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大井川鐵道を見てみる(後編) 井川線「南アルプスあぷとライン」

time 2014/03/09

こんにちは。ひろしプロジェクトです。
いつもこのブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。

大井川鐵道視察記の続きになりますが、今回が最終回となります。
前々回・前回の記事をご覧になりたい方は、こちら↓からどうぞ。

「大井川鐵道を見てみる(前編)」
「大井川鐵道を見てみる(中編)「SLかわね路1号」」

最終回の今回は、千頭~井川間の井川線「南アルプスあぷとライン」を取り上げます。

大井川鉄道 井川線車両 接岨峡温泉駅
井川線「南アルプスあぷとライン」について簡単にご紹介しますと、起源は1935年(昭和10年)3月20日、大井川電力(現在:中部電力)の専用鉄道として千頭~大井川発電所(現在廃止)間で運行を開始したことに始まります。
その後、1959年(昭和34年)8月1日に中部電力専用鉄道を大井川鉄道が引き継ぎ、大井川鉄道井川線として旅客営業を開始します。
1990年(平成2年)10月2日、アプトいちしろ~接岨峡温泉間が新線に変更されたのに伴い、アプトいちしろ~長島ダム間を電化すると共に、日本では長らく運用が途絶えていたアプト式を採用し、現在に至っています。
井川線の見どころは、やはり「秘境」とも言われる沿線の風景と、日本で唯一の「アプト式」鉄道でしょう。
長らく途絶えていた「アプト式」が採用された理由については、新線切替工事の工期短縮やレール製造会社の都合など幾つか諸説があるようですが・・・。
因みにこの井川線ですが、鉄道資産は中部電力が保有(但し第3種鉄道事業者でない)しているそうで、当線の赤字額は中部電力が負担しているそうです。

と前段はここまでにして、当日の模様を簡単にご紹介しましょう。
「SLかわね路1号」で千頭駅に到着した私。
駅周辺を散策してすぐに金谷へ戻ろうかとも考えたのですが、この日の次の予定まで時間があったことから、「折角来たならアプト式鉄道も見ておかないと・・・」ということで、千頭から先へ向かうことにしました。
しかし、当の井川線の列車は既に行ってしまい、次の列車まで待つととなると、この日の次の予定には間に合いそうもありません。
で、色々と調べてみると、なんと井川線の終点「井川」の手前「閑蔵」まで行く路線バスがあることが判明。
この後の予定や金谷まで戻る列車の時刻等を考慮した結果、閑蔵行き路線バスで接阻峡温泉まで行き、そこから井川線「南アルプスあぷとライン」で千頭まで戻り、更に乗り換えて金谷まで移動することにしました。

まずは、千頭駅から接阻峡温泉までバスで移動です。
大井川鐵道は鉄道事業以外にバス事業も行っていまして、基本大井川本線と接続する形でバスを運行しています。
以前は千頭~寸又峡温泉線の1路線のみの営業でしたが、2010年2012年4月28日より井川線に並行する形で千頭~閑蔵線の運行を開始し、現在は2路線体制で運行しています。
で、千頭から接阻峡温泉まで利用したバスがこちら↓。
大井川鉄道 路線バス ・718

大井川鉄道 路線バス ・718 リア

大井川鉄道 路線バス ・718 車内
名鉄バスそのまんまの日野HR10.5m仕様ノンステップバスです。
それもその筈、千頭~閑蔵線の運行開始に併せて名鉄バスから移籍してきた車両で、社名表記を除けば名鉄バス時代の面影を色濃く残しています。
方向幕もシールによる固定表記になっており、閑蔵線専用で充てられているようです。

千頭を出発してアップダウンやカーブがきつい山坂を走破すること約25分程で、バスは接阻峡温泉バス停に到着します。
大井川鉄道 路線バス ・718 接岨峡温泉にて
ここから山道を約5分程歩いたところに、井川線「南アルプスあぷとライン」の接阻峡温泉駅があります。
大井川鉄道 接岨峡温泉駅

大井川鉄道 接岨峡温泉駅 駅名盤
昔ながらのこじんまりとした駅舎に哀愁を感じるのは私だけでしょうか。

接阻峡温泉駅からは、こちらの列車↓で千頭に戻ります。
大井川鉄道 井川線 206形 接岨峡温泉駅にて

大井川鉄道 井川線 206形 車内
DD20形ディーゼル機関車が推進・牽引する客車列車です。
大井川本線の車両とは違い、軽便鉄道並みの小振りなスタイルが井川線の車両の特徴でもあります。
全列車が機関車牽引の客車列車(うち1両は制御車両)であるため、大井川本線とは異なりワンマン運転は行われておらず、列車には車掌が乗務しています。

接阻峡温泉を発車した列車は、左手に美しい景色を眺めながら、連続するきついカーブと坂をゆっくりとした速度で下っていきます。
感覚的には、外の風が入って来ない「トロッコ列車」といったところでしょうか。
大井川鉄道 井川線 車窓 その1

