2023年1月13日に大阪南港~別府間で営業就航を開始した日本初のLNGカーフェリー「さんふらわあ くれない」。
その僚船である「さんふらわあ むらさき」が、遅れること約3か月後の2023年4月14日に大阪南港~別府間で営業就航を開始しました。
「びっくりするくらい静か」「カーフェリーとは思えないほどの広さ」「クルーズフェリーにふさわしい船内設備」など、高い評価をを受けている「さんふらわあ くれない」と「さんふらわあ むらさき」。
日本初のLNGカーフェリーであることはもちろん、環境面と静粛性・快適性を両立させたフェリーとして、各方面からも注目を集めています。
実は今回、2023年春の九州遠征最大の目的が、今回ご紹介するフェリーさんふらわあ(本社:大分市)の最新鋭フェリー「さんふらわあ むらさき」に乗船することでした。
日本初のLNGカーフェリー「さんふらわあ むらさき」。
いったい、どんなフェリーなのでしょうか。
今から楽しみです。
「でかい」「立派」な日本初のLNGカーフェリー
札幌からJAL516便(A350-900)、西鉄の夜行高速バス「はかた号」、同じく西鉄の高速バス「とよのくに号」を乗り継いでやって来たのは・・・
大分県別府市の別府観光港です。
目の前に、今回ご紹介する「さんふらわあ むらさき」の船体が見えています。
さんふらわあのフェリーのりばは、横断道路を港方面へ進んだ突き当たりにあります。
新船就航前はもう少し大分寄りにありましたが、新船就航に合わせて新築移転しました。
移転前のフェリーターミナルと比較すると、こじんまりとした印象を受けます。
連絡バスのバス停も、新フェリーのりば玄関前に移設されました。
乗船手続き開始まで時間があります。
折角なので、「さんふらわあ むらさき」の船体を眺めてみます。
初見の感想ですが・・・とにかくでかい!立派!
それもその筈、全長199.9m、総トン数17,114トンは、日本国内で活躍するカーフェリーの中でも最大級。
にもかかわらず、乗客数716名は先代の「さんふらわあ あいぼり」「さんふらわあ こばると」とほぼ同じであり、船内スペースを大きく確保している点がこの船の「売り」のひとつだといいます。
航行速力は22.5ノット、トラック積載可能数(13m換算)は137台と、モーダルシフトに対応している点も注目ですが、何といってもこの新船の最大の「売り」は、「日本初のLNG(液化天然ガス)カーフェリー」であるという点です。
フェリーさんふらわあ公式サイトによると、厳密にはLNGと重油それぞれを燃料として使用できる高性能Dual Fuelエンジンを搭載。
LNG燃料を使用することで、二酸化炭素(CO2)を約25%、硫黄酸化物(SOx)を100%、窒素酸化物(NOx)を約85%排出削減する効果が見込めるとのことです。
ゼロ・エミッション時代に対応した、環境に優しいカーフェリーであるといえましょう。
それにしても、まあ、でかい!立派!!
乗船するのが今から楽しみです。
フェリーのりばの建物に入ってみます。
風除室には、昔の「こばると丸」の模型が飾られています。
新船就航をお祝いする花も飾られていました。
待合室と発券カウンターは1階に設置。
コンパクトにまとめられています。
乗船は、エレベータで2階に上がり、ボーディングブリッジを渡ります。
気になる新船「さんふらわあ むらさき」の船内は?
17:00 乗船手続き開始
「さんふらわあ むらさき」別府発の初便ということもあり、発券カウンター前には長蛇の列が出来ています。
人の流れがスムーズになる様にと、受付前の乗船客に対して事前の体温チェックを実施して回るなど、社員の方々も忙しく動いています。
今回選択したのは、1人用個室の「スーペリアシングル」。
正規運賃・料金で利用するとそれなりの金額がしますが、全国旅行支援適用のおかげで、通常より4,000円近く安くなりました。
ただし、手続きの都合で地域クーポンは船内で利用出来ないとのこと。
「大阪に到着してからご利用下さい。」と念を押していわれました・・・。
18:30 乗船開始
1階エレベータ付近で係員に乗船券を提示。
QRコードを読み込ませた後、エレベータで2階に上がり、ボーディングブリッジを渡って乗船します。
18:35 船内散策
