南海バス「サザンクロス」長岡線 乗車記
今回ご紹介するのは、今から3年前の冬に乗車した、南海バスの堺・大阪なんば・京都~柏崎・長岡間夜行高速バス「サザンクロス」長岡線の乗車記になります。
開場当初は長岡止まりでしたが、現在は三条(東三条)まで延伸され、越後~京阪神間を結ぶ直行交通機関として、多くの方に利用されています。
旅の始まりは阪和堺市駅前から
乗車当日、私はJR阪和線の堺市駅に降り立ちました。この駅に来るのは、恐らく生まれて初めてといっていいでしょう。
バスロータリーの目の前には商業施設があって、裏手の出口にはパチンコ屋や商店が並ぶ、都会の住宅地にありがちな駅前の風景です。
で、私が乗車したのは、こちら↓の車両。
日野セレガHD(PKG-RU1ESAA)です。
「サザンクロスカラー」の日野セレガというのも、なかなか様になっていますね。
乗務員がバスから降りてきて手早く改札を行います。チケットを渡して荷物を預け、バスの車内に入ると、ブルーのカーテンと紺系のシートが目に入ります。
車内は3列独立シート29人乗りの夜行高速バス標準仕様ですが、よく見て見ると客席スペースに段差というものが全く存在しません。
そう、これが日野新型セレガのハイデッカー仕様の特長の一つで、車内後部に行けば行くほど座面が高くなるシアターレイアウトにまっています。
恐らく、後部のエンジンスペースの関係からこの様なレイアウトにしたと推測されますが、車内移動の安全性と客席展望を考慮した良い設計であると思いました。
シートは天竜製のリクライニングシートですが、南海の悪き(?)伝統と言っていいのか分かりませんが、レッグレストが無い構造となっています。しかし、足置き台はきちんと装備されている他、リクライニングの角度もしっかり確保されていて、昔の「サザンクロス」で採用されていた”倒れない・足が伸ばせない”窮屈なシートと比較すると、寝心地はこちらの方がずっと良さそうに思えます。
エアコンダクトもチェック。読書等がLEDになっている他、噴出口も最近の乗用車の様な”回して調整、横にして閉める”タイプの物が採用されています。
トイレ付近のチェックも忘れません。飲み物サービスは実施されていませんが、サービスコーナーは設置されています。トイレも従来型と比較して広くて使い易そうです。
そうこうしているうちに発車時間の20時55分になり、バスは出発。
JR堺市駅前から乗車したのは私一人だけでしたが、次の堺東駅では3名が乗車。その後に停車した南海堺駅前では乗客がおらず、まずは総計4名で一路大阪へと向かいます。
21時45分、今や大阪一の高速バスターミナル化してしまったなんばOCATに到着。ここで4名が乗車。続いてのなんば高速バスターミナルでは5名が乗車し、ここまでの乗客は総計13名となりました。
22時、なんば高速バスターミナルを出発。ここで乗務員からの挨拶と車内TVによる車内設備の説明が行われます。乗務員の案内が「案内TVを見て使ってくれ」と言わんばかりの素っ気無い内容で少々拍子抜けしましたが、これが南海のスタイルなのでしょうか?
23時05分、京都駅八条口に到着。ここで何と13名が乗車して来ました。京都からの利用客の多さにびっくりしましたが、周りを見渡す限り、学生らしき若者が大半です。受験シーズンということもあるのでしょうが、この路線自体に学割運賃が設定されていて、それが利用客獲得にも繋がっているのかもしれません。
これにより総勢26名とほぼ満席状態で一路長岡へと向かうことになりました。
高速道路を北上・・・目覚めると長岡はすぐそこ
京都出発後、再度乗務員からの案内と液晶モニターによる車内設備の案内が行われ、更に案内終了後に消灯時間についてと休憩場所である草津サービスエリアの到着時間及び注意事項についての説明が行われました。以前は南海の「サザンクロス」と言えば開放休憩一切無しの”拘束バス”で有名(?)でしたが、昨年辺りから消灯前の休憩を行う様になったそうで、消灯前の洗顔を欠かさない私にとっては非常にありがたいサービスです。
23時33分、名神高速道路の草津SAに到着。ここで10分間休憩タイムとなりました。 外は凄い雨。雨の中速攻とトイレに駆け込み、洗顔を済ませ、写真を撮影してバスに戻ります。
23時45分、バスは再び出発。この先は名神高速道路から北陸自動車道へと入り、一路柏崎、長岡へと直行するのみです。
急に睡魔が襲ってきたので、シートを倒して目を瞑ります。レッグレストが無い為か、多少足に負担がかかるものの、エンジン音が目立たない静かな車内と心地良い揺れで次第に夢の中へと吸い込まれていきました。
翌朝5時30分、携帯の目覚まし(勿論マナーモードにしてありますが・・・・・)で目が覚めます。
外は真っ暗ですが、所々に雪があるのを見て、北国に戻ってきた事を実感します。
5時50分、ほぼ定刻にJR柏崎駅前に到着。
ここで4名が下車しました。
4名とも車若しくはタクシーで移動した様で、駅前は間も無く6時だというのに閑散としていました。
その後、曽地、西山に停車するも降車客はおらず通過。続いての長岡インターでは2名が下車し、長岡インターから走る事約15分、定刻の6時41分に終点の長岡駅東口に到着しました。
バスを降りて荷物を受け取った頃には外も薄明るくなり、ようやく朝が始まるといった実感が沸いて来ました。
今回、念願の路線とバスに乗車してみて、この路線が支持される理由が分かった様な気がしました。
それは、長岡市中心部と京阪神をダイレクトに結んでくれる利便性の良さと運賃設定です。
これまで、長岡市中心部を発着する県外高速バス路線は皆無で、長岡市内にも停車するあの池袋~新潟線でさえも、長岡市内は高速道路上のバスストップでの乗降扱いのみでした。
しかし、この路線の開設によって長岡市内とりわけ長岡市中心部から気軽に京阪神方面に行ける様になり、
利便性が格段に向上しました。加えて往復割引運賃の他に学生運賃を設定したことにより、学生が帰省や旅行等で気軽に利用出来る様になった結果、利用客の堅調な伸びに繋がっているものと思われます。
更に2009年3月26日からは三条市に延伸され、越後交通三条営業所ではパーク&ライドサービスも始めました。
新たな需要掘り起こしに期待したいところです。
今後はビジネス客をいかに増やしていくかと言う事と、大河ブームを初めとする観光需要をいかにこの路線の利用に結び付けていくかが課題であると言えましょう。潜在需要が決して小さくない地区だけに、両社の長年培ってきたノウハウを生かして更なる利用増に繋げていく事を切に願うばかりです。
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