以前にこのブログで、JRバス東北(本社:仙台市)の仙台〜新宿・横浜線に「グランドリーム」車両が導入されるという情報を紹介しました。
このニュースを紹介してから約1か月後、「どんなものだろうか・・・」ということで、ものは試しに乗車してまいりました。
JRバス東北「グランドリーム号」車両 H677-25409(日野セレガHD)
今回乗車したのは、バスタ新宿を13時00分に出発する「仙台・新宿9号」。
首都圏と東北地方を結ぶ高速バス路線の中でも、古くから多くの利用者に親しまれているJRバス東北の首都圏~仙台線は、かつての高速バス「政宗号」に端を発する歴史ある路線で、現在も昼行・夜行あわせて複数の系統が運行されています。
本記事では、バスタ新宿から仙台駅東口まで約6時間のバス旅を実際に体験しながら、
- 路線の歴史
- 充当された車両
- 3列独立クレイドルシートの車内設備
- 乗車中の様子
などを写真とともに詳しくご紹介します。
新幹線とはまた違った魅力を持つ、ハイグレードな「昼行高速バスの旅」を、ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。
【基本情報】昼行高速バス「仙台・新宿号」の運行区間・所要時間・運賃まとめ
まずは、改めて今回利用した路線の基本情報から。
- 路線名:仙台・新宿号
- 運行会社:JRバス東北
- 乗車区間:仙台駅東口 ~ バスタ新宿(新宿高速バスターミナル)
- 乗車時間:約5時間50分
- 運賃:曜日別・運行便別運賃(運賃はこちら)
※今回は仙台~新宿間5,900円で乗車。 - 運行本数:1日5往復運行(毎日運行便2往復、特定日運行便3往復)
【比較】東京(新宿)~仙台の移動手段|新幹線・高速バスどれが安い?
| 移動手段 | 運賃 (片道) |
所要時間 | シートタイプ |
|---|---|---|---|
| 昼行高速バス「仙台・新宿号」 | 3,000円~5,900円 | 約5時間50分 | 3列独立シート |
| JR埼京線+JR東北新幹線「はやぶさ」 | 11,410円 ※普通車指定席 |
約2時間20分 ※乗車時間は約1時間40分 |
2+1列シート(グランクラス)、2+2列シート(グリーン車)、3+2列シート(普通車) |
※最新の料金・販売有無は、こちらから予約画面に進み、別途ご確認ください。
新宿と仙台をダイレクトに結ぶこの路線は、鉄道・新幹線と比較して運賃が安く抑えられるほか、3列シート車でゆったりと移動できるため、コスパ重視派の方にも人気があります。
JRバス「グランドリーム号」車両の歴史
次に、今回ご紹介するJRバス「グランドリーム号」車両のあゆみを簡単にふり返ります。
JRバス「グランドリーム号」は、夜行高速バスの快適性を高めるために登場した車両ブランドです。
車両の変遷を簡単に整理すると、以下のようになります。
| 時期 | 車両・動き | 特徴 |
|---|---|---|
| ~2014年 | 「プレミアムドリーム号」など | 2階建て「三菱エアロキング」などを使用。プレミアムシートとスーパーシート(のちにクレイドルシート)を設定。 |
| 2014年~ | 「グランドリーム号」登場 | 1階建てハイデッカー・3列独立シートの新型車として登場。 28席の3列独立「クレイドルシート」、Wi-Fi、コンセント、プライベートカーテンなどを装備。 |
| 2010年代後半~ | 各地へ展開 | JRバス関東・西日本JRバスを中心に、JRバス東北・JRバス中国などでも従来のドリーム系車両を置き換える形で投入 |
| 2020年代 | 新型車への更新 | 車両更新が進み、グランドリーム仕様の新しい車両も登場。代表例としてはJRバス関東・西日本JRバスが導入している東京~京阪神間「ドリーム号」の2階建て「グランドリーム号」専用車。 |
| 2026年 | JRバス東北にも登場 | 仙台~首都圏線の一部でグランドリーム車両の運行を開始 |
「プレミアムドリーム」の後継的な存在として登場
「グランドリーム号」が登場する以前、JRバスの夜行高速バスでは「プレミアムドリーム号」が最上級ブランドとして展開されていました。
「プレミアムドリーム号」は2006年に運行を開始し、2列のプレミアムシート+3列のスーパーシートという構成が特徴でした。
一部の車両では、2列のプレミアムシート+3列のスーパーシート+4列シートという3クラスの構成を採用した車両も活躍していました。
