JR東日本のBRTを見てみる【その1】気仙沼線BRT 前谷地~気仙沼間

一般路線バス,鉄道

前回の記事の続きになります。


東京から高速バスと鉄道を乗り継いで仙台にやって来た私。
仙台駅構内の七夕飾りが旅人を出迎えてくれます。
JR仙台駅 七夕飾り

ここ仙台からは鉄道とバスを乗り継いで北を目指します。
悩んだ挙句、今回はこのバスに乗車するために、三陸へと向かうことにしました。
そのバスとは・・・
JR東日本「気仙沼線BRT」 2220
JR東日本の気仙沼線と大船渡線に導入されているBRT(バス高速輸送システム)であります。

JR東日本BRTとは?

ここで、JR東日本のBRT(バス高速輸送システム)について簡単に説明しておきましょう。
元々、三陸地区には前谷地~気仙沼間の「気仙沼線」及び気仙沼~盛間の「大船渡線」というローカル線2路線が存在しており、地元住民にとって欠かすことの出来ない交通機関でもあります。
ところが、2011年3月11日に未曾有の東日本大震災が発生。
特に、気仙沼線の柳津~気仙沼間と大船渡線の気仙沼~盛間は、甚大な被害を受けました。
復旧にあたって利用者の安全確保など解決すべき課題も多く、鉄道の復旧に相当の時間がかかることが想定されたことから、地域の交通をJRが責任を持って守りつつ、早期に安全で利便性の高い輸送サービスを提供することを目的で検討されたのが、「BRTによる仮復旧」でした。
JR東日本は、「BRTによる仮復旧」を沿線自治体に提案。
そして、気仙沼線については2012年8月20日からの暫定運行を経て12月22日より本格運行を開始、大船渡線については2013年3月2日から運行を開始しました。
更に、JR東日本は、気仙沼線と大船渡線について、両線の復旧にかかる費用が1,000億円以上と膨大になること、同社単独での負担が難しいことを理由に、鉄路での復旧を断念しBRTを存続させる方針を固めました。
現在関係自治体との話し合い及び調整に入っており、今後どのような形に落ち着くのかは国や自治体との話し合い次第ですが、BRTによる本格復旧の方向へ進むのはほぼ間違いないでしょう。

気仙沼線BRT(前谷地~気仙沼間)に乗車してみる

仙台から気仙沼線BRTの始発地「前谷地」へは、JR東北本線を小牛田まで移動後、小牛田でJR石巻線に乗り換えて移動します。
まずは仙台近郊仕様の701系電車で小牛田まで。
JR東日本 東北本線 701系1000番台電車

JR東日本 東北本線 701系1000番台電車 前面展望

1時間弱で小牛田に到着し、小牛田からはJR石巻線110系気動車で前谷地へ移動します。
JR東日本 気仙沼線 キハ110-127

前谷地に到着後、接続の9時04分発気仙沼行に乗車します。
専用の日野ブルーリボンシティハイブリッド(LNG-HU8JMGP)が乗り場で待機していました。
JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 前谷地駅にて

以前の気仙沼線BRTは、前谷地~柳津間が鉄路による運行を行っていることもあり、柳津が始発地でしたが、2015年6月に実施されたダイヤ改正で、一部の便が前谷地まで延伸されました。
尚、鉄路との完全競合を回避する目的からか、BRTは前谷地~柳津間ノンストップとなっています。

早速乗車します。
入り口にはICカードリーダが。
JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 ICカードリーダー
以前はBRT専用ICカードBRT専用「odeca」のみが利用出来ていましたが、2015年3月より交通系ICカードも利用出来る様になり、利便性が向上しました。

車内の様子はこちら。
JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車内 その1
一般的なノンステップバスと同様の造りになっています。
写真では分かり難いですが、前方にBRTを紹介するパンフレットが置かれていました。

