まもなく引退 JR西日本 381系「やくも」(岡山~米子・松江・出雲市)
JR西日本 381系「やくも11号」 岡山にて
写真は、JR西日本の381系特急型電車です。
岡山~米子・松江・出雲市間の特急列車「やくも」で使用されているこの電車も、新型車両(273系特急型電車)への置き換えに伴い、まもなく定期運用から引退。
国鉄時代から数えて51年の歴史に幕を閉じようとしています。
というわけで、実は先日、定期運用から退く直前の381系「やくも」に会いに山陰へ出かけてきました。
50年以上の歴史を誇る日本初の車体傾斜式(自然振子式)特急形車両
ここで、381系特急型電車について簡単にご紹介します。381系がデビューしたのは、今から50年以上前の1973(昭和48)年5月。
中央西線・篠ノ井線の特急列車「しなの」に投入されました。
その後、1978(昭和53)年には阪和線・紀勢本線の特急列車「くろしお」に、1982年(昭和57)年には伯備線の特急列車「やくも」にも投入され、計277両が製造されました。
車体は、軽量化と低重心化を図った車体構造になっており、車体下部の裾絞りが大きくなっているのが特徴。
カーブを出来るだけ速度を落とさずに走行出来る様、振子装置を装備しているのが、この車両の最大の「売り」でした。
カーブを高速で走行出来ることから、「しなの」「くろしお」での所要時間大幅短縮に貢献しましたが、この車両で採用された振子装置(自然振子装置、カーブで車体にかかる遠心力によりコロで支持された車体を傾ける構造)による不自然な揺れで、乗り心地が一般の車両よりも向上したにも関わらず、乗り物酔いを訴える乗客が多発。運行開始当初、エチケット袋が各座席に用意された他、車掌が酔った乗客のために酔い止め薬を常備していた逸話も残っている程です。
結局、自然振子装置を搭載した営業用鉄道車両は381系のみとなり、JR発足以降に導入された振り子式車両は、自然振子式に比べて乗心地が良い"制御付き自然振子式"や空気ばねによる"車体傾斜方式"が採用されていることは周知の通りであります。
JR発足以降、381系は短編成化や車内リニューアルなどの改造工事を実施しますが、その後の新型車両の投入で「しなの」と「くろしお」では既に引退済み。
2024年3月時点で381系が活躍しているのは、岡山~米子・松江・出雲市間の「やくも」のみとなっています。
ですが、その「やくも」にも、2024年4月以降に新型車両(273系特急型車両)が投入されることになり、2024年6月をもって381系は定期運用から引退することになります。
JR西日本 381系「やくも6号」 松江にて
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