東京・名古屋・大阪などを起点に全国各地へ高速乗合バスを運行している「ウィラーエクスプレス」(WILLER EXPRESS)。
豊富なシートグレードと多彩な運賃設定、そして女性受けしそうな外観・車内で人気のある高速バスです。
「ウィラーエクスプレス」ついては、このブログでも数回乗車記として取り上げましたが、実は以前から乗車してみたいと思っていた車両がありまして、この度乗車することが出来ました。
その車両とは・・・・こちらの3列シェル型シートを搭載した「Reborn(リボーン)」です。
いったいどんな車両なのか、今回は「Reborn(リボーン)」に東京から大阪まで乗車した時の模様をご紹介します。
豪華高速バスブーム時に「ビジネスクラス」の代替として登場した「Reborn(リボーン)」
ウィラーが「Reborn(リボーン)」の運行を始めたのは、2017(平成29)年2月。
現在は除籍されている3列シート車「ビジネスクラス」(乗客定員16名、パウダールームトイレ付き)の代替車両として登場しました。
折しも、この時期は「ドリームスリーパー」(関東バス・両備ホールディングス)や「ドリームルリエ」(JRバス関東・西日本JRバス)といった個室型豪華夜行バスが登場した時期とも重なり、「豪華高速バスブーム到来か?」とマスコミなどで大々的に取り上げられました。
「Reborn(リボーン)」の最大の特徴は、「眠り」にこだわったシート構造にあるといえるでしょう。
乗客定員を18名に抑えてシートピッチを出来るだけ広くしたことや、後を気にせずにリクライニング出来る「シェル構造」にしたこと、リクライニングとチルトを組み合わせることで最大155度のリクライニング角度を実現したことなど、あらゆる点において「眠り」にこだわっているといいます。
当初は、東京~大阪線で運行を始めましたが、好評を受け、後に東京~名古屋線、東京~仙台線、東京~新潟線にも投入されていきます。
しかし、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大に伴う減便により、現在は東京~大阪間1路線で運行されています(2021年5月1日現在)。
あらゆる点で「眠り」にこだわった「Reborn(リボーン)」の車内
やって来たのは、千葉県浦安市にある東京ベイ東急ホテル。
JR新浦安駅から東京ベイシティ交通の路線バスに乗車し、総合公園バス停で下車、目の前にあります。
今回乗車した大阪行きW167便は、こちら東京ベイ東急ホテルが始発。
ホテルのエントランス前がのりばかなぁ・・・と思いきや、その向かいのリムジンバスが使用しているバス停がのりばとなります。
到着後、しばし待っていると、大阪行きW167便がのりばに到着します。
今回乗車した車両は、こちらのウィラーエクスプレス大阪営業所所属729号車。
2019年式の最新型三菱エアロクイーンで、オプションパーツを装着した精粋なフロントマスクが特徴です。
乗務員の改札を受け、車内に入ります。
気なる車内の様子は・・・
先述の通り、車内は2+1配列の3列シェルシート18人乗り「Reborn(リボーン)」専用仕様となっています。
シート幅は約60cm、シートピッチは約150cm、リクライニング角度は約155度と、長身の方でもゆったりと出来る広さを有しています。
一方で、シート幅を広げたのとシェルタイプを採用していることで、通路はかなり狭く、カニ歩き状態で移動しないとスムーズに移動することが出来ません。
シートは、回りが気にならないシェルタイプを採用。
後の乗客に気兼ねすることなくリクライニング出来るのが、このタイプのシートの最大のメリットです。
シートをフルリクライニングすると、この様になります。
写真ではさほど倒れていないように見えますが、実際に座ってみると、リクライニングとチルトを併用した「ゆりかご」構造になっているからか、かなり深く倒れている感覚になります。
シートには可動式枕を搭載していますが、サイズは決して大きくありませんので、市販のネックピローを持参すると良いでしょう。
シートの操作は全て電動式となっており、コントローラーはシェル内壁右側に備えられています。
同じくシェル内壁右側には、シートポケットもあります。
携帯電話・スマートフォンの充電に便利なコンセントは、右側の肘掛先端に設置されています。
反対の左側肘掛付近には、読書灯のスイッチとドリンクホルダーが備えられています。
前席下にはフットレストと靴入れを完備。
フットレストは靴を脱いで使用します。
前席上部には大型テーブルを設置。
テーブル上部を手前に引いて使用します。
パソコン仕事も可能な大きさですが、「ドリームスリーパー」の様な完全個室ではないため、実際にはちょっとした飲食など必要最小限での使用に限られそうです。
新型コロナ感染拡大防止の観点から、毛布(ブランケット)の貸与を取りやめている事業者が多い中、この便では小さいながらもブランケットの貸与が実施されていました。
中央列座席用の荷物棚です。
