宇和島自動車「松山~宇和島線」を見てみる

昼行高速バス,高速バス乗車記,一般路線バス

愛媛県宇和島市に本社を置き、北は松山市から南は高知県宿毛市まで広大なエリアを有するバス会社「宇和島自動車」
創業が1918年と今年で96年を迎える老舗のバス会社で、宇和島市を中心に各方面へ路線バスを運行している他、大阪・東京方面への夜行高速バスも運行しています。
「宇」の船旗が入った車体のバス・・・といえば分かる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

宇和島自動車「松山~宇和島・城辺線」 ・183

愛媛県の3大バス会社といえば、宇和島自動車の他、松山市を中心に鉄道・バスを運行する伊予鉄グループ(伊予鉄道・伊予鉄南予バス)、愛媛県東予地区をエリアとする瀬戸内運輸(通称:せとうちバス)ですが、私自身、恥ずかしながら実はこれまで宇和島自動車の路線バスに乗車したことがありませんでした。
以前このブログで、伊予鉄道の夜行高速バス「オレンジライナー」名古屋線の乗車記をご紹介しましたが・・・


「オレンジライナー」名古屋線下車後のスケジュールがほぼ一日フリーだったことから、折角の機会ということで未乗の宇和島自動車に乗車してみることにしました。
とはいいつつも、どの路線に乗車しようかと正直迷ったのですが、ここは幹線であり同社の主力路線でもある「松山~宇和島線」に乗車してみることにしました。

宇和島自動車の主力路線はトイレ付きハイグレード車両にて運行

ここで、宇和島自動車の「松山~宇和島線」について簡単に紹介しますと、同路線は松山道後・松山市~卯之町・宇和島・城辺間を約2時間半~3時間半を結ぶ路線バスです。
特急便と急行便合わせて1日17往復設定されており、うち4往復が城辺発着便となります。
途中高速道路を経由し、卯之町・宇和島・城辺地区と松山地区とを結ぶ幹線ルートとして、ビジネス・買い物旅行等幅広い用途に利用されています。

やってきたのは、伊予鉄松山市内線道後温泉駅から約5分程歩いたところにある、宇和島自動車道後出張所。
出張所と名乗ってはいますが、案内所・待合室が完備された立派な建物で、雨風を気にせずにバスを待つことが出来ます。
宇和島自動車 道後出張所 その1

宇和島自動車 道後出張所 その2
停車している2台のバスがあまりにも立派に見えたので、案内所の職員に聞いてみたところ、2台とも「松山~宇和島・城辺線」用の車両とのこと。
しかも車内を外から見てみると、何とトイレまで完備されているではありませんか。
「松山~宇和島・城辺線」の車両のレベルの高さは噂では聞いていたものの、これは本州や北海道で運行されている中距離高速バスとほぼ同じレベルで、宇和島自動車の主力路線に対する気合の入れ様が伺えます。

というわけで、乗車した車両はこちら。
宇和島自動車「松山~宇和島・城辺線」 5076
「松山~宇和島・城辺線」専属で活躍する三菱エアロバス(KL-MS86MP)です。
車内の画像はありませんが、車内は4列シート38人の昼行高速仕様となっていて、しかも最後部にはトイレが完備されているというハイグレードな仕様。
所要時間が2時間を超えるということもあるのでしょうし、並行するJRに対応する意味合いもあるのでしょうが、特にトイレが装備されている点は利用客にとってはありがたいですね。

では、乗車の模様を簡単にご紹介。
今回乗車したのは、道後出張所10時30分発の急行宇和島行きになります。

道後出張所を出発したバスは、一番町(大街道)・伊予鉄松山市駅にて乗車扱いを行います。
半数以上の座席が埋まったところで、市街地から国道56号線へ。
藤原町の宇和島自動車松山営業所・保免・エミフル松前・伊予市で停車した後は、伊予インターから松山自動車道へと入ります。
昔であればこの先国道56号を経由したのでしょうが、松山自動車道開通により経路変更が行われたそうで、現在はこの先の大洲インターまで高速道路をひた走ります。
(因みに特急便は、更にその先の西予宇和インターまで高速道路を走るそうです。)

大洲インターで高速道路を下りたバスは、一変して幹線ローカル路線バスへと趣を変えます。
大洲市内の様子です。
宇和島自動車「松山~宇和島・城辺線」 車窓 その1
相変わらずの道の狭さですね。

大洲を過ぎてからは、鳥坂峠を越えて卯之町へと向かいます。
鳥坂トンネルバス停で1名乗車してきたのですが、どこから来たのでしょうか・・・。
宇和島自動車「松山~宇和島・城辺線」 車窓 その2

