【仙台から北海道へ。移動そのものが旅になる太平洋フェリー「きそ」の船旅】
北海道へ行く手段といえば飛行機が定番ですが、筆者は2026年5月3日のゴールデンウィーク期間中に、太平洋フェリー「きそ」で仙台港から苫小牧西港まで移動してみました。
太平洋上を航行する太平洋フェリー「きそ」
利用したのは、1人用カプセル型寝台船室の「S寝台」。
太平洋フェリー「きそ」のS寝台
結論から言うと、仙台から北海道へフェリーで行くなら、太平洋フェリー「きそ」は非常におすすめです。
今回利用した一人用寝台「S寝台」もさることながら、ホテルのような船内設備、豪華なバイキング、大浴場まで利用でき、15時間の船旅とは思えないほど快適でした。
一方で、船体の振動はやや気になったため、その点も含めて正直にレビューします。
- 太平洋フェリー「きそ」と仙台〜苫小牧航路について
- JR仙石線とタクシーで仙台港フェリーターミナルへ
- 18時25分 太平洋フェリー「きそ」に乗船 まずは船内探検
- 夕食は人気のレストランバイキングへ
- 19時40分 太平洋フェリー「きそ」 仙台港を出港
- 20時30分 シアターラウンジ「サザンクロス」で船内ショーを楽しむ
- S寝台をレビュー ひとり旅に最適な快適空間 しかし・・・
- 05時30分 起床
- 朝食もレストランバイキングへ
- 船旅最大の魅力は「大海原を眺める時間」
- 11時00分 太平洋フェリー「きそ」 苫小牧西港に到着
- 太平洋フェリー「きそ」 おすすめポイント
- 太平洋フェリー「きそ」 よくある質問
- 太平洋フェリー「きそ」 総合評価(5つ星満点)
- 改めて太平洋フェリー「きそ」に乗船してみて(まとめ)
太平洋フェリー「きそ」と仙台〜苫小牧航路について
太平洋フェリーは、愛知県の名古屋港、宮城県の仙台港と北海道の苫小牧西港を結ぶ長距離フェリー航路を運航しています。
今回乗船した「きそ」は、その主力船の一隻。
僚船「いしかり」とともに苫小牧~仙台~名古屋間を航行しています。
太平洋フェリー「きそ」基本スペック
- 船名:きそ
- 航路:名古屋港~仙台港〜苫小牧西港
- 出港時刻:名古屋港 19:00、仙台港 翌日19:40
- 到着時刻:苫小牧港 翌々日11:00
- 所要時間:40時間(名古屋港~苫小牧西港)、15時間20分(仙台港~苫小牧西港)
- 総トン数:約15,700トン
- 全長:約200m
- 旅客定員:約700名
大型フェリーならではの安定感があり、船内にはレストランや展望大浴場、ラウンジ、売店などが充実しています。
まるで「海上を移動するホテル」そのものです。
JR仙石線とタクシーで仙台港フェリーターミナルへ
乗船日の前日、東京新宿から高速バス「広瀬ライナー」夜行便(宮城交通担当便)で宮城県へ。
宮城交通「広瀬ライナー」3321号車(いすゞガーラHD)
宮城交通「広瀬ライナー」3321号車の車内
夕方まで所用を済ませた後、今回の太平洋フェリー「きそ」の旅は仙台市中心部からスタートしました。
まずは、あおば通駅からJR仙石線に乗車し、中野栄駅へ向かいます。
JR仙石線で活躍するJR東日本E131系800番台電車(石巻駅にて)
JR中野栄駅(2026/05撮影)
そこからタクシーに乗り換え、仙台港フェリーターミナルへ。
大型連休中ということもあり、ターミナルには旅行客や帰省客の姿が多く見られました。
仙台港フェリーターミナル(2026/05撮影)
18時25分 太平洋フェリー「きそ」に乗船 まずは船内探検
仙台港フェリーターミナル2階待合室でしばし待っていると、18時25分、乗船開始時刻となりました。
ボーディングブリッジを渡り、船内入口に置かれているQRコードリーダーにモバイルQR搭乗券をかざし、船内へ入ります。
出港まで時間があったので、寝室に荷物を置き、船内を散策してみました。
展望スペースやショップ、ラウンジなど見どころが多く、歩いているだけでも楽しい時間です。
5デッキ エントランス
エントランスに足を踏み入れた瞬間、建造20年以上経過しているフェリーの船内とは思えない、どことなく「バブル期」の雰囲気すら感じさせる豪華な内装に驚きます。
広々とした吹き抜け空間に、高級ホテルのロビーを思わせる共有エリアとゆったり配置されたソファなど・・・大型フェリーならではの開放感があります。
5デッキ 案内所(インフォメーション)・貴重品ロッカー・キッズコーナー
5デッキ ショップ(売店)・自動販売機
ショップ(売店)は、5デッキエントランスのすぐ後ろにあります。
通路には、著名人のサイン色紙などが飾られています。
時間を区切っての営業にはなりますが、土産類や軽い飲食物などを購入する際に便利です。
自販機コーナーは、5デッキショップ(売店)の隣(船尾側)と7デッキにあります。
