「ぶんご号」定期運行ラストラン!「ぶんご号」の軌跡を振り返る

夜行バス,高速バス アーカイブス

2016年3月31日、世間は年度末最終日。
この時期のバス業界も、「バスタ新宿」の開業や東急トランセの夜行高速路線新規参入(渋谷・二子玉川~新居浜・今治線)など新しく生まれる車両・路線もあれば、近鉄バス「サンライズ号」の運行撤退中国JRバス「京浜吉備ドリーム号」の2階建てバス運行終了など、去りゆく車両・路線もあったりします。
そして、私のブログでも何度か取り上げて来た大分・別府~名古屋間夜行高速バス「ぶんご号」も、いよいよ2016年3月31日大分発(4月1日名古屋発)をもって定期運行としてはラストランを迎えることになりました。

「ぶんご号」歴代車両アイキャッチ02

そこで、今回は夜行高速バス「ぶんご号」がこれまで歩んだ25年間の軌跡を簡単に振り返ってみたいと思います。

名鉄も運行に参入していた「ぶんご号」

夜行高速バス「ぶんご号」は、1991年4月27日に運行を開始しました。
運行開始から暫くは名古屋鉄道(現名鉄バス)、大分バス、大分交通。亀の井バスの4社が共同で運行しており、名古屋~大分間の移動時間は約12時間を要していました。

名鉄「ぶんご号」のパンフレットです。
名鉄「ぶんご号」 パンフ 表名鉄「ぶんご号」 パンフ 裏

当時の使用車両ですが、名鉄が鹿児島線「錦江湾号」、佐世保線「西海路号」と同様の花柄模様を纏った専用の三菱エアロクイーンM(U-MS729S)を投入していました。(写真は佐世保線「西海路号」の車両です。)
名古屋鉄道「西海路号」 3118

一方の大分側3社はバラエティに富んでおり、大分バスは富士重工製HD2ボディを纏った特注車(日野U-RU3FTAB)を、大分交通と亀の井バスは西鉄「どんたく号」初代専用車をベースにした「ぶんご号」専用車両(三菱U-MS729S 西工58MC SD-Ⅱ)を投入していました。
大分バス「ぶんご号」 1684

大分交通「ぶんご号」 1682

亀の井バス「ぶんご号」 1683

運行開始当初から中京圏と大分県を結ぶ主要交通機関として人気を集め、週末や繁忙期には満席になることも少なくありませんでした。
そんな中、運行開始から僅か数年で名古屋鉄道が運行から撤退し、大分側3社の共同運行に変更されます。

やがて、大分側3社は2代目「ぶんご号」専用車をデビューさせます。
大分バスは日野シャーシの西工製専用車(西工96MC SD-Ⅱ)を、大分交通と亀の井バスは西工製専用車(大分交通は02MCのSD-Ⅰ、亀の井バスは98MCのSD-Ⅰ⇒後にフロントマスクを02MC仕様に改造)をそれぞれ投入します。
大分交通「ぶんご号」 ・106

亀の井バス「ぶんご号」 ・・69

そして、2000年代後半には3代目の「ぶんご号」専用車が投入されます。
この時期は西工が三菱ふそう製観光用シャーシの架装を取りやめたことから、3社とも三菱純正のエアロクイーンⅠ(PJ-MS86JP)を導入しました。
2代目「ぶんご号」専用車と共に、名古屋~大分間を日々往復していました。
大分バス「ぶんご号」 42163

大分交通「ぶんご号」 ・320

亀の井バス「ぶんご号」 ・320
3代目専用車両のうち、大分バスと大分交通の車両は大分~京阪神線「SORIN号」運行開始に伴い転用され、後に大分バスは夜行仕様の三菱エアロエース(QRG-MS96VP)を、大分交通は同じく夜行仕様のいすゞガーラHD(QPG-RU1ESBJ)を投入し、現在に至っています。