同様の荷物棚は名鉄バス「プレミアムワイド」でも採用されていますが、カバンやコートなど、ちょっとした手荷物を置くのに便利です。
荷物棚の奥にはミラーが設置されており、小物類などを落としても見つけやすくする工夫がなされています。
その他、写真はありませんが、車内では無料のWi-fiサービスと独自のコンテンツサービス「WILLER THEATER(ウィラーシアター)」を提供。
Wi-fiの接続設定することでインターネットが楽しめる他、事前に専用アプリをダウンロードし、車内Wi-fiに接続するだけで、人気映画・バラエティ・オーディオブックなどを無料で楽しむことが出来ます。
尚、この車両にはトイレが装備されていません。
どうしてもトイレが気になる方は、乗車前に済ませておく、必要以上の水分補給を避けるなどの工夫が必要かもしれませんね。
新型コロナ対策について
今回乗車した便の新型コロナウイルス対策は、以下の様になっておりました。
【主な新型コロナ感染症対策】(乗車当時のものです)
・座席使用制限:なし
・車内消毒液設置:あり
・運転席回りのビニール製カーテン設置:なし
※消灯時に前方遮蔽カーテンをセット。
・運行終了時の車内消毒:実施
・エアコンの外気導入:実施
メーカー公式【三菱ふそう】新型コロナウィルス新生活様式への対応
・休憩時の車内換気:実施
・その他:
ウイルス対策装置(深紫外線LEDが搭載された空間除菌消臭装置「Aeropure」)の導入
乗車前の検温実施
乗務員のマスク着用 など
途中休憩は3回 ひと眠りすると大阪の街はすぐそこに・・・
22時25分 東京ベイ東急ホテル発車
定刻に東京ベイ東急ホテルを発車したバスは、首都高速道路を東京新宿へ向けて走行。
1時間弱でバスタ新宿(新宿高速バスターミナル)に到着し、乗車扱いを行います。
こちらで10名程の乗客が乗車し、次の池袋サンシャインシティバスターミナルでは乗車が0。
全員の乗客が揃ったところで、24時00分、定刻にバスは池袋サンシャインシティバスターミナルを発車し、東池袋ランプから首都高速道路に入ります。
首都高速道路に入り、乗務員の案内が終わったところで、車内は消灯となります。
ですが、実際には多くの夜行バスで見られるような完全消灯ではなく、青色の補助灯を常時点灯した状態で走行します。
聞くところによると、「消灯後の車内が暗すぎて不安」といった乗客の声を受けて、睡眠を妨げない「程よい明るさ」に設定されているとか。
このあたりは個人の好みにもよりますが、暗すぎて寝られないという人にとっては良いサービスなのかもしれません。
ここから先は、首都高速道路から東名高速道路、新東名高速道路、伊勢湾岸自動車道、新名神高速道路、名神高速道路を経由し、大阪へ向けてひた走ります。
00時55分~01時10分 海老名サービスエリアにて開放休憩
この便の開放休憩は計3回実施されます。
1回目の休憩は、神奈川県の東名高速道路海老名サービスエリア。
こちらでは、00時55分から15分間停車しました。
海老名サービスエリアは、東名高速道路の中でも有数な広さを誇るサービスエリア。
旧ツアー系を中心とした各高速バスが開放休憩を実施するサービスエリアとしても有名です。
こちらでは、多くの乗客が下車。
私も下車して洗顔と買い物を済ませます。
バスも、しばしのひと休みです。
06時22分~06時45分 甲南パーキングエリアにて開放休憩
海老名サービスエリアを発車後、シートを倒して目を瞑ると、いつしか夢の中へ吸い込まれていきます。
シートのホールド感も私好みで、身体をしっかりと支えてくれる、「眠り」に徹したシートであることを実感します。
その後、バスは新東名高速道路新清水インター近くの新清水中継所にて乗務員交代を行った後、愛知県の岡崎サービスエリアにて2回目の開放休憩を実施しますが、当然のことながら目を覚ますことはなく、次に目を覚ましたのは、3回目の休憩場所である滋賀県の新名神高速道路甲南パーキングエリアに到着した時でした。
スマートフォンの時計表示を見てみると、時刻は06時22分。
バスは、06時45分までの約20分間停車することになりました。
甲南パーキングエリアは、主に名神ハイウェイバス(大阪線及び京都線の超特急便)やJRバスの昼特急号(東京~大阪など)が開放休憩を実施するパーキングエリアとしても有名です。
後で分かったことですが、この「Reborn(リボーン)」、通常は名神高速道路の草津パーキングエリアにて開放休憩を実施しますが、今回の運行ではこちらの甲南パーキングエリアに休憩場所を変更したとのこと。
こういった臨機応変な対応が出来るのも、バスならではといったところでしょうか。
こちらでは、約半数の乗客が下車。
私も、トイレと洗顔、土産物の購入を済ませてバスに戻ります。
バスも、大阪へのラストスパートに備えてひと休みします。
08時25分 ウィラーバスターミナル大阪梅田到着
その後、バスは新名神高速道路から名神高速道路に入り、順調に走行します。
07時45分、名神吹田インターを流出。
若干混雑気味の新御堂筋を走行し、定刻より20分早い08時25分、バスは大阪梅田のウィラーバスターミナル大阪梅田に到着しました。