5デッキの自動販売機コーナーには、ソフトドリンクにアルコール類、アイスクリームの自販機が設置されていますが、アルコール類の自動販売機は夜間販売停止となります。
5デッキ 展望大浴場
展望大浴場の入口は5デッキにあります。
疲れを癒すのに欠かせない施設です。
5デッキ ゲームコーナー
ゲームコーナーが廃止される新造船が増えている中、「きそ」にはゲームコーナーがあります。
5デッキ船尾側にあり、スロット機、パチンコ機、クレーンゲームなどが置かれていました。
6デッキ ラウンジスペース・プロムナード
6デッキには広いラウンジスペースと展望通路「プロムナード」があります。
大海原をぼんやりと眺めたい時や、読書をしながらのんびりしたい時などに活用したい場所です。
かつてバーがあった場所の一角には給湯室があり、電子レンジも設置。
カップ麺の調理や持ち込み食品の温めなどに便利です。
6デッキ スタンド「マーメイドクラブ」
軽食類が楽しめるスタンド「マーメイドクラブ」は、6デッキの展望通路「プロムナード」前にあります。
「船内で食事を楽しみたいがバイキングは量が多くて・・・」という方のにおすすめです。
「まかないカレー」や名古屋コーチンを使った「卵かけご飯定食」が人気です。
夕食は人気のレストランバイキングへ
18時40分頃、6デッキにあるレストラン「TAHITI(タヒチ)」へ向かいます。
太平洋フェリーの名物のひとつが、このバイキング形式のレストランです。
繁忙期で混在していたため、レストラン内の撮影はできませんでしたが、店内は広々としており、窓際席からは港の風景を眺めながら食事を楽しめます。
和食・洋食を中心に様々な料理が並び、旅先のホテルバイキングのような雰囲気。
出港前の高揚感も相まって、ついつい料理を取り過ぎてしまいました。
船に乗りながら温かい食事をゆっくり楽しめるのは、フェリー旅ならではの魅力です。
19時40分 太平洋フェリー「きそ」 仙台港を出港
定刻の19時40分。
ゆっくりと岸壁を離れ、「きそ」は苫小牧へ向けて仙台港を出港しました。
夕暮れの港が少しずつ遠ざかっていきます。
港の灯りが小さくなり、やがて周囲は海だけの世界に。
飛行機や新幹線では味わえない、「移動している実感」があります。
海風を感じながらデッキに立っていると、自然と時間を忘れてしまいます。
20時30分 シアターラウンジ「サザンクロス」で船内ショーを楽しむ
仙台港を出港したところで、6デッキのシアターラウンジ「サザンクロス」で船内ショーを楽しみます。
苫小牧~仙台~名古屋航路に就航している「いしかり」「きそ」船内では、シアターラウンジでのショーが不定期で開催されます。
この日は、ラウンジショーの開催日。
50分程の生演奏でしたが、素晴らしいのひと言でした。
なお、ラウンジショー開催時間外には映画の上映が行われます。
S寝台をレビュー ひとり旅に最適な快適空間 しかし・・・
本来であれば個室を予約したかったのですが、繁忙期で貸切料金が発生するのと、そもそも個室が満席であったことから、今回は一人用寝台「S寝台」を利用しました。
この「S寝台」、ひと言でいえば「天井が高いカプセルホテル型寝台」です。
S寝台の特徴は以下の通りです。
- プライバシーが確保される
- 高い天井
- ベッドが広く快適
- コンセント完備
- 読書灯あり
- 荷物置きスペースあり
完全個室ではありませんが、カーテンで仕切られているため周囲の視線はほとんど気になりません。
一般的な雑魚寝スペースとは快適性が大きく異なり、ひとり旅なら十分満足できるレベルです。
片道14,500円という価格を考えると、コストパフォーマンスはかなり高いと思います。
ただ、今回乗船した「きそ」のS寝台ですが、船体自体の老朽化がかなり進んでいるからか、航行中の振動がかなり大きかったのが非常に気になりました。
その揺れを文字で表現すると、「地震の震度1~2程度の揺れが航行中ずっと続く」といった感じ。
神経質な方は恐らく寝付けないのではと感じました。
とはいえ、ラウンジショー終了後に展望大浴場でひとっ風呂を浴びて横になると、いつしか夢の中へ。
翌朝までそれなりに眠ることができました。
05時30分 起床
翌朝は05時30分に起床。
まず向かったのは展望大浴場です。
寝汗をかいていたということもありますが、夜が明ける海を眺めながらの入浴は格別でした。
その後、展望デッキへ出て日の出を見ようと思いましたが、外はあいにくの雨模様。
仕方なしにラウンジスペースや寝室でのんびりと過ごします。
7デッキの共用スペースです。
夜が明けてきました。
朝食もレストランバイキングへ
その後、7時頃からからレストランで朝食バイキングを楽しみます。
シメには特性のお茶漬けもいただきました。
窓の外には果てしなく続く太平洋。