利用者数の伸び悩み、乗務員不足、車両代替の問題がのしかかる

長距離を走る「ぶんご号」ですが、2008年には新名神高速道路開通に伴い経路変更を実施、所要時間が短縮されました。
また、2012年4月1日には大分側の発着地を大分新川バスセンターまで延伸するなど、利便性の向上にも努めてきました。
先述の通り、週末や繁忙期には満席になる便が多く、平日でも利用者が多い印象が強かった路線でしたが、近年は利用者数が伸び悩んでいた様です。
更に、使用車両が更新時期を迎えること、人手不足により乗務員の確保が難しくなったことから、今回の運行休止決定に至った様です。
マスコミ報道では、事業者側が繁忙期限定の復活運行に含みを持たせているとのことです。
それなりに混む路線であっただけに、繁忙期限定で運行してもある程度の利用は見込めると考えるのですが、果たして「ぶんご号」が今後繁忙期限定で運行されることがあるのかどうか、今後の成り行きに注目したいところです。

最終便は大分交通の西工車で運行!

私の高速バス乗車記録を調べてみると、「ぶんご号」には計3回乗車していました。
1回目に乗車したのは、1997年の7月のことで、この時は亀の井バスの「ぶんご号」初代専用車1683号車が充てられていました。
亀の井バス「ぶんご号」 1683
初代「どんたく号」仕様の車内がとにかく快適だったのを覚えています。

2回目に乗車したのは、その翌年の1998年12月。
この時は、大分交通の元大阪~大分線「ゆのくに号」専用車の1617号車が充てられていました。
大分交通「ぶんご号」 1617
こちらの車両は、西鉄「ムーンライト」仕様車のコピーともいえる車両で、車内の造りも正しく西鉄「ムーンライト号」そのものであったことを記憶しています。

そして、3回目に乗車したのは、2013年7月の九州旅行の帰りの足として利用した大分交通106号車(下の写真)でした。
大分交通「ぶんご号」 ・106

大分交通「ぶんご号」 ・106 リア

大分交通「ぶんご号」 ・106 車内

大分交通「ぶんご号」 ・106 シート
3回目の「ぶんご号」乗車の模様については、このブログでも紹介していますが、ユーザー目線で造られた西工製夜行高速車は、「名車」のうちの1台であるといっても過言ではないでしょう。
⇒ 大分交通「ぶんご号」106号車乗車記はこちらからどうぞ。

このブログでもご紹介した通り、大分交通は25年間の感謝の意味を込めて、「ぶんご号」最終運行便に「名車」として人気が高かった西工製106号車(三菱KL-MS86MP 西工02MC SD-Ⅰ)を投入します。
⇒ 夜行高速バス「ぶんご号」最終便 大分交通西工車での運行が決定!
一般の乗客は恐らく「ごく普通の夜行バス」と思われるでしょうか、最終便に乗車するバスファンにとっては、最後のサプライズ&プレセントになることでしょう。

あと約2時間後には、大分から最終の「ぶんご号」が名古屋へ向けて出発しますが、3/31大分発と4/1名古屋発は予約でほぼ満席とのことです。
実は私、今回の最終便に乗車する予定でしたが、仕事や所用の関係で予定がキャンセルになってしまい、残念ながら最後の雄姿を見届けることが出来なくなってしまいました。
乗客やバスファンの思いの乗せて「ぶんご号」は深夜のハイウェイを目的地へ向けてひた走りますが、まずは事故や故障無く無事に運行を終えて欲しいです。
そして、多くの利用者やバスファン見送られ、有終の美を飾って欲しいと思います。

まずは「ぶんご号」、25年間お疲れさまでした!
そして・・・ありがとうございました!


大分交通「ぶんご号」 ・106 吉志PAにて

大分交通「ぶんご号」106号車乗車記はこちらからどうぞ。

「ぶんご号」乗車記の他、全5路線を掲載した乗車記本「夜行バス紀行Vol.01」のPDF版はこちらからどうぞ。(1ダウンロード500円)


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