都営バス最長路線「梅70」を見てみる

一般路線バス

東京都民の足として欠かせない足の「都営バス」
東京都交通局 K-B753
正式名称は「東京都交通局自動車部」ですが、東京都内に住んでいない人間が抱く都営バスのイメージといえば、

  • 白と緑のカラーリング
  • 山手線内をくまなく走る
  • 運賃先払い・均一運賃
  • 台数がとにかく多い
  • 先進的な車両を積極的に導入している

といったものになるのではないでしょうか。

ですが、今回ご紹介する都営バスは、

  • 都内では考えられない長距離を走る
  • 運賃後払い

という、東京23区内を走る都営バスとはちょっと違った路線になります。

もうお分かりかもしれませんが、今回ご紹介する都営バスはこちら↓。
東京都交通局 梅70-1 W-L639_01
西武新宿線花小金井駅(東京都小平市)と都営バス青梅車庫(東京都青梅市)を結ぶ都内有数の長大路線「梅70」系統であります。

実はこの路線、以前から乗車してみたいとは思っていたのですが、これまで一度も乗車する機会がありませんでした。
ですが、この度、本州・九州方面取材の前に東京へ立ち寄る機会があり、「それならば乗車してみようかぁ・・・。」ということで、先日乗車してまいりました。

バスファンのみならず、都営バス最長路線として知られる「梅70」系統。
いったいどんな路線なのでしょうか。

全長30km弱の都営バス最長路線

ここで、都営バス「梅70」系統について簡単におさらいしておきましょう。
都営バス「梅70」系統は、東京都青梅市の青梅車庫・青梅駅から青梅街道を忠実に走行し、青梅市・瑞穂町・武蔵村山市・東大和市・小平市を経由して、西武新宿線花小金井駅まで至る路線です。
系統キロは約28~29km、標準所要時間は120分前後、停留所数は81箇所となっており(運行系統により異なる)、都営バス及び都内一般路線バス最長路線としても知られています。

この路線の歴史は古く、運行を開始したのは1949(昭和24)年の8月7日。
当初は「301」系統と呼ばれており、青梅(現青梅車庫)~荻窪駅間を運行していました。
その後、阿佐ヶ谷駅まで延伸されましたが、1984(昭和59)年4月に田無本町2~荻窪駅~阿佐ヶ谷駅間を短縮します。
1992(平成4)年4月には田無本町2~柳沢駅を延長しますが、2015(平成27)年4月には運行区間を青梅車庫~花小金井駅北口に短縮、現在に至ります。

現在の「梅70」系統は、以下の通りになっています。

  • 梅70:青梅車庫~青梅駅~東青梅駅北口~箱根ヶ崎~武蔵村山市役所~大和操車所~東大和市駅
  • 梅70:青梅車庫~青梅駅~東青梅駅北口~箱根ヶ崎~武蔵村山市役所~大和操車所~東大和市駅~小平合同庁舎~花小金井駅北口
  • 梅70:大和操車所~東大和市駅~小平合同庁舎~花小金井駅北口
  • 梅70:青梅車庫←青梅駅←東青梅駅北口←箱根ヶ崎←武蔵村山市役所←大和操車所(初便のみ)
  • 梅70:青梅車庫~青梅駅~東青梅駅北口~箱根ヶ崎~武蔵村山市役所~大和操車所~東大和市駅~小平駅
  • 梅70:大和操車所~東大和市駅~小平駅
  • 梅70-1:青梅車庫~青梅駅~東青梅駅北口~箱根ケ崎駅~武蔵村山市役所~大和操車所~東大和市駅~小平合同庁舎~花小金井駅北口(日祭日運休)
運行本数は、全区間通し(青梅車庫~花小金井駅)が約1時間おきの運行となっており、これに加えて平日・土曜を中心に区間系統の運行が毎時1本程度加わるのが基本パターンとなっています。

東京都交通局 W-R575
※写真はイメージです。

レアな「梅70-1」系統で青梅車庫へ

やって来たのは、西武新宿線の花小金井駅。
都営バス「梅70」系統はここから発車します。

今回乗車したのは、花小金井駅14時33分発の青梅車庫行き。
2003年式のW-L639号車(日野KL-HR1JNEE)が充てられていました。
東京都交通局 梅70-1 W-L639_01

