西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 開業初便乗車記

夜行バス,高速バス乗車記

2007年7月1日、福岡天神。
今日、ここからまた新たな高速バス路線が発車します。
それは・・・・・福岡と四国高松を結ぶ夜行高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」です。
西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175

西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175 リア

運行会社は、西鉄高速バスと四国高速バス。共に高速バスの運行では実績のある会社同士です。
以前から開設が噂されてはいたものの、今日までなかなか開設されず、ようやく開業・・・・・といったところでしょうか。

今年の春に路線開設申請の報道が流れて以降、私はこの路線に注目していました。
注目していた点は次の2点です。
一つ目は、にしてつグループとして1999年春に高知線「はりまや号」から撤退して以降、実に8年ぶりに四国乗り入れが復活した点です。何故四国なのか?何故高松なのか?
二つ目は、西鉄高速バス直営としては初の夜行高速路線であるという点です。何故本体ではなく子会社なのか?
この二点を確かめるべく、私は5月中旬にこの路線の開業初日の乗車を企画、6月1日に電話で予約を取り、コンビニで乗車券を購入しました。そして、使用車両や運用などについての調査も行いながら開業日を待ち続けていたという訳です。
果たして、これらの答えはこの乗車で明らかになるのでしょうか・・・・・。

福岡発の開業初便は「ムーンライトカラー」の西鉄高速バスが運行を担当

7月1日の夜、西鉄天神バスセンターの1階では、昼間に行われていた「さぬきエクスプレス福岡号」開業記念イベントの撤収作業が行われていました。
残念ながら参加する事は出来ませんでしたが、高松駅前のさぬきうどん屋「にちりんざ」の手打ちさぬきうどんがふるまわれていたとか。自分も食べたかったなぁ~~~~。
西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」開業初日イベント

西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」路線ポスター

その光景を後に3階乗り場へ上がると、福岡から各地へ向かう高速バスを待つ人達でごった返していました。
給料日後の週末である事と、天神地区のバーゲンが始まった事が重なった為だとか。
付近は昼間大渋滞していた様で、バスの発着時間も大幅に乱れたそうです。

21時頃になって、「さぬきエクスプレス」の姿を見ようとする人達やファン、そして西鉄の関係者らが続々と集まり始めます。
そして21時10分、5番乗り場にムーンライトカラーの高松行き「さぬきエクスプレス福岡号」が入線です。
西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」時刻表

西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 西鉄天神BC 5番乗り場 電光表示

今日の担当は西鉄高速バス。車両も西鉄本体から移籍してきました。”Nishitetsu Group”、”西鉄高速バス”のロゴが新鮮さを感じさせます。
西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175 側面西鉄VIロゴ
残念ながら新車による運行ではありませんが、寝心地、快適性でトップクラスを誇る杉本工業製のスリーピングシートが搭載されています。
しかも個室カーテンもそのままの状態で残されています。
これならぐっすり眠れそうです。
西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175 車内

乗務員が降りてきて改札を始めます。
自分も西鉄の社員から記念品を受け取り、改札を受けます。
今晩の座席は2-A席。
席について記念品をあけてみると・・・・・西鉄特製のU字枕(空気枕)と香川県のマウスパットが入っていました。いずれも実用品として使えそうですが、使うには勿体無い気もします(笑)。

21時20分、関係者や見物人等に見守られながらバスは出発しました。
10分ほど走って博多駅交通センターに到着。
ここで数名が乗車して来ました。
21時35分、14名の乗客が揃ったところで、乗務員から自己紹介と行路説明、車内設備の説明等がマイクで行われます。
普通の夜行バスであれば、出発後に交代乗務員が案内を行いますが、この路線に限っては出発前に行う様です。
それもその筈、この路線は原則として全区間ワンマンで運行される為、交代乗務員がいません。
しかも、その乗務員も小倉砂津で別の乗務員に交代するとか。
どうやら、乗務員の負担を少しでも軽くする為に発車前に一通り案内を実施して、出発後は運転に集中しようという考えの様です。

21時40分、定刻より5分程遅れてバスは博多駅交通センターを出発しました。
呉服町ランプから福岡都市高速道路に入り、更に福岡インターからは九州自動車道に入ります。車の流れは至ってスムーズで、乗務員も安全速度を保ってバスを走らせています。
22時30分、ほぼ定刻に次の停留所である黒崎インター引野口に到着。
ここでは2名が乗車です。
黒崎インターからは北九州都市高速道路を小倉方面に向けてひた走ります。
左手には八幡地区の夜景が見えますが、この夜景、西鉄の夜行路線上り便でしか味わえないちょっとした贅沢。
22時50分、砂津(ちゃちゃタウン前)に到着します。
ここは西鉄バスの営業所がある所で、向かいには西鉄が開発した商業施設「チャチャタウン小倉」があります。ここで乗車扱いをするものの、乗客はゼロ。
そしてここまで運転してきた乗務員がバスを降り、外で引継ぎを実施した後、今度は別の乗務員2名が乗り込んで来ました。
本来は1名しか乗務しないそうですが、今日は開業初日である事と、乗務員研修の意味も含めて2名が乗務するそうです。

23時00分、小倉駅前に到着。
ここで1人が乗車します。
小倉駅出発後、改めて乗務員の方からマイクによる案内が行われ、同時に関門橋の手前のめかりパーキングエリアで消灯前の休憩も行うとの案内もありました。
23時20分、高速門司港で最後の乗車扱いを行うものの、乗客はゼロ。
しかしここでは会社の同僚と思われる男女2名が乗務員に差し入れを行っていました。