9時04分、気仙沼線BRTは前谷地駅を発車。
ここから柳津駅までの約30分間はノンストップとなります。

長閑な沿線風景です。
JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車窓 その1

JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車内 その2

9時39分、柳津駅に到着。
ここで数名の乗客を乗せ、北へと向かいます。
ここから先の陸前戸倉までは、一般道をひた走ります。
9時58分、陸前戸倉駅に到着。
ここ陸前戸倉駅から志津川駅(南三陸町)の手前までの区間および歌津駅~陸前小泉駅の手前、大谷海岸駅付近~松岩駅の手前、不動の沢駅~気仙沼駅の各区間は、バス専用道区間を走行します。
写真で紹介することが出来ないのが残念なのですが、バス専用道とはいっても、震災前までは鉄道が走っていた区間。
単線路線であったということもあり、それなりのスリル感を味わえます。
特に、トンネル通過時は、かなりのスリル感を味わえますよ。

10時51分、本吉駅に到着。
3分間の停車時間を利用して乗務員交代が行われます。
JR東日本のBRTは、車両こそJR東日本の所有ですが、実際の運行は地元バス事業者へ管理委託しており、気仙沼線BRTについてはミヤコーバス(津谷・気仙沼・佐沼の各営業所)へ管理委託しています。

10時54分、本吉駅を発車したBRTは、小金沢駅手前までバス専用道を走行した後、再び一般道へ戻り気仙沼へと向かいます。
11時06分に大谷海岸駅を発車後は、再びバス専用道へ。
専用道から時折見える海岸の風景が美しいです。
JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車窓 その2

JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車窓 その3

JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車窓 その4

最知駅先からは再度一般道に降り、松岩駅付近まで海岸線を走行します。
JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車窓 その5

JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車窓 その6

JR東日本「気仙沼線BRT」 2221 車窓 その7
震災から4年経ちましたが、復興はまだまだこれから・・・といったところでしょうか。

南気仙沼(市立病院入口)に差し掛かると、建物の数も増え、気仙沼の街に入ったことを実感します。
不動の沢駅からは最後のバス専用同区間に入り、走ること6分後の11時35分、前谷地駅から約2時間半でバスは終点の気仙沼駅に到着しました。
JR東日本「気仙沼線BRT」 2221

前谷地駅発車時、私を含めて数人しか乗車していなかった車内も、気が付くと座席がほぼ埋まっている程の乗り具合でした。
途中駅での乗降もそれなりの数があり、鉄道からBRTに変わったとはいえ、地元住民には特に抵抗なく受け入れられているのかなぁという印象を受けました。
全体的な感想は次回の記事で述べることにしますが、定時制の確保を現状どの様にしているのか、そして今後どの様に確保していくのかが気になるところではありますね。
まあ、実際は同線のBRT化が正式に決まってからということになるのでしょうが・・・。

JR気仙沼駅 ホーム その1

JR気仙沼駅 ホーム その2

JR気仙沼駅 ホーム その3
気仙沼駅のホームです。
BRT運用開始に伴い、従来の気仙沼線の線路をバス専用道にしたことで、大船渡線(一関~気仙沼間)の列車と平面乗り換え出来る様になっています。
バス専用道部分のかさ上げもしっかり行っており、これなら高齢者や足の不自由な方もスムーズに乗り換えが出来そうです。
一方で、この施工方法を見る限り、鉄路での復旧は初めから前提としていないなぁとも感じました。
JR東日本としては、基本BRTへの完全移行を考えているのでしょうね。

さて、気仙沼駅で一休みしたところで、もう少し先へ向かいますが・・・
この続きは次回といたします。


【乗車データ】 
  • 乗車日:2015/07/26
  • 乗車区間:
    前谷地駅→気仙沼駅
  • 運行会社:JR東日本(運行委託:ミヤコーバス)
  • 車両:日野/ブルーリボンシティハイブリッド(LNG-HU8JMGP)
  • 年式:2012年式
  • 社番:2221


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