大井川鉄道 井川線 車窓 その2

接阻峡温泉駅から約20分程で列車は長島ダム駅に到着。
ここから次のアプトいちしろ駅までは、この路線の特徴でもある「アプト式」区間を走行するため、アプト式機関車「ED90形」の連結作業が行なわれます。
大井川鉄道 井川線 アプト機関車連結作業中

連結作業が終了したところで、列車は発車。
90.0‰(パーミル)の急勾配を下っていきます。
大井川鉄道 井川線 車窓 その3 アプト区間
レール間のギザギザが付いたレールが「ラックレール」と言われるもので、この「ラックレール」と専用機関車の床下に設置された歯車「ピニオン」とかみ合わせることで、急勾配を登り下りするための推進力と制動力の補助を行っています。

下ること13分で列車はアプトいちしろ駅に到着。
ここで機関車が切り離されます。
大井川鉄道 井川線 ED90形

アプトいちしろ駅から終点の千頭駅までの営業キロは10km弱とさほど長く無いのですが、カーブ及び坂がきついのと駅数がそれなりにある(奥泉、川根小山、土本、沢間、川根両国駅の計5駅)ために、この間の所要時間は40分と長めに設定されています。
大井川鉄道 井川線 206形
結局、接阻峡温泉から千頭まで移動するのにかかった時間は1時間14分。
バスが25分ですので、倍以上の時間がかかりました。
沿線環境が環境なので仕方がありませんが・・・。

その後は千頭で40分程の乗り換え時間を過ごし、千頭からは元近鉄16000系電車の普通電車で金谷駅へ戻りました。(写真はイメージです。)
大井川鉄道 16000系 新金谷駅にて その3

というわけで、今回を含めて3回に渡って大井川鐵道視察記をお届けしました。
時間があれば、泊りがけでじっくり見たかったのですが、今回はとりあえず駆け足で回ってみました。
あくまで外野の人間ですので、あまり偉そうなことは書けませんが、今回視察してみて、
・想像していた以上に現状は厳しい
・観光路線に特化するのであれば、更なる工夫が必要

ということを実感しました。
オフシーズンとはいえ、乗っていないんですよ。
特に普通列車が。
今回乗車した大井川本線・井川線共に、2両~3両編成で1両あたりの乗客数が一桁という状況でした。
この状況では、減便ダイヤ改訂という流れになるのも仕方がないのかなぁ・・・と。
ですが、減便による更なる乗客減少→収支悪化という負のスパイラルに陥る可能性もあるわけで、ダイヤ改訂後の状況がどうなるか、非常に心配でもあります。
となると、定期利用をはじめとした固定客をどう繫ぎとめていくのかが近々の課題になってくるでしょう。
一方で、今後同社としてはSLを柱とした観光事業を強化する方針であると報道されていますが、現状のやり方のままではいずれ飽きられるのでは?と思いました。
確かにSLファンは多いですし、旧型客車・車両にノスタルジーを擁いて訪れるファンが多いことも重々承知しています。
ですが、正直なところ「サプライズ」「わくわく感」というものをあまり感じなかったのも事実でして、もしSLを柱とした観光事業を強化するのであれば、常に「サプライズ」「わくわく感」をファンに提供し続けない限り、観光事業だけで食っていくのには結構大変なのでは?と思います。
大井川本線にしろ井川線にしろ、沿線には素晴らしい「景色」「車窓」という観光資源があります。
この「景色」「車窓」を上手く生かした観光列車の運行というのも考えても良いのかもしれませんね。
JR九州はその辺を上手く生かした観光列車を投入し、成功しています。
他社の猿真似は決してして欲しくないのですが、JR九州や富士急などの他社事例の成功事例を参考にして、取り入れるべきものは取り入れても良いのではないでしょうか。

既に報道されている通り、大井川鐵道は厳しい経営状況を受けて、沿線島田市と川根本町に経営支援の協議会設置を要望、2014年3月25日に協議会の初回会合が開かれることになっています。
沿線自治体として大井川鐵道という鉄道をどう位置付け、どう支援していくのか・・・協議会の行方に目が離せなくなりました。
私個人の意見としては、事業者と自治体だけの話し合いの場ではなく、住民(利用者代表)も参加した3者による法定協議会(地域公共交通活性化再生法による協議会)にして、大井川鐵道のみならず接続するバス・乗合タクシーを含めた沿線地域公共交通について議論・活性化する場にして欲しいなぁと思ったりしています。

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自称「高速バスアドバイザー」。高速バス乗車回数900回以上(2016年12月現在)。バス・鉄道をはじめとする乗り物を追っかけて撮ったり、ブログやサイトの運営、バス関連本やネットニュースの原稿執筆、同人誌活動などを通じて、乗り物旅の素晴らしさを伝える活動を行っています。北海道札幌市在住。バスと鉄道とカレーと粉物が大好き。 [詳細]

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