東京都交通局 梅70-1 W-L639_05
全国的に数を減らしている日野HR10.5m仕様ですが、青梅地区の都営バスではまだまだ現役で活躍しています。

この便ですが、通常の「梅70」系統とは異なり、JR八高線箱根ケ崎駅構内へ乗り入れる「梅70-1」系統として運行されます。
なんでも、この「梅70-1」系統、平日と土曜に数便のみ運行されるレアな便だとか。
”運が良い”といって良いのでしょうか・・・。
東京都交通局 梅70-1 W-L639_05_02

花小金井駅を発車したバスは、青梅街道の交差点を左折し、小平総合庁舎前を通過。
ここから先は、基本的に青梅街道を青梅へ向けてひた走ることになります。
青梅街道とはいいつつも、このあたりの道は片側1車線と道幅が広くない割に交通量が多く、しかも、踏切も数か所あることから、車の流れも決して良くはありません。
それでも驚いたのは、沿線の昭和病院へ通院する乗客や最寄りの鉄道駅へ向かう乗客などで、頻繁に乗り降りがあること。
接続する鉄道駅も、青梅街道駅、新小平駅、東大和駅、箱根ヶ崎駅(後述)、東青梅駅、青梅駅と多い他、行政機関も点在しており、沿線住民に欠かせない大切な路線として立派に機能している様でした。
東京都交通局 梅70-1 W-L639_06

バスは、小平市から東大和市、武蔵村山市、瑞穂町を経由し青梅市へ。
瑞穂町の箱根ヶ崎を通過したところで、バスは箱根ヶ崎交差点を左折し、JR八高線箱根ヶ崎駅構内に入ります。
箱根ヶ崎交差点に戻ったバスは、さらに左折し青梅方面へ。
河辺駅入口を通過すると、いよいよ青梅の街へと入っていきます。

青梅駅(構内)でまたも乗客が入れ替わり、青梅駅から5分程でバスは青梅車庫前に到着。
終点は、さらに数十メートル離れた一つ先の青梅車庫ですが、どういうわけか間違ってこちらで下車してしまうという、痛恨のミスをやらかします。
結局、降りたところから数十メール歩いて、青梅車庫に到着です。
東京都交通局 梅70-1 W-L639_07 青梅車庫バス停

東京都交通局 梅70-1 W-L639_07 青梅車庫バス停 青梅支所路線図
花小金井駅北口から青梅車庫前までの所要時間は、ちょうど120分!
運賃は花小金井北口~青梅車庫前間で560円(交通系ICカード利用で556円)でした。
30km弱の路線で運賃560円と安いのは、都営交通ならではといったところでしょうか。
いずれにしろ、長大路線ならではの乗り応えのある路線でございました。

系統分割が出来ない事情も?

以上、都営バス「梅70」系統(正確には「梅70-1」系統)の乗車の模様を簡単にご紹介しました。

乗客の乗り降りが頻繁にあり、しかもそれなりの利用もある・・・。
とかくこの手の長大路線は、系統分割や区間短縮で先細り→やがて減便・廃止といった運命を辿ることが多いですが、この路線に関しては長い距離を乗り通す乗客もそれなりにいる様で、おいそれと系統分割出来ないのかなぁと感じました。
やはり、接続する鉄道駅が多いのと、沿線に行政機関や病院が点在していて、これら場所へバスを使って出かける利用客が多いことが一番大きいのでしょうね。
それゆえに、路線の維持に関しては大変な様でして、東京都交通局が公表している「平成29年度 バス路線別収支」によると、「梅70」系統の1日の乗車人数は2627人、損益額が2億306万1千円の赤字、営業係数が197と、都バスの中で赤字額が最も大きい路線でもあります。
このため、1984(昭和59)年から東京都と沿線自治体で運行経費を補助し、なんとか支え合っているのが実状だそうです。
さらに、最西の青梅車庫が起終点ということもあって、分割系統しにくいということもある様です。

とはいえ、乗降が頻繁にあって、しかも車内も賑やかな長大路線・・・私が今まで乗車した長大路線ではあまり経験がなかっただけに、正直驚いたというのが率直な感想でした。
やはり、バスは多くの方が利用してこそ機能するものである・・・そんなことを感じた、今回の都営バス「梅70」系統の実見でございました。


【乗車データ】 
  • 乗車日:2019/05/14
  • 乗車区間:
    花小金井駅北口→青梅車庫前
  • 運行会社:東京交通局自動車部(都営バス)
  • 車両:日野/レインボーHR(日野KL-HR1JNEE)
  • 年式:2003年式
  • 所属:早稲田自動車営業所青梅支所
  • 社番:W-L639

【参考ページ】
「都営バス資料館」(http://toeibus.com/)


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