あいにくの天候ではありますが、美味しい朝食を食べながら眺める景色は最高でした。
船旅最大の魅力は「大海原を眺める時間」
朝食を終えたところで、6デッキのラウンジスペースや7デッキ共用スペースでしばし時間を過ごします。
見渡す限り海。
どこまでも続く水平線。
スマホを触ることも忘れ、ただ海を眺めているだけで時間が過ぎていきます。
飛行機ならわずか1時間程度の区間ですが、フェリーだからこそ味わえる時間があります。
現代社会では常に情報に囲まれて生活していますが、船の上ではそれらから少し距離を置くことができます。
この「何もしない時間」こそが、フェリー旅の最大の魅力です。
11時00分 太平洋フェリー「きそ」 苫小牧西港に到着
船内でのんびり過ごしているうちに、北海道苫小牧港が見えてきました。
そして11時、定刻通り苫小牧西港へ到着。
約15時間の航海でしたが、不思議なくらい短く感じます。
下船後は、苫小牧西港フェリーターミナルから北海道中央バスの都市間バス「高速とまこまい号」に乗車し札幌へ。
フェリーからバスへの接続も良く、スムーズに移動できました。
そして、13時10分過ぎ、大谷地バスターミナル(地下鉄大谷地駅)に到着。
下車後、地下鉄東西線と北海道中央バスの路線バスで帰宅したのでありました。
太平洋フェリー「きそ」 おすすめポイント
このブログでは、太平洋フェリーの乗船記を何度か紹介していますが、改めて太平洋フェリー「きそ」のおすすめポイントをまとめておきましょう。
①船内設備が非常に充実
レストラン、大浴場、ラウンジ、売店など長時間航海でも退屈しません。
②乗り換えなしで北海道へ行ける
寝ている間に移動するため、移動時間を有効活用できます。
荷物が多い旅行でも快適です。
③大海原を眺める非日常体験
飛行機や新幹線では味わえない、ゆったりとした贅沢な時間を楽しめます。
太平洋フェリー「きそ」 よくある質問
S寝台は眠れますか?
眠れますが、それなりに大きな振動がありますので、神経質な方は対策することをおすすめします。
コンセントはありますか?
あります。ただし、コンセントと充電器が干渉して充電できない場合がありますので、延長コードの持参をおすすめします。
お風呂は無料?
乗船料金に含まれています。
Wi-Fiは使える?
2026年7月1日より、高速インターネット通信「Starlink」を活用したWi-Fiサービスが提供されています。
auをご利用のお客様(au Starlink Direct専用プラン/au Starlink Direct専用プラン+ご加入のお客様含む)は無料で利用できるほか、au以外の携帯キャリア利用の方も有料(1,500円)で利用できます。
酔いますか?
大型船なので比較的揺れませんが、荒天時はさすがに揺れますので、事前に酔い止め薬などを用意しておくと良いでしょう。
なお、「きそ」のショップ(売店)でのみ、酔い止め薬(大人用/子供用)を販売しています。
太平洋フェリー「きそ」 総合評価(5つ星満点)
| 項目 | 評価 |
| ———- | —– |
| 快適性 | ★★★★☆ |
| コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
| 船内設備 | ★★★★★ |
| 景色 | ★★★★☆ |
| アクセス | ★★★★☆ |
| 総合評価 | ★★★★☆ |
**総合評価:★★★★☆(4.2/5.0)**
改めて太平洋フェリー「きそ」に乗船してみて(まとめ)
今回、数年ぶりに太平洋フェリー「きそ」に乗船してみましたが、同社の仙台〜苫小牧航路は、単なる移動手段ではなく「旅そのものを楽しむ交通機関」といえましょう。
「豪華な船内設備」に「レストランでの美味しいバイキング」、「ひとり旅に快適なS寝台」、そして「どこまでも続く大海原」・・・これだけ充実した内容で片道14,500円という価格は非常に魅力的です。
飛行機ならすぐに到着してしまう区間だからこそ、あえてフェリーを選ぶ価値があります。
ただ、先述の通り、今回は航行中の振動が非常に気になりました。
揺れの理由は正直分かりませんが、四六時中地震のような揺れが続くと、寝られない人は本当に寝られないのではと思います。
来年のドック入りの際には改善して欲しいところですが、よく考えると2005(平成17)年に就航を開始した「きそ」も今や20年選手。
そろそろ代替の話が出て来てもおかしくない時期に差し掛かっているのでは・・・と改めて感じた次第です。
ともあれ、全国数あるフェリー航路の中でも、太平洋フェリーの苫小牧~仙台~名古屋航路はサービスレベルが比較的高い航路だと私は思います。
北海道旅行やひとり旅、ゆったりとした移動を楽しみたい方には、ぜひ一度体験していただきたいですね。

仙台港に停泊中の太平洋フェリー「きそ」※別日に撮影


