東急トランセ「センター北・たまプラーザ~河口湖線」乗車記

昼行高速バス,高速バス乗車記

昨年2013年6月に世界文化遺産に登録され、国内外の観光客が増加している富士山。
そして、富士山・富士五湖地区のキラーコンテンツとして年中利用が多い富士急ハイランド。
これら2箇所の観光地と首都圏を結ぶ高速バスといえば、京王バス東と富士急行(富士急山梨バス)が運行する「中央高速バス富士五湖線」があまりにも有名だったりします。

しかし、実はここ数年の間に、富士山・富士五湖地区と首都圏・東海地区・北陸・関西方面を結ぶ高速バス網が整備される様になり、その結果、現在では首都圏主要都市と富士山・富士五湖地区を乗り換えなしで移動出来るようになった他、今年8月には富士山・富士五湖地区と九州(北九州・福岡)を結ぶ夜行高速バス「博多・フジサンExpress」も運行を始めています。
その中から、今回は東急トランセと富士急湘南バスが運行する「センター北・たまプラーザ~河口湖線」をご紹介します。

東急トランセ 河口湖線 2719 センター北駅到着 その2

約15年ぶりの高速路線バスの運行

「センター北・たまプラーザ~河口湖線」は、2014年3月1日に運行を開始したばかりの路線。
東急バスの子会社「東急トランセ」と富士急湘南バスが1日2往復運行します。
東急バスの高速バスといえば、今から15年前に完全撤退した夜行高速バス「ミルキーウェイ」が思い出されます。
以後、同社は羽田空港線・成田空港線リムジンバス及び通勤用の高速バスを開設してきましたが、こと観光地や都市間を結ぶ高速路線バスはこの間新設が無かっただけに、東急バス(グループ)としては、約15年ぶりの高速路線バスの運行となります。
運行時刻は、センター北駅・たまプラーザ駅を朝出発し折り返し河口湖を午後に出発する、たまプラーザ側利用客を重視したものになっています。
車両は「中央高速バス富士五湖線」と同仕様の4列シート42名乗りのトイレ付き車両を投入。
所要時間が2時間半程度ですので、必要十分の設備を有しているといえます。

今回乗車したのは、河口湖駅15時20分発の東急トランセ担当便。
通常期は河口湖駅始発なのですが、今年は夏季限定で富士山五合目まで延長運転が行われており、この便は富士山五合目が始発となります。
外はバケツをひっくり返した様な土砂降りで、バスも若干遅れ気味で乗り場に到着します。
東急トランセ 河口湖線 2719

東急トランセ 河口湖線 2719 河口湖駅にて
東急トランセは同路線の専用車として、「センター北・たまプラーザ~御殿場アウトレットモール線」と共通運用の日野セレガHD(QPG-RU1ESBA)を3台導入しました。
東急貸切カラー「マーキュリーカラー」をアレンジした独自のカラーリングが目立ちます。

車内はこの様になっておりまして・・・
東急トランセ 河口湖線 2719 車内

東急トランセ 河口湖線 2719 シート
先述の通り、4列シート42人乗りの昼行仕様となっています。
写真では分かりませんが、木目調の床に茶色をベースとしたシートモケットがささやかな高級感を醸し出しています。

そして、この車両はこの様な設備も。
東急トランセ 河口湖線 2719 座席コンセント
窓側座席のみではりますが、座席コンセントが装備されています。
昨今のユーザーの嗜好から導入を決めたのでしょうが、これは私個人的にもありがたいと思いました。

では、乗車時の模様を簡単にご紹介。
富士山五合目からの乗客で半分近くの座席が埋まっていたバスは、私を含めた数人の乗客を乗せ、河口湖駅を5分程遅れて発車します。
その後、富士急ハイランドバスターミナルで1名を乗せ、富士吉田インターから東富士五湖道路~国道138号線を走破したあと、御殿場インターから東名高速道路に入ります。
御殿場インターまでは順調な流れだったのですが、御殿場インターからは雨とお盆の帰省による道路渋滞に巻き込まれます。
この渋滞は暫く続き、渋滞が解消された厚木インター付近で約1時間10分の遅れが確定。
遅れは回復することも無く、東名高速道路を横浜青葉インターで降りた後は国道246号線を走ります。
18時40分、バスはたまプラーザ駅に到着。
ここで8割方の乗客が下車し、私を含めた残り数人の乗客が終点センター北駅まで乗車します。
そして19時頃、バスは終点センター北駅に到着しました。
東急トランセ 河口湖線 2719 センター北駅到着
このセンター北駅、私自身初めて来たのですが、港北ニュータウンの主要な生活拠点として位置づけられている様で、駅前には阪急百貨店・ショッピングタウン(ショッピングモール)が建っている等、いかにも「ニュータウンらしさ」を感じさせる街並みが印象に残りました。

というわけで、東急トランセ「センター北・たまプラーザ~河口湖線」をご紹介しました。
乗ってみての感想ですが、確かに港北ニュータウン及び東急田園都市線沿線にお住まいの方が河口湖方面へ遊びに行くのに便利な路線であるなぁとは感じました。
車両もトイレ・座席コンセント付きですので、このクラスの路線であれば必要十分といえましょう。
一方で気になった点といえば、渋滞時の乗務員の対応でしょうか。
乗務員の応対自体は素晴らしかったのですが、渋滞に巻き込まれているにも関わらず、渋滞に関する案内が一切無かったことが少々気になりました。
繁忙期に高速バスを利用する乗客にとって一番気になるのは、「今何キロ渋滞していて、あとどれ位で目的地に到着するのか?」という情報なのではないでしょうか。
そういった情報が乗務員の方から車内放送で提供して頂けると、乗客の気持ちが「不安」から「安心」へと変わると思うのです。
せめて渋滞に関する情報提供を、マイクを通じて実施して欲しいというのが一乗客の要望といったところでしょうか。
まあ、これに関しては、営業所との連絡体制の確立など経験を踏まないとスムーズにいかないと部分もあるかと思いますので、今後のノウハウ蓄積と活用に期待したいところです。
あと、これはあくまで一ヲタの戯言になってしまいますが、今後の展開として渋谷発着の高速路線バスの開設もありうるのではないかと考えたりします。
現状、東急トランセの高速路線バス担当営業所が瀬田営業所から下馬営業所に変更されているのですが、下馬営業所は渋谷から比較的近い場所にあります。
いきなり長距離路線は・・・というわけにはいかないでしょうが、「センター北・たまプラーザ~河口湖線」の実績がある程度固まったところで、「渋谷・池尻大橋~河口湖線」等比較的近距離の路線から展開していくのもありなのでは?と今回乗車してふと思った次第です。

ともあれ、「センター北・たまプラーザ~河口湖線」、港北ニュータウン及び東急田園都市線沿線住民にとっては富士五湖・富士山観光に使える路線だと今回の乗車を通じて感じました。
機会があれば一度利用してみては如何でしょうか。


【乗車データ】 
  • 乗車日:2014/08/14
  • 乗車区間:
    河口湖駅→センター北駅
  • 運行会社:東急トランセ
  • 車両:日野/セレガHD(QPG-RU1ESBA)
  • 年式:2014年式
  • 所属:下馬営業所
  • 社番:3302


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