23時22分、めかりパーキングエリアに到着。
ここで10分間の休憩を取ります。
約半数の乗客がバスを降り、トイレなどを済ませていましたが、何人かの乗客は既に夢の中へ吸い込まれていた様です。
23時32分、乗客が全員揃ったところで、通路のカーテンを引き始めます。
同時に自分も寝る支度をして、シートを深く倒します。
更に前後のカーテンの端をボッチで止めれば、簡易個室の完成です。
西鉄の夜行高速バスの特徴の一つであるこの個室カーテン、特に女性客に好評ですが、高松の様な比較的短距離路線でこのサービスがあるのには意外に思いました。
(但し岡山線や鹿児島線ではこのサービスが無いようですが・・・・。)
てっきり前方のカーテンを閉めて終わりと思っていただけに、この配慮には好感が持ますね。
そして、西鉄独自のスリーピングシートに身を預けながら目を瞑ると・・・・いつしか夢の中へと入っていきました。

瀬戸大橋通過・・・そして高松へ・・・

翌朝5時前、目を覚ますとバスは瀬戸大橋手前の鴻ノ池サービスエリアに停車していました。
外は生憎の空模様で、小雨が降っています。
間もなくして車内の明かりが点灯し、乗務員がカーテンを片付けます。
そしてマイクで「皆様おはようございます。ご案内いたします。鴻ノ池サービスエリアに停車しております。ここで朝の休憩を取りたいと思います。出発時間は5時35分です。時間までにはバスの方にお戻りください。」との案内が。
殆どの乗客がバスを降りて、トイレや買い物などを済ませていましたが、私はというと・・・・・・コレクション及びHP掲載用の写真を撮影。
私以外にも数名のファンの方が撮影をしていて、ちょっとした撮影会になっていました(笑)。

西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175

西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175 リア


西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175 車両後部

5時35分、乗客が全員揃ったところでバスは出発します。
間もなくして瀬戸大橋を通過します。
天気が良ければ絶景ポイントなのですが、雨の為、外の景色もはっきりと見えません(泣)。
でも、これはこれでまた違った情緒があるのでしょう。
西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 雨の瀬戸大橋

西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 瀬戸大橋からの瀬戸内の風景

5時55分、坂出駅に到着。
ここで半分近くの8人が下車しました。
降車客の多さに驚きましたが、格好から所用客が殆どだったと思われ、ビジネスもしくはここから乗り換えての移動の乗客かもしれません。
6時16分、丸亀バスセンターに到着。
ここでは1人が下車しました。
その10分後の6時26分には丸亀駅に到着。
ここでは2名が下車しました。
丸亀からは観音寺インターまで一般道を走行し、そこからは高松自動車道に入ります。
外は相変わらず雨が降り続いていますが、先程より小降りになってきました。
7時03分、高松中央インターで高速道路を降り、すぐ傍の高松中央インターバスターミナルに到着。
バスターミナルといっても道路に面した停留所ですが、待合室の他、高速バス利用者専用の自家用車駐車場も完備されていて、近郊に住んでいる人にとっては使い易いバス停であると言えましょう。
ここでの降車客はいませんでした。
その10分後にはゆめタウン高松に到着。
この停留所も待合室及び駐車場が完備されている他、近くにはゆめタウンというショッピングセンターもあることから、利便性は大変良いです。
ここでは1名が下車しました。
そして栗林公園、ことでん高松築港駅前を通過し、7時30分、定刻よりも5分程早くバスは高松駅バスターミナルに到着しました。
西鉄高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」 3175 高松駅到着
バスを降り、乗務員から荷物を受け取り、辺りを見回しますが、あまりの駅周辺の変貌振りに驚くと同時に、久しぶりに感じ取る高松の雰囲気をもう暫く味わいたいと思わずにはいられませんでした。

何故に高松の地を選んだのか・・・

今回の体験乗車で感じた事ですが、両社のこの路線にかける意気込みと、出来るだけコストをかけずに運行を維持していこうとする工夫が随所に見受けられました。
前者においては、福岡での大々的なイベントの開催や事前のPR(パンフレットの大量配布や広報誌の特集記事等)、四国高速バス側の新車投入等の場面で見受けられ、後者においては、途中地点交代による完全ワンマン運行や子会社による運行及び既存車両の転用(西鉄高速バス)、ハイデッカー車の投入(四国高速バス)といった点において見受けられました。
そして、今回の路線新設において高松という地を選んだのも、なんとなくではありますが分かった様な気がしました。
夜行高速路線の開設においては、ツアーバスの台頭が目立つ昨今、需要があってかつコストがかからない路線を新設しようと考えるのが普通です。
しかし、福岡発の路線となると、開設できる路線が限られてきます。
そこそこの需要があって、出来るだけ完全ワンマンで運行できる路線という観点で企画するとすれば、四国の高松という地を選定するのも頷けます。
しかも子会社による運行にすれば、さほどコストをかけずに路線を運行する事が出来ます。
まさしく今日の事情を反映した路線開設と言えるのではないでしょうか。

今のところ、利用状況については平日を中心に多少厳しい状況が続いているとの事であるが、今後徹底したPRの実施とお客様の視点に立ったサービスの更なる充実(停留所の増設や区間延長、各種割引サービスの充実等)を継続して行えば、この2社のノウハウを以ってすれば好調路線に化けることも不可能では無いと考えます。
いずれにしても、まだ走り始めたばかりです。とりあえずは来年1月末までの試験運行という事ですが、今後利用客が増えて本格運行に切り替わる事を願ってやみません。
そして、この乗車記を見てくれた方が一人でもこの路線に興味を持って頂き、是非利用して頂ければ・・・・・と思います。

(終)


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