松山道後を出発して約1時間50分程で、バスは西予市内に入ります。
西予市役所前、卯之町営業所で纏まった乗客の降車がありますが、代わりに数名が乗車するなど、幹線路線バスならではの光景も。
その後吉田営業所やフジ北宇和島店前など数箇所に停車し、定刻よりも15分程遅れてバスは宇和島駅前に到着しました。
ここで大半の乗客が下車し、残りは私を含めた観光客と思われる乗客数名のみとなりました。
立派なガラス張り待合室がある恵美須町バス停は通過し、宇和島駅前から5分程走った宇和島バスセンターに到着したのは13時03分。
宿毛行き路線バスに乗り継ぐ乗客が数名いた模様ですが、バス遅延のために乗り継ぎがNGになってしまいました。
乗り継ぐ予定の乗客はこの後どうしたのでしょうか・・・。

宇和島バスセンターです。
宇和島自動車 宇和島バスセンター
宇和島駅前と並んで、宇和島市内のバスの拠点にもなっています。
大阪・東京方面夜行高速バスの発着地でもあります。

宇和島自動車 宇和島バスセンター 看板
「丸之内バスセンター」ガ正式名称なのですね。

このバスセンター、建物自体は決して大きくはないのですが、バスターミナルの玄関及び乗り場全てにスロープが設置されていて、身障者に優しい造りとなっています。
恐らく改造で対応したのでしょうが、この様な細かな配慮を見るにつけ、宇和島自動車のバス事業に対する姿勢が伺えますね。

というわけで、宇和島自動車の幹線路線バス「松山~宇和島線」を簡単にご紹介しました。
今回の乗車で感じたことは2つ。
一つは、「松山~宇和島線」に対する事業者の力の入れ様でした。
運行ダイヤも約1時間ヘッドの使い易いダイヤですし、時間帯によっては伊予~卯之町間ノンストップの特急便を設定するなどメリハリを付けています。
そして何よりも驚いたのは投入している車両でした。
長時間路線対応及びJRへの対抗の意味も含めてでしょうが、シートピッチが広いトイレ付き車両を全便に投入しています。
全国数ある幹線路線バスの中でも、これだけのハイレベルなサービスを提供している路線はそうありません。
これだけを見ても、「松山~宇和島線」に対する意気込みを感じ取ることが出来ました。
そしてもう一つは、営業所のバス発着拠点としての機能についてです。
宇和島自動車には、エリア内に「営業所」「出張所」と呼ばれる比較的小さな営業所が全部で12箇所(宇和島バスセンターを含む)設置されていますが、その大半が待合室を完備した「発着拠点」として機能しているというのです。
実際に今回の乗車で見かけた「道後出張所」「松山営業所」「大洲駅前営業所」「卯之町営業所」「吉田営業所」も、全ての営業所において待合室が完備されていました。
特に「卯之町営業所」はつい最近建物を新しくしたそうで、木造風の立派な建物に生まれ変わっています。
営業所を単なるバスの出入庫施設としてだけではなく、「バスの発着拠点」ひいては「地域の交通の拠点」として活用する姿を見るにつけ、宇和島自動車のサービスレベルの高さというものを感じることが出来ました。
これが今後「地域の憩いの場」「お出かけの目的の場所」として更に発展出来れば面白いなぁと思いますね。
(勿論、これを実現させるためには一事業者の努力だけでは難しく、当然のことながら地元自治体や住民の協力が不可欠となりますが・・・。)

ともあれ今回の宇和島自動車「松山~宇和島線」の旅、様々な発見があって個人的には十分に楽しめました。
次回訪問する際は、是非とも宇和島から更に南下して宿毛まで行ってみたいですね。


【追伸】
宇和島からは「ただ戻るだけでは面白くない」と思い、某大先生ご推奨のルートで卯之町まで戻ることにしました。
まず乗車したのは、宇和島自動車の「宇和島~野村線」。
宇和島から鬼北町・日吉・城川を経由して野村まで運行する、所要時間約1時間40分の路線です。
宇和島自動車 宇和島~野村線 ・262
残念ながら沿線風景の写真はありませんが、点在する山坂の集落を結ぶ運行距離が長い、ある意味マニア向けの乗り応えのある路線です。
運賃は1,800円と松山~宇和島間と同額です。
因みに途中の近永駅前ではあの「鉄道ホビートレイン」(JR四国)が停車していました。(写真に収めるのを忘れてしまいました。)

野村出張所です。
宇和島自動車 野村出張所
独特な雰囲気の営業所兼待合所でした。

野村からは、同じく宇和島自動車の「野村~卯之町線」で西予市役所前まで移動します。
宇和島自動車 野村~卯之町線 2135
こちらは所要時間30分程の路線で、運賃は630円。
西予市方面へ出かける多数の乗客で、バス車内は賑やかでありました。

そして、卯之町からはJR予讃線普通列車と伊予鉄道の路線バス「松山三崎特急線」で松山へ戻りました。
(卯之町から先の行程については省略ということでお願いします。)

八幡浜の伊予鉄南予バス本社にて見かけたバスです。
西東京バス「オレンジライナー」 DH21277
西東京バスの東京新宿~松山・八幡浜間夜行高速バス「オレンジライナー」です。
京王グループのバスを八幡浜で見かける様になるとは・・・時代も変わりましたね。


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