終点は、JR桜島駅前にあるリーベルホテルですが、この便は私を含めて全員がこちらで下車。
忘れ物の点検と簡単な清掃を済ませた後、バスは堺市内にある車庫(大阪営業所)へ回送されていきました。
ウィラーバスターミナル大阪梅田は、JR大阪駅から徒歩約10分のところに位置する梅田スカイビルタワーイーストの1階にあります。
待合室も完備されており、ゆったりとした環境でバスを待つことが出来ます。
そして、待合室では、過去に同社で活躍した車両のシートが展示されていました。
ウィラーのヘビーユーザーであれば、これら展示されているシートの名称が全て分かるのではないでしょうか。
よく考えられた「Reborn(リボーン)」ですが・・・
以上、ウィラーエクスプレスW167便「Reborn(リボーン)」乗車の模様をお届けしました。
以前から乗車してみたいと思っていた車両でもありましたし、期待が少々高い状態で乗車しましたが、全般的な印象は「よく考えられたシートである」ということでした。
極限に近い状態までのシート幅の確保、眠る姿勢にまで考慮されたシート構造、そしてプライベート確保の目的で採用されたFRP製シェルなど、細かなところも含め、限られた車内空間で「眠る」ための様々な工夫が凝らされている点は、さずがウィラーだと感じました。
この「Reborn(リボーン)」の比較対象として、「ドリームスリーパー」(関東バス・両備ホールディングス)や「ドリームルリエ」(JRバス関東・西日本JRバス)が挙げられますが、フルフラットに近い状態にまでシートが倒れる「ドリームルリエ」のプレシャスシートは別として、人によってはウィラーエクスプレスの「Reborn(リボーン)」の方が寝られる・・・という方もいらっしゃるかもしれません。
それ位に、シートをフルリクライニングした際の寝心地はかなり良かったと感じました。
一方で、気になった点もいくつかありました。
一番気になったのは、やはり通路の狭さとこれによる動線の悪さでしょうか。
シェルを装備し、かつ極限に近い状態までのシート幅を確保している関係上、仕方がないといえばそれまでですが、乗降時及び開放休憩時の移動のし難さ(カニ歩きの状態で移動せざるを得ない)というのはどうしても感じてしまいます。
また、万一車両火災などで緊急避難が発生した際に、この動線の悪さが後に問題にならないか、とても気になりました。
「ドリームスリーパー」や「ドリームルリエ」の様に、シート配列を1+1配列にすれば問題ないのでしょうが、そうなるとどうしても運賃を上げざるを得ず、事業者としてはこのバランスをどうとるのか・・・相当苦労したのではと思慮するところです。
そして、もうひとつ気になったのが、FRP製シェルから発せられる軋み音(ビビリ音)です。
ウィラーの公式サイトでは、「従来の高速バスに比べて車内で発生する騒音を軽減」と記載されていますが、私が乗車した限りでは、車両自体の走行音が静かな分、シェルがFRP製であるが故の軋み音(ビビリ音)が目立つ印象を受けました。
特に、車両が細かな段差を拾った時や、高速道路上の段差を通過した際の軋み音(ビビリ音)は、結構な耳障りに感じました。
恐らく、A席のシェルとB席のシェルが擦れた際に発せられる軋み音(ビビリ音)が目立つのではと推測するのですが、このあたりを今後どう改良するのかが課題かなぁと感じました。
あと、トイレの問題について。
これについては、個人差もありますので何ともいえないところではありますが、個人的には、休憩が数時間に1度である点と、深夜帯の開放休憩を1回カット出来る(睡眠の邪魔にならない)という点から、車内トイレはあった方が嬉しいかなぁと感じました。
かつての「ビジネスクラス」の車内レイアウトで「Reborn(リボーン)」のシートを搭載すれば、ウィラー最強の車両になると思うのですが・・・。
色々と書きましたが、東京~大阪間をしっかり寝ながら移動したいという方にはお勧めのバスだと思います。
運賃も、閑散期であれば最安6,000円台で乗車出来ますし、ウィラーのプレミアム会員であれば、(当日空席がある場合に限り)無料アップグレードで乗車することも可能ですので、さらに安い運賃で乗車することも出来ます。
全国一の激戦区である東京~大阪間の高速バス。
運賃から車両グレードまで選択肢が多彩ですが、今回ご紹介したウィラーエクスプレス「Reborn(リボーン)」は、新たな選択肢として十分アリだと感じました。
皆様も、機会があれば是非一度利用してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2021/04/05
- 乗車区間:
東京ベイ東急ホテル(新浦安)→ウィラーバスターミナル大阪梅田 - 運行会社:ウィラーエクスプレス(大阪営業所)
- 車両:三菱/エアロクイーン(2TG-MS06GP)
- 年式:2019年式
- 所属:大阪営業所
- 社番:729
【おまけ】動画にしてみました
宜しければご覧いただけると幸いです。




