三重交通「南紀特急バス」(松阪~尾鷲)が変わります!
予てからバスファンの間で噂になっていた話題です。
三重交通(本社:津市)と三重急行自動車(本社:松阪市)が運行する路線バス「南紀特急バス」(松阪~尾鷲)が、2018(平成30)年9月30日をもって運行を終了し、翌10月1日から三重交通単独運行による「松阪熊野線」(松阪~尾鷲~熊野)として生まれ変わることが発表されました。
特急便から全停留所停車の一般路線バスへ・・・
(プレスリリースより引用)
『南紀特急線が利用しやすく生まれ変わります!
10月1日 松阪熊野線スタート!』
三重交通株式会社(取締役社長:雲井 敬、本社:津市中央1番1号)は、平成30年10月1日(月)より、南紀特急線(松阪市~尾鷲市)を沿線居住者の利便向上及び観光利用者の拡大を図るため、バリアフリーに対応した大型ノンステップバス新車3台を導入し、尾鷲市から熊野市までの路線延長及び全停留所での乗降扱いを行ない運行いたしますので、お知らせいたします。(認可申請中)
南紀特急線は松阪市から尾鷲市までの特定の停留所のみ停車する路線バスでしたが、松阪熊野線は7市町(松阪市、多気町、大台町、大紀町、紀北町、尾鷲市、熊野市)の全停留所での乗降扱いを行なうことにより、利用しやすい路線バスを目指すことと、熊野古道などの沿線観光施設への誘客に繋げてまいります。
詳細については下記のとおりです。
記
1 路 線 名 松阪熊野線
2 改 正 日 平成30年10月1日(月)
3 運行内容
(1) 運行経路(運行路線図:別紙)全停留所119か所
① 松阪市内(松阪中央病院、松阪駅前 等 計19か所)
② 多気町内(多気町役場、五桂口 等 計10か所)
③ 大台町内(大台厚生病院、大台町 等 計14か所)
④ 大紀町内(滝原宮前、梅ヶ谷 等 計7か所)
⑤ 紀北町内(マンボウ、鷲毛 等 計25か所)
⑥ 尾鷲市内(尾鷲市病院前、熊野古道センター 等 計15か所)
⑦ 熊野市内(鬼ヶ城東口、熊野市駅前 等 計29か所)
(2) 系統キロ:往路134.8km 復路132.0km
(3) 運行時分:往路4時間12分 復路4時間5分
(4) 運行回数:4往復(松阪中央病院~松阪駅前~三交南紀2往復、松阪駅前~三交南紀2往復)
(5) 運行時刻表:別紙
4 運 賃 (松阪駅前から 主な停留所のみ記載)
五桂口(五桂池最寄):500円
大台町(道の駅おおだい最寄):1,150円
梅ヶ谷(ツヅラト峠入り口最寄):1,470円
鷲毛(馬越峠入り口最寄):1,980円
熊野古道センター(県立熊野古道センター最寄):2,090円
鬼ヶ城東口(松本峠最寄):2,600円
5 使用車両 大型ノンステップバス 3両 (環境性能に優れたハイブリッドバス)
6 その他 運行初日(10月1日)に「三交南紀5時20分発 松阪中央病院行」及び「松阪駅8時35分発 三交南紀行」にご乗車いただいたお客様にオリジナルグッズをプレゼントいたします。
詳細はプレスリリースの通りですが、このプレスリリースからは、
- 「南紀特急バス」を各停化した上で、熊野(三交南紀)まで延伸
- 本数は4往復に減便(うち2往復は松阪駅前発着に変更)
- 従来の「南紀特急バス」は2018年9月30日をもって運行を終了
- 使用車両も従来の観光・高速型車両からハイブリッドノンステップバスに変更
国県補助対象ギリギリの厳しい状況
「南紀特急バス」は、1970(昭和45)年10月1日に運行を開始。運行開始当初は、三重交通が松阪~南紀勝浦間で運行していましたが、1996(平成8)年には三重急行自動車が運行に参入し、三重交通との共同運行路線になります。
その後、運行区間が松阪~熊野間に短縮され、さらに松阪~熊野間の一部路線を津~熊野間(高速経由)に変更。