一方で、「グランドリーム号」は“「プレミアムドリーム号」ほど高価な2列シートではないものの、一般的な3列夜行バスより快適”という位置づけで登場した、と考えると分かりやすいでしょう。
東京~京阪神間で活躍していたJRバス関東の「プレミアムドリーム号」(三菱エアロキング)
2014年に「グランドリーム号」登場
そんな中、2014年10月31日、西日本JRバスとJRバス関東が、東京~京阪神間の夜行高速バスに「グランドリーム号」(グランドリーム車両)を投入し、運行を開始しました。
JRバス関東「グランドリーム号」(日野セレガHD)
車両は、ジェイ・バス製のハイデッカー(西日本JRバスはいすゞガーラHD、JRバス関東は日野セレガHD)を採用。
- 3列独立シート(乗客定員は28名)
- 新開発「クレイドルシート」
- Wi-Fi
- 充電用コンセント
- 空気清浄器
- プライベートカーテン
などを備えていました。
この頃から、2階建て「プレミアムドリーム号」が老朽化する時期にさしかかったことから、2階建て「プレミアムドリーム号」から1階建て「グランドリーム号」へという車両面での変化も、大きなポイントとなりました。
「クレイドルシート」が「グランドリーム号」の象徴
「グランドリーム号」を語るうえで外せないのが、「クレイドルシート」です。
リクライニング時に座面が連動して動き、いわば「ゆりかご」のような姿勢になることで、夜行バスでの快適性を高めたシートです。
現在も西日本JRバスは、グランドリームについて3列独立配席+クレイドルシート+レッグレスト・フットレストを特徴として紹介しています。
「グランドリーム号」の象徴でもある専用「クレイドルシート」
「プレミアムドリーム号」から「グランドリーム号」へ
その後、「グランドリーム号」専用車は西日本JRバスやJRバス関東のみならず、中国JRバス(→JRバス中国)やJRバス東北(「百万石ドリーム政宗号」用として導入)でも導入されます。
「百万石ドリーム政宗号」(仙台~富山・金沢)で活躍しているJRバス東北の「グランドリーム号」車両(日野セレガHD)
そして、車両の世代交代へ。
特に象徴的なのが、2022年に西日本JRバスが自社車籍のプレミアムドリーム車両の高速路線バスでの運行を終了し、代わりにスカニア/バンホール製の2階建て「グランドリーム号」車両が導入され始めたことです。
これにより、JRバスの夜行高速バスにおける「上質な3列シート車」の存在として、「グランドリーム号」の位置づけがより大きくなっていきます。
西日本JRバス「グランドリーム号」「グラン昼特急号」 749-20936(スカニア/バンホール InterCityDD)
高速バス「仙台~首都圏線」にも「グランドリーム号」車両が・・・
そして2026年には、JRバス東北の高速バス「仙台~首都圏線」でも「グランドリーム号」車両の運行が始まりました。
JRバス東北「仙台・新宿9号」 H677-25408 羽生PAにて
2026年4月1日から、「仙台~首都圏線」の一部便に「グランドリーム号」車両を投入。
2026年8月12日現在、夜行便「ドリーム仙台・新宿/横浜号」1往復と昼行便「仙台・新宿号」1往復に投入されています。
昼行高速バス「仙台・新宿9号」に乗車
今回乗車したのは、バスタ新宿13時00分発仙台駅東口行きの「仙台・新宿9号」。
こちらの車両が充てられていました。
JRバス東北仙台支店所属H677-25408号車(日野セレガHD 2PG-RU1ASDA)です。
2025年度末に導入された「グランドリーム号」用車両で、先述の通り夜行便「ドリーム仙台・新宿/横浜号」と昼行便「仙台・新宿号」で活躍しています。
同型の車両はこの車両を含めて計3台導入され、3台とも原則として首都圏~仙台線に投入されています。
JRバス東北「グランドリーム号」車両 H677-25409(日野セレガHD)
「仙台・新宿9号」グランドリーム車両をチェック
車内は、3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様。
ダークグレー基調の内装が特徴で、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
青の枕カバーがこのタイプの車両の特徴なのでしょうか。
座席と通路を仕切るカーテンは、中央列座席を含めた全席に完備。
トイレは、車内中央部の階段を下りた突き当たりにあります。
シートは、天龍工業製の「グランドリーム号」専用クレイドルシートを採用しています。
リクライニングと連動で座面が上がるのが特徴で、浅いリクライニング角度でも足元が広くゆったりと休むことができるのがこのシートの最大の「売り」です。