早速、「さんふらわあ むらさき」の船内を見てみましょう。
エントランスは6デッキにあります。
エントランスに入ると、目の前には段違いの3層吹き抜け構造のアトリウムが現れます。
雰囲気はまるで高級ホテルのロビー。
手の込んだ造りに驚きます。
丸形の天井には、プロジェクションマッピングが投影。
プロジェクションマッピングの使い方も見事です。
パブリックスペースも、従来船と比較して大幅に拡大。
木目調の造りが安らぎと落ち着きを与えてくれます。
パブリックスペースには、この様なサイネージを埋め込んだテーブルを配置。
サイネージはタッチパネルになっており、タブレットの様に操作することが出来ます。
ただし、こちらでの飲食は出来ませんので注意です。
この日は就航初日ということもあり、プロのミュージシャンによる演奏が船内に流れておりました。
出港後にはミニコンサートも開催されました。
こちらは、レセプション(インフォメーションカウンター)。
等級変更の受付もこちらで行っています。
なお、この日は全ての個室が満室でした。
ショップ(売店)はレセプション(インフォメーションカウンター)の隣にあります。
発着地の土産物が充実しており、さながら動く物産館という印象を受けました。
もちろん、飲食物の他、トラベルグッズ、さんふらわあオリジナルグッズも販売していますので、何か足りない時はこちらを活用すると良いでしょう。
自販機コーナーは各階に設置しています。
キッズコーナーも完備。
6デッキ~7デッキ間の階段に裏側にあります。
7デッキに上がってみます。
7デッキのパブリックスペースも広々として使いやすくなっています。
展望浴室とシャワールームは7デッキに設置。
面積が従来船の約2倍に拡大され、大海原を眺めながらゆったりと湯に浸かるが出来ます。
展望浴室は利用時間に制限がありますが、シャワールームと洗面台は24時間利用することが出来ます。
展望浴室・シャワールームの隣には、マッサージチェアがあります。
7デッキにもサイネージを設置。
こちらもタッチパネル式となっており、操作することが出来ます。
プロジェクトマッピングの正体がこちら。
EPSON製高性能プロジェクター(EB-L30000U、超短焦点レンズELPLX03)です。
船への搭載では世界初とのこと。
同製品の導入により、天井に広く・高画質に投影することが可能になったそうです。
さらに、ひとつ上の8デッキに上がってみます。
スイートクラスの船室が並ぶ8デッキには、写真のスイート利用者専用のカフェラウンジがあります。
見世物小屋的造りに多少の違和感は否めませんが、ラウンジ内ではコーヒーとアイスが食べ飲み放題。
こちらも気分転換にはもってこいの空間になっています。
そして、今回私がお世話になった部屋は、先述の通り1人用個室「スーペリアシングル」でした。
スーペリアシングルは、7デッキの船主側にあります。
インサイド個室となるため、残念ながら部屋から外の景色を眺めることは出来ません。
部屋の鍵は、乗船券に印字されているQRコードをドア上のQRコードリーダーにかざして開けます。
部屋に入ってみます。
1人用のインサイド個室ということもあり、さほど広くはありませんが、1人で利用するには十分な広さ。
木目調のデザインが落ち着きと安らぎを与えてくれます。
無機質感を感じない内装が個人的に好印象でした。
部屋内には冷蔵庫、空気清浄機、液晶TV、テーブル、鏡、ダウン、アメニティグッズの他、トイレ、シャワースペースを完備。
空調も個別空調になっています。
私自身、これまでフェリーの1人用個室には何度も利用していますが、数ある大型カーフェリーの1人用個室の中でも最上級のグレードに位置するのではと感じました。
フェリーさんふらわあ「さんふらわあ むらさき」の旅【1日目】
18:50~20:00 夕食・出港
船内の散策を終え、部屋で一息ついたところで、レストランで夕食となりました。
レストランは6デッキにあります。
食事はバイキング形式。
夕食が2,000円、朝食が700円となっています。
料金はセルフレジによる事前精算式。
現金もしくはクレジットカードが利用出来ます。
交通系ICカードやPayPayなどのコード決済は利用出来ませんので注意しましょう。
レストランに入ってびっくり。
とにかく広いのです!
