熊本電気鉄道「01形電車」を見てみる

鉄道

2016年2月に惜しまれて完全引退した熊本電気鉄道5000形電車

熊本電気鉄道 5000形電車

東京急行電鉄(東急)の5000系(初代)を譲り受けて導入された車両で、通用「青ガエル」として親しまれていました。
上熊本駅 – 北熊本駅間(上熊本背)の折り返し運転用として使用されていましたが、老朽化が著しかったことから、2015年~2016年にかけて引退。その後継として登場したのが、今回ご紹介する「01形電車」です。

「01形電車」と聞いて、「あっ!!」と思われる方も多いかと思いますが、実はこの車両、かつて東京メトロ銀座線で活躍していた「01系電車」を譲り受けた車両であります。
熊電に元銀座線の車両が移籍して来るという話は、以前から噂話で聞いてはいましたが、いざ実物を見るとなると、北海道からの移動距離的な面を含めて、ある程度の決意をもって熊本へ行かなければならないことから、これまで見れずじまいでした。
今般、九州を訪れる機会が出来、「それならば折角なので熊電の01形を見ておかなければ・・・」ということで、先日熊本へ行ってまいりました。
東京メトロからやってきた元銀座線01形電車(現:熊本電気鉄道01形電車)、果たして九州の地でどの様な活躍をしているのでしょうか。

外観はそのままでも、中身は大幅な改造が・・・

向かったのは、JR上熊本駅前位置する熊電上熊本駅。
ホームで電車を待つこと暫くして、お目当ての01形電車が入線します。
こちらの車両↓に乗車しました。
熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その1
2014年度に譲渡された元第36編成の両先頭車(01-136+01-636)です。
2016年6月に、全国的にも有名な「くまもん」のラッピングが施されています。
熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その2

早速車両を見ていきましょう。
先述の通り、熊本電気鉄道01形電車は、5000形(元東急5000系)の後継車両として導入した車両で、2014年度と2015年度にかけて2両1編成ずつ、合計2編成4両が導入されました。
2014年度譲渡分の1編成2両は、第36編成の両先頭車(01-136+01-636)を改造したもので、2014年5月に西鉄筑紫工場へ搬入され、西鉄テクノサービスにより改造工事を行っています。
一方、2015年度譲渡分は、第35編成両先頭車1編成2両(01-135+01-635)を改造したもので、5000形(5101A)引退ラストランの同年2月14日以降、3月1日より運行を開始しました。

熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その3

熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その4
移籍にあたっては、軌間が異なることから、川崎重工業製の新型台車「efWING」に換装しています。
この台車ですが、台車枠の側梁の部分に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の弓形状ばねを取付けて軸ばねの機能を持たせることで軸ばねを不要とし、加えて台車のフレーム自体もCFRP製とすることで台車の軽量化と構造の簡素化を図っており、国内では熊電が初採用となりました。(車両としては、6000形に続いて2例目となります。)
この他、集電方式が異なることから、シングルアーム式のパンタグラフ2基を新たに装備。
床下の制御装置は東芝製のVVVFインバータ制御装置に換装されていいます。

熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その5
従来車両に比べて車体幅が若干狭く車両の乗降口とホームとの間に隙間ができるため、乗降口にドアステップの増設が行われています。

熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その6
ラインカラーは銀座線時代のままで、熊本電鉄の社章もメトロ時代のデザインに合わせるなど、東京メトロ運行当時の雰囲気を可能な限り残しています。

熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その7

熊本電気鉄道 01形電車 上熊本駅にて その8
元第36編成の車内です。
銀座線時代の雰囲気を残しつつも、至るところに「くまもん」が配置されています。
ワンマン運転に対応するため、車内には整理券発行機と運賃箱、LCD運賃表が取り付けられています。
また、両先頭車の前面には後方確認用のミラーが設置されています。

一通り車内を見たところで、電車は北熊本へ向けて発車します。
韓々坂、池田、打越、坪井川公園と停車し、10分弱で電車は北熊本駅に到着。
熊本電気鉄道 01形電車 北熊本駅にて
折り返しても良かったのですが、折角なので本線に乗り換えて終点の御代志まで行ってみることにしました。

暫く本線発着ホームにて電車を待っていると・・・
熊本電気鉄道 01形電車35編成 北熊本駅にて

熊本電気鉄道 01形電車35編成 車内
2015年度移籍の元35編成がやって来ました。
ラッピングされていない分、外観といい車内といい、こちらの車両の方が銀座線時代の面影を色濃く残しているといえるでしょう。

北熊本を発車して20分程で、電車は終点の御代志駅に到着。
熊本電気鉄道 御代志駅 その1

熊本電気鉄道 御代志駅 その2

熊本電気鉄道 御代志駅 その3

熊本電気鉄道 御代志駅 その4
ホームがバス停留所と一体化されており、菊池方面からのバスはホームでの対面乗換が可能な他、菊池方面へ向かう路線バスも国道から外れて駅前広場へ乗り入れる構造になっています。
また、駅前交差点付近には、パーク&ライド駐車場も完備。
コインパーキングと月極駐車場(パーク&ライド月極と一般月極)が併設されています。

ひと通り駅周辺を見たところで帰路へ。
折り返しの電車で三ツ石駅前まで移動後、徒歩で九州自動車道西合志バス停まで移動し、西日本鉄道の高速バス「ひのくに号」で博多バスターミナルへと向かうのでありました。(写真はイメージです。)
熊本電気鉄道 御代志駅 その4

以上、熊本電気鉄道へ渡った01形電車を簡単にご紹介しました。
ご当地の東京メトロ銀座線でも、1000系による置き換えが進んでおり、現在在籍している01系電車は6両編成6本36両のみとなっているそうです。
その01系電車も、2016年度中には全て1000系に置き換わる予定になっています。
銀座線をはじめとする第三軌条方式の電車は、他社への譲渡が珍しいだけに、今後熊電が東京メトロ01系の移籍車両を導入するかは未定ですが、熊電とその熊電で活躍を始めた01形電車は、かつての5000形電車と同様に、一時代を築いた車両の面影が味わえる路線と車両として、今後再び注目を集めるかもしれませんね。


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