レッグレストとフットレストをセットすると、このような一体型の構造になります。
モバイル充電は、USB(Type-A)を採用。
通路カーテンをセットすると、このようになります。
こちらは、シートの背面。
荷物フックとシートポケット、降車ボタンが設置されています。
シートポケットには、リーフレット類が入っています。
以上、簡単に車両と車内について紹介しましたが、所要時間6時間弱の仙台~東京間高速バスとしては十分過ぎる充実設備を有しているといえましょう。
この車内設備であれば、昼行便のみならず夜行便でも快適に移動できると思います。
【乗車記】新宿→仙台 約5時間40分の昼行高速バス旅
やって来たのは、JR新宿駅新南口に直結するバスタ新宿(新宿高速バスターミナル)。
昼間にバスタ新宿を発車する高速バスに乗車するのは久しぶりのような気がします。
12時45分、仙台駅東口行き「仙台・新宿9号」がバスタ新宿のD10番のりばに入線します。
D10番のりばといえば、ご存じ「はかた号」(西日本鉄道)ののりばをイメージしますが、昼間にこちらののりばから乗車するのは、もしかすると初めてかもしれません。
のりばに入線後、早速乗車改札が行われます。
この便は予約でほぼ満席。
発車前ですが、すでに多くの乗客が通路カーテンをセットし、スマホ画面を眺めたりシートを倒して休む態勢を整えます。
13時00分 バスタ新宿発車
定刻にバスタ新宿を発車したバスは、甲州街道から山手通りに入り、中野長者橋ランプから首都高速道路中央環状線に入ります。
江北ジャンクションを通過すると首都高速道路川口線に入り、川口ジャンクションからいよいよ東北自動車道へ。
13時34分、浦和料金所を通過します。
浦和料金所から先は、約320km先の仙台南インターまで東北自動車道をひた走ります。
13時55分~14時10分 羽生パーキングエリアにて開放休憩
バスタ新宿を発車して1時間弱の13時55分、バスは1回目の開放休憩場所である羽生パーキングエリアに到着します。
羽生パーキングエリアは、埼玉県羽生市の東北自動車道上にあるパーキングエリア。
かつてこの付近に日光街道の栗橋関所が置かれていたこともあってか、特に上り線は江戸の世界観に触れられるテーマ型エリア「鬼平江戸処」として「鬼平犯科帳」の世界観に基づく江戸風の建築になっていることでも有名。
施設も充実しており、多くの自家用車やバスが停車するパーキングエリアとしても知られています。
羽生パーキングエリアの上り線の様子は、過去の乗車記で少し触れていますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。
▶JRバス東北「ドリーム青森・東京(ラ・フォーレ)2号」 簡単な乗車記【札幌~博多間 3日連続 高速バスだけの旅】
▶【乗車記】仙台~新宿の高速バス「仙台・新宿号」|JRバス東北の3列シート車で約6時間のバス旅
こちらでは14時25分までの15分間停車。
ほとんどの乗客がバスを降り、トイレや買い物を済ませていました。
15時35分~15時50分 那須高原サービスエリアにて開放休憩
乗客が全員揃ったところで、バスは羽生パーキングエリアを発車。
終着地の仙台へ向けて、東北自動車道を北上していきます。
それまで住宅地が目立つ車窓が、次第に緑が多くなっていくのが分かります。
羽生パーキングエリアを発車して1時間20分ほど経過した15時35分、2回目の開放休憩場所である那須高原サービスエリアに到着します。
那須高原サービスエリアは、栃木県那須郡那須町の東北自動車道上にあるサービスエリア。
東京~仙台間のほぼ中間に位置し、「仙台・新宿号」のみならず「ニュースター号」昼行便(東北急行バス)、「広瀬ライナー号」宮城交通担当便(新宿・渋谷行き)、「あぶくま号」(JRバス東北・福島交通)など多くの高速バスが休憩するサービスエリアとしても知られています。
施設も充実しており、レストランやフードコート、ショップのほか、ATM(セブン銀行)、ガソリンスタンド、給電スタンドなども設置されています。
那須高原サービスエリアでは、15時50分までの15分間停車。
こちらでも多くの乗客がバスを降り、トイレや買い物を済ませていました。
17時05分~17時20分 国見サービスエリアにて開放休憩
那須高原サービスエリアを発車したバスは、引き続き曇り空のもと東北自動車道を北上し、仙台をめざします。
福島県にさしかかりました。
宮城県、そして杜の都「仙台」まで、あと少しです。
