阪急観光バス「ムーンライト号」 乗車記(2012年1月乗車分)

夜行バス,高速バス乗車記


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今回ご紹介するのは、夜行バスのパイオニアとも言われている老舗路線「ムーンライト号」です。

「ムーンライト号」は、京都・大阪~北九州・福岡間を結ぶ夜行バスで、阪急観光バスと西日本鉄道が共同で運行しています。
運行開始は1983年3月と歴史が古く、高速路線バスでは今や当たり前となっている共同運行方式や3列独立シートを日本で初めて取り入れた路線として、ファンの間では有名な路線でもあります。
以前は大阪~福岡間の運行でしたが、2010年4月2日より京都~福岡線「きょうと号」(京阪バス・西日本鉄道共同運行)と統合する形で京都駅八条口まで延伸されました。

阪急観光バス唯一の西工02MC SD-Ⅱ

「ムーンライト号」にはこれまでにも何度も乗車していますが、今回は延伸した京都まで乗車します。
「きょうと号」と路線統合されてからは初めての乗車なるでしょうか。

この日は阪急観光バスの担当。
こちらの車両が来ました。
阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849
かつて「さつま号」で活躍していた三菱KL-MS86MP(西工02MC SD-Ⅱ)です。
阪急観光バス唯一の西工02MC SD-Ⅱで、一時期「ムーンライト号」には日野セレガHDが充てられていましたが、現在はこの車両がメインで就いている様です。

乗務員の改札を受け、早速車内を見てみます。
阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 車内

阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 シート
車内の造りは前日に西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」の西工車と同じですが、昨今の流行なのでしょうか、通路カーテンが後付けされてます。

そしてこの車両にはこの様な設備も。
阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 サービスコーナー
今では珍しくなったサービスコーナーです。
暖かい飲み物がセルフサービスで味わうことが出来ます。
更に車内前方のクーラーボックスには冷たいお茶が用意されていて1人1本飲むことが出来る他、各座席にマルチステレオコントローラが装備されている(現在は使用できません)など、古き良き夜行バス全盛時代の面影が色濃く残っている車両の造りになっています。

では、この日のノリホを。
西鉄天神バスセンター:私1人
博多バスターミナル:3名
黒崎インター引野口:0名
砂津:0名
小倉駅前:3名
高速門司港:0名
計7名でした。

「ムーンライト号」って、こんなに乗客が少ない路線でしたっけ・・・・・・???

バスは高速門司港で最後の乗車扱いを行った後に、めかりパーキングエリアにて消灯前の開放休憩があります。
阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 めかりPA休憩中

約15分の開放休憩が終わると、翌朝の開放休憩まで下車することが出来ません。
通路カーテンをセットしてシートを倒すと、いつしか夢の中へ。
朝の案内放送まで目を覚ますことはありませんでした。

翌朝は5時頃に山陽自動車道三木サービスエリアに到着します。
ここで20分程の洗顔休憩があります。
阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 三木SA休憩中

阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 三木SA休憩中 リア

阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 三木SA休憩中 その2

開放休憩が終わると、約1時間程で大阪市内に入ります。
終点は京都駅八条口ですが、この日は新大阪で1名、大阪梅田で3名、京都駅八条口で私を含めて2名下車するとのことで、これら以外の停留所(西宮北インター、西宮名塩、宝塚インター、千里中央、千里ニュータウン)は通過扱いとなりました。

大阪梅田には定刻よりも20分程早い6時35分頃に、終点の京都駅八条口には定刻よりも30分程早い7時30分頃に到着。
阪急観光バス「ムーンライト号」 K05-849 京都駅八条口到着
西工車ならではの安定感とシートの座り心地の良さが相まって、移動自体は道中快適に移動することが出来ました。

「ムーンライト号」、今のままで大丈夫ですか??

今回の「ムーンライト号」乗車で思ったこと。(ちょっと厳しいことを書きますが・・・・・)
それは

『「ムーンライト号」、今のままで大丈夫ですか??』

私自身、実は今日まで何度も「ムーンライト号」に乗車してきましたが、これ程までに寂しい状況を目にしたのは初めてでした。
大阪~福岡間といえば、日本の交通機関の中でも幹線と呼ばれる区間の一つです。
新幹線が飛行機の本数が多いとはいえ、この区間は定期の夜行列車が運行されていません。
本来であれば「ムーンライト号」をはじめとする関西~九州間の夜行路線バスは、ある程度の盛況を呈していてもおかしくない筈。
しかしながら、現状はというと・・・・・・一部の路線を除いてツアー高速バスや新幹線、飛行機に乗客を奪われ低迷していることは周知の通りかと思います。
何故なのか・・・・
様々な意見があろうかと思いますが、私は「時代の変化に対応せずに旧態依然の運行を続けてきたことによる結果」だと思っています。
バブル期や21世紀初頭までは従来のスタイルでも良かったかもしれませんが、現在は「とにかく安く」「便利なもの」「レベル高いもの」を強く求める傾向にあります。
「ムーンライト号」については、”時代の変化への対応”という部分が欠けている様に思えます。
「Lions Express」の様な曜日別運賃の導入や、学割運賃・回数券など各種割引運賃の導入、「フェニックス号」で採用している「セレクトシート」の導入、予約システムや乗車券購入方法の改善、積極的なPR活動など、利用約の立場に立った大幅な改善を今後積極的に進めて行く必要があるのではないでしょうか?
更に大阪~福岡間については、全日空系LCC「peach」(ピーチ・アビエーション)の就航が非常に気になるところです。
便数・席数が限られているとはいえ、最安値で大阪~福岡間が片道3,780円という運賃設定と福岡21時30分発という便設定は、「ムーンライト号」にとって大きな脅威となることでしょう。
更に「peach」は大阪~長崎、大阪~鹿児島線も就航予定で、状況如何によっては「ムーンライト号」以外の夜行路線バスも影響を受ける可能性があります。

「ムーンライト号」は現在の日本の夜行高速バスの基礎を作った路線です。
共同運行方式の採用や日本初の3列独立シート車の導入、快適性を追求したスリーピングシート・個室カーテンの導入など、現在では標準仕様となっている設備サービスの多くは、この「ムーンライト号」が”日本初”でした。
過去の栄光にすがることも悪くはありませんが、一方で時代の変化に対応していくことも重要なことです。
阪急観光バス・西鉄の両社においては、効率化一辺倒ではなく、もう一度原点に立ち返って利用客の声に耳を傾けて、根本的なサービス改善に努めて欲しいと思います。
そして、もう一度全盛期の様な盛況ぶりの復活(とまでは行かないまでも現在のジリ貧状態からの脱却)を切に願うばかりです。


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