しかしながら、利用客の減少傾向に歯止めがかからないことから、2015(平成27年)11月には松阪~熊野間を短縮して松阪~尾鷲間に統合され、尾鷲~熊野間は快速バスとして代替します。
さらに、2017(平成29)年3月には津~熊野系統の運行を終了。
現在は、松阪~尾鷲~熊野古道センター間が4往復、松阪~尾鷲~瀬木山間が2往復運行されています。
名古屋~尾鷲・熊野・新宮間の「南紀高速線」が顕著に推移しているのに対し、「南紀特急バス」は利用客減少で厳しい状況下に置かれています。
同路線は、地域間幹線補助路線として国と三重県から補助を受けて運行していますが、三重県生活交通確保対策協議会が公表した資料「平成29年度 三重県生活交通確保対策協議会の取組について」によると、平成29年度の「南紀特急バス」の1日あたりの利用者数は21.2人(輸送量目標20.0人)となっています。
地域間幹線補助の最低基準である1日あたりの利用者数15人は辛うじてクリアしているものの、地域間幹線補助対象外ギリギリの状態であることには間違いなく、この度の「南紀特急バス」の廃止・一般路線(各停)化は、松阪~尾鷲・熊野間の利便性を向上させ、路線を維持するための『最後の施策』といえるのかもしれません。
仮のこのまま利用客が減少し、地域間幹線補助対象外に転落したとすれば、最悪の場合、「路線分割→不採算区間の廃止」といったことも想定されるわけで、リニューアル後の「松阪熊野線」が地域に愛される路線として育っていくことを願わずにはいられません。
ハイグレード車両で利便性向上!全国有数の長距離一般路線バスに!
ところで、プレスリリースにも記載されている通り、リニューアル後の「松阪熊野線」には新型のハイブリッドノンステップバスが投入されますが、既に車両は納入済みで、運行開始まで最後の準備を進めているものと思われます。SNSなどでは、実際に運行される画像もアップされておりますが、車両はいすゞ新型エルガハイブリッド長尺タイプのようです。
Twitter
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“三重交通/いすゞ エルガ ハイブリッド2SG-HL2ASBD南紀特急線に代わり、10月1日から運行開始の松阪熊野線にて使用されます。社番1711~1713の3両が南紀営業所に配置。ナンバーは社番に合わせて希望ナンバーを取得の上、2020オリンピック特別仕様での登録です。”
車内は、ハイバックシートを搭載し、Wi-fiやUSBポート、カップホルダー、網ポケット、手荷物フックを装備。
長距離移動客に考慮した車内設備となっています。
そして、「松阪熊野線」については、もう一つ注目すべき点があります。
それは、全国有数の長距離一般路線バスに成り上がることです。
プレスリリースによると、系統キロが往路134.8km 復路132.0kmとなっていますが、このキロ数は、奈良交通「八木新宮線」の166.9㎞、阿寒バス「釧路羅臼線」の往路165.9km 復路165.5km、沿岸バス「豊富留萌線」の往路164.5km 復路164.7km、函館バス「快速せたな号」(函館~八雲~せたな)の約146km、くしろバス・根室交通「特急ねむろ号」の約136kmに次ぐ長さで、全国有数の長距離一般路線バスとして、バスファンの間で注目を集めることになるのではと見ています。
所要時間も約4時間と長く、沿線風景も素晴らしいことから、乗り応えのある路線であることには間違いないでしょう。
約半世紀の歴史に幕を閉じ、新しい路線へバドンタッチする「南紀特急バス」。
新路線「松阪熊野線」が、地元住民に愛される路線として、そして全国各地からバスファンを中心に多くの方が乗りに訪れるような路線に是非育って欲しいと願っています。
私も出来るだけ早いうちに現地へお伺いしようと考えています。
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