那須高原サービスエリアから1時間15分後の17時05分、バスは3回目(最後)の開放休憩場所である国見サービスエリアに到着します。
国見サービスエリアは、福島県伊達郡国見町にある東北自動車道上のサービスエリア。
福島県内の東北自動車道のサービスエリアでは最も北に位置し、宮城県との県境となる国見峠付近にあります。
2018(平成30)年7月より改良工事が着手され、下り線は2020年9月29日に、上り線は同年10月28日にリニューアルオープンしました。
敷地も広く、施設も充実しており、レストランやフードコート、ショップのほか、ガソリンスタンド、給電スタンドなども設置されています。
国見サービスエリアでは、17時20分までの15分間停車。
バスもラストスパートに向けてひと休みです。
私もトイレを済ませた後、パーキングエリア施設を少し見てバスへ戻ります。
18時41分 仙台駅東口到着
国見サービスエリアを発車したバスは、さらに東北自動車道を北上。
17時58分、仙台南インターを通過します。
仙台南インターからは、国道286号や仙台市営地下鉄長町南駅付近を経由し、仙台市中心部へと向かいます。
18時24分、高層マンションがそびえ立つJR長町駅東口に到着。
仙台地区の南のターミナル駅として機能しており、数多くの人々が行き交います。
JR東北本線、仙台空港アクセス線、仙台市営地下鉄に乗り換えの方はこちらで下車すると便利です。
JR長町駅東口では、10名程の乗客が下車していきました。
JR長町駅東口を発車したバスは、広瀬河畔通や国道286号などを経由し、
18時41分、定刻よりも若干早く終点の仙台駅東口75番のりば(降車専用バス停)に到着しました。
乗客を全員降ろし、車内点検を実施したバスは、楽天モバイル最強パーク宮城すぐそばのJRバス東北仙台支店(仙台市宮城野区)へ回送され、次の便の運行に備えるのでありました。
昼行高速バス「仙台・新宿号」のメリット・デメリット
以前にもご紹介しましたが、いま一度、昼行高速バス「仙台・新宿号」のメリット・デメリットをおさらいしておきます。
昼行高速バス「仙台・新宿号」のメリット
- 新幹線より圧倒的に安い
- 都市中心部同士を直結
- 3列独立シートで快適(「グランドリーム号」車両は特に快適)
- 本数が多い(土日祝・繁忙期など特定日に限る)
- 車窓が楽しめる
昼行高速バス「仙台・新宿号」のデメリット
- 所要時間が長い
- 渋滞の影響を受ける
- 満席になりやすい
JRバス東北「グランドリーム号」車両に乗ってみての感想
というわけで、JRバス東北「仙台・新宿9号」(バスタ新宿→仙台)乗車の模様をご紹介しました。
「仙台・新宿号」については、2025年12月の乗車以来、約5か月ぶりの乗車でしたが、今回も「3回」という程よい休憩回数と、「1時間~2時間」という休憩間隔も相まって、新宿から仙台までの移動時間があっという間でした。
加えて、今回はハイグレードの「グランドリーム号」用車両での移動。
サービスエリア・パーキングエリアでの休憩を楽しみながらゆったりと車窓を堪能できる「昼行高速バスならではの楽しさ」に加え、「ハイグレード高速バスならではの快適さ」を感じることができました。
もちろん、前回2025年12月の「仙台・新宿号」での移動よりも、身体が楽に感じました。
昼行便における全席通路カーテン装備車のデメリットについても、ノーマル3列シート便と同じではありますが、座り心地の良い専用クレイドルシートであれば移動中につい寝てしまうことも十分に考えられ、そう考えるとこれはこれでアリなのかなと思えるようにもなりました。
以前の乗車記にも記しましたが、「信頼のおける事業者による運行」「運賃・車両サービスを含めたコストパフォーマンスの高さ」が売りのJRバス東北「仙台・新宿号」。
これに今回、ハイグレード車両「グランドリーム号」車両という、新たな「売り」がひとつ増えました。
速さでは新幹線に勝てるはずもありませんが、時間がある時や安く移動したい時の選択肢として考えるには十分にアリだと思います。
今後、今回ご紹介した「グランドリーム号」車両が増備されるかどうかは分かりませんが、乗ってみて損はない車両です。
機会がありましたらぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2026/05/27
- 乗車区間:
バスタ新宿(新宿高速バスターミナル)→仙台駅東口 - 運行会社:JRバス東北
- 車両:日野/セレガHD(2PG-RU1ASDA)
- 年式:2025年式
- 所属:仙台支店
- 社番:H677-25408