それもその筈で、レストランの席数が従来船の約1.5倍に拡大されたとか。
数あるフェリーのレストランを利用して来ましたが、これほどまで広い船内レストランは見たことがない!という位に広かったです。
混雑していたためにレストラン内の撮影は出来ませんでしたが、是非この広さを体験していただきたいです。
そして、料理の品数も豊富。
九州産の食材を生かした地元料理が多いのが印象に残りましたが、どれも美味しそうなものばかり。
お腹がはち切れそうな程、食べ過ぎてしまいました(笑)。
食事を終え、ひと息ついている頃、「さんふらわあ むらさき」は19時35分定刻に別府港を出港しました。
社員の方々が、ペンライトを振って見送りをしています。
折角なので、レストランを出て7デッキの展望デッキへ移動。
出港の様子をしばし眺めます。
夜の別府の街並みが美しいですね。
20:30 プロジェクションマッピングショー
部屋に戻って、ひと息ついた後、飲み物を買おうと売店へ行こうとしたら・・・何やらエントランスが賑やかです。
ふと行ってみると・・・プロジェクションマッピングショーが始まっていました。
結局最後まで見てしまい、売店で飲み物と土産物を購入し、部屋でのんびりとします。
22:00 入浴
この旅唯一のフェリー船内でのお風呂を堪能するために、7デッキの展望浴室へ。
いい湯でした。
部屋に戻る前に撮影したアトリウムです。
本当に造りが凝っていますね。
23:30 就寝
展望浴室でさっぱりしたところで、自室に戻って横になります。
次第に眠くなり、いつしか夢の中へ。
フェリーさんふらわあ「さんふらわあ むらさき」の旅【2日目】
翌朝05:00 起床
目を覚ましてスマートフォンの時計を見てみると・・・05時00分。
本当ならもう少し寝ていたいところですが、ここで起床します。
部屋のシャワーでさっぱりして、しばし部屋でくつろぎます。
06:11 明石海峡大橋通過
05時55分、部屋から7デッキの展望デッキへ移動します。
目的は・・・ズバリ、明石海峡大橋の下を潜る様子をこの目で見るためです。
船内の通路には、この様なパネル画が。
今更気付きました(笑)。
右手には、瀬戸内海で最大面積を誇る島「淡路島」が見えます。
そして、前方には・・・朝日に照らされた明石海峡大橋が見えて来ました。
06時11分、明石海峡大橋を通過。
「橋は渡るものではなく潜るものだ!」とはよくいったもので、橋の下を潜る船から見る明石海峡大橋の姿は”圧巻”のひとことです。
ふと見上げると、ファンネルの姿が。
形状もさることながら、煙が殆ど出ていないことに、この船がLNGフェリーであることを改めて認識します。
明石海峡大橋をあとにした「さんふらわあ むらさき」は、大阪南港へ向けて航行を続けます。
大阪南港入港まで、あと1時間程です。
さあ、朝食をいただくかぁ・・・といいたいところですが、お腹が全くといっていいほど空いておらず、朝食を摂る気分にもなれなかったため、結局大阪南港入港直前まで部屋で過ごすことにしました。
07:35 大阪南港入港
大阪南港が見えて来ました。
楽しかった12時間の船旅も、まもなく終わろうとしています。
こちらは、大阪府庁咲洲庁舎が入居する「さきしまコスモタワー」。
そして、こちらは「アジア太平洋トレードセンター(ATC)」です。
ATCのITM棟2階に、フェリーさんふらわあの乗船券カウンターがあります。
07時35分、大阪南港に着岸です。
この後、ボーディングブリッジがセットされ、下船となります。
07:50 下船
ボーディングブリッジのセットに時間がかかり、徒歩客の下船が開始されたのは07時50分のことでした。
12時間00分の移動を共にした「さんふらわあ むらさき」とも、ここでお別れです。
船を出て連絡通路を歩くと、ATCのITM棟2階にある「さんふらわあ乗船券カウンター」に辿り着きます。
そして、その一角には常設の展示コーナー「さんふらわあミュージアム」が設けられています。
年表と歴代の船舶の模型を使い、明治45年から続く悠久の船々と航路の歴史を辿ることが出来る様になっており、船旅ファンでもそうでない方でも楽しめる内容になっています。
時間がある方は是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
さんふらわあ史上最高傑作の船舶!?
以上、フェリーさんふらわあ「さんふらわあ むらさき」の乗船記をお届けしました。
関西~九州間のさんふらわあに乗船したのは今回が初めてでしたが、
「でかい」「広い」「立派」「快適」
これが今回乗船した「さんふらわあ むらさき」の正直な感想といったところでしょうか。
お世辞抜きに、今般デビューした「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」は、現時点においてMOLグループフェリーのフラッグシップになること間違いないと思います。
それだけ立派な船舶だと感じました。
どうなるかは分かりませんが、これは今年、間違いなく長距離フェリー関連の何らかの賞は受賞するではないでしょうか。
一方で、SNSや口コミでよく目にするのが、「大阪~九州間のさんふらわあって高いよねー」という声です。
関西~九州間のフェリーといえば、さんふらわあの他に阪九フェリーや名門大洋フェリーといった、より安価で快適なフェリーが就航しています。
就航区間が完全に被ってはいませんので、単純に比較は出来ませんが、今後いかに需要を開拓し、より魅力ある商品を開発して、他交通機関に対しての優位性を高めていくかが課題なのかなぁと感じました。
今後予定されている商船三井フェリーとの経営統合で、更なるブランド力の向上とサービス向上に是非とも期待したいところです。
個人的には、今般の「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」の就航で、九州への移動の選択肢がまたひとつ増えたという印象です。
この船内設備であれば、次回以降の利用も十分にアリだと感じました。
いつになるか分かりませんが、機会があればスイートの貸切乗船をしてみたいですね。
日常の謙遜を忘れてゆったりと移動出来る最新大型カーフェリーの旅。
以前に名門大洋フェリー「フェリーふくおか」の乗船記をご紹介しましたが、今回ご紹介したフェリーさんふらわあ「さんふらわあ むらさき」もお勧め出来るフェリーです。
機会がありましたら、是非一度乗船されてみてはいかがでしょうか。
【おまけ】動画にしてみました
現在、Youtubeにて公開しています。
宜しければご覧いただけると幸いです。



