
一体この10年間に何があったのでしょうか。
近鉄バス「阪奈生駒線」については、以前から気になっていた路線であり、一度は全区間乗車してみたいと考えていましたが、今般、前回ご紹介した近鉄バス「おひさま号」(宮崎特急線)実見の後に空き時間が出来たことから、この空き時間を利用して「阪奈生駒線」の様子を見て来ました。
今回はその時の模様をお届けします。
朝ラッシュはそれなりの利用があるが・・・
宮崎から近鉄バス宮崎特急線「おひさま号」で大阪にやって来た私。「阪奈生駒線」は、「おひさま号」の乗降停留所である大阪駅前(地下鉄東梅田駅)バス停から発車します。
とはいっても、高速バスと一般路線バスとでは停留署名が異なり、「阪奈生駒線」の場合は「梅田」となります。
今回乗車したのは、梅田7時30分発の稲田車庫行き始発便。
バス停には数人の利用客が並んでいます。
やがてバスが到着し乗車します。
発車時刻ギリギリに到着したということもあって、バスはすぐに発車。
梅田新道交差点を左折後は、蒲生4丁目まで京阪国道(国道1号線)を直進します。
所々で乗降があるものの、座席が埋まる程度の混雑ぶりで、それなりに乗車している印象は受けます。
蒲生4丁目からはさらに直進し、今度は府道8号線を地下鉄長堀鶴見緑地線に沿ってひた走ります。
鶴見区役所でまとまった乗降があり、バスは更に東へ。
茨田浜交差点を右折し、府道2号線を暫く進むと、ショッピングセンター「フレスポ東大阪」が見えて来ます。
フレスポ東大阪前の交差点を左折したところに、終点の稲田車庫前バス停があります。
朝の通勤時間帯ということもあるのでしょうが、終点稲田車庫前まで乗り通した乗客が多かったです。
もっとも、近所には鉄道車両製造で有名な近畿車輛をはじめ、工場が多数あることから、稲田車庫バス停に近い工場や勤務先への通勤手段として普段から利用されているのでしょうね。
唐突な縮小は利用者の混乱・不満を招くのでは?
以上、近鉄バス「阪奈生駒線」(梅田~稲田車庫間)について簡単にご紹介しました。先述の通り、「阪奈生駒線」(梅田~稲田車庫間)は8月11日のダイヤ改正で大幅減便され、12月には週一回(毎週土曜日)の1便に減便されることになっています。
なぜこの様なことになったのか・・・。
近鉄バス「阪奈生駒線」を語る上で欠かせないのが、並行する大阪市営バスの存在です。
実は、梅田~稲田車庫間の大半の区間で大阪市営バス36系統(大阪駅前~地下鉄門真南駅)と競合しており、大阪市営地下鉄との乗り継ぎ割引が適用される、敬老優待パスが使える、大阪駅前まで乗り入れるなどの理由で、大阪市営バスの方が利用客が多いというのが実状です。
平成26年度決算においても黒字と報告されており、営業係数は80で1億2千万円の営業利益が出ています。
⇒ 平成26年度 市営バス 系統別収支状況(大阪市交通局)
となると、近鉄バス「阪奈生駒線」を利用する主たる乗客層は、大阪市の敬老優待パスを持っていない、バスのみの移動で完結するなど、大阪市(交通局)の施策の恩恵を受けない方に限られてくるではと考えます。
加えて、予てから噂されている乗務員不足の深刻化や、沿線の高齢化と便数の少なさによる大阪市営バスへの転移、更には近隣を走るJR学研都市線の利便性向上などを考慮すると、近鉄バス「阪奈生駒線」の縮小はある程度予想されていたことなのかもしれません。
とはいえ、近鉄バスはここ最近、高速路線、一般路線問わず路線縮小・減便再編の動きが顕著であり、関西の他事業者と比べても際立っている印象を受けます。
人員不足の中でも、過労運転・重大事故の発生という最悪の結果を避けるためには致し方がない面もありますが、余りに唐突な大減便は利用者の混乱・不満を招くのではという気がします。
プレスリリースや停留所の掲示も見ましたが、文面を見る限りでは利用者に理解を求める姿勢があまり感じられないのが残念でなりません。
本数を減便しても最低限の便数を確保する、それが難しいのであれば減便・廃止事由をしっかり記載・掲示するなど、利用者に理解を求める姿勢は持って欲しいなぁと今回の乗車を通じて強く感じた次第です。
【乗車データ】
- 乗車日:2016/08/22
- 乗車区間:
梅田(地下鉄東梅田駅)→稲田車庫前 - 運行会社:近鉄バス
- 車両:日野/ブルーリボンシティワンステップ(KL-HU2PLE)
- 年式:2001年式
- 所属:稲田営業所
